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職場で「いじめ」のターゲットになったとき② 「いじめ」を収束させて残ったもの

2025年5月29日

職場で、「いじめ」のターゲットになったとき。

「いじめ」の本質、被害者の心境、対処法を知る、絶好の機会!

そう自分に言い聞かせて、1つずつできることを重ねていきました。

今回は、私が取った「いじめを収束させた方法」、そして、「いじめを収束させて残ったもの」について、お伝えします。

 

「いじめ」が起こるメカニズムを見極める

 

職場で「いじめ」のターゲットになり、「いじめ」に対処するにあたって。

まずは、職場で「いじめ」が起こるメカニズムについて、考えてみました。

「傾向と対策」と言うように、「対策」を打ち出すには、「傾向」を把握することが大切だからです。

 

私が「いじめ」のターゲットになった職場の状況、特に人間模様を、1年にわたって観察して、分かったことがありました。

  • 心理カウンセリング業務は、業績を評価しづらいため、職場内での評価は、直属の上司の判断で決まる傾向がある。
  • あるベテランスタッフ(Aさん)の意見で、直属の上司が、部下に対する評価を変えるときがある。
  • 「いじめ」を先導する2人は、Aさんから、目をかけられている。
  • 職場内のスタッフは、Aさんや、「いじめ」を先導する2人に、一目置いている。
      ↓
  • Aさんが、実は、職場内で大きな権力を持っている、ラスボスだった。
  • Aさんに嫌われた人が、「いじめ」のターゲットになる。
      ↓
  • この職場で働いている人の多くが、「職場内での自分の評価」を気にしている。
  • 「職場内での自分の評価」を少しでも上げたいという思いが重なって、「いじめ」が生じ、黙認されている。

 

全容とまではいかないまでも、だいたいの「傾向」が分かってきました。

次は、対策を練り、「いじめ」を収束させるための行動を開始します。

 

「いじめ」を収束させるために行動する

 

「いじめが起こるメカニズム」が、見えてきたところで。

「いじめを収束させるための作戦」を考えました。

 

「いじめ」のラスボスとは、ほどよい距離をとる

「いじめ」のラスボスだと、私が認定した、ベテランスタッフ、Aさん。

どうやら、私は、いつの間にか、Aさんに嫌われてしまったらしい。

Aさんとは、そんなに関わった覚えがないのに……。

 

そこで、Aさんが、私を嫌った理由を考えてみると。

  • Aさんに対する私のリスペクトが足りなかった?
  • 私がAさんの好みのタイプではなかった?
  • 過去に私に似たタイプと因縁があって、うらみを晴らしたい?

Aさんの様子を観察してはみたものの、残念ながら、ハッキリとした理由は分かりませんでした。

 

そのため、Aさんと、仕事上で関わるときは、「ほどよい距離」をとることにしました。

距離が遠すぎると、相手が敬遠されたと思って、不快になる。

距離が近すぎると、相手との関係が密になり過ぎるから、トラブルが生じやすくなる。

そこで、「ほどよい距離」

 

Aさんが話しかけてきたときは、愛想よく、受け答えします。

そして、私からは、雑談も含めて、話しかけません。

 

機嫌をとることはせず、積極的に関わらないけれど、愛想はいい、というスタンス。

 

Aさんは、敏感な人だったので、私から、得体の知れない、不気味な感じを受け取ったのかもしれません。

あるとき、私に小さなプレゼントをくれました。

小さなプレゼントから、好意ではなく、「私を攻撃しないで」というメッセージを感じた私。

プレゼントを笑顔で受け取りつつ、「ほどよい距離」をキープしました。

 

「いじめ」を先導する2人の良いところを見つけてほめる

「いじめ」を先導する2人を見ていて、気づいたことがあります。

  • Aさんと同じ(藤野が好きではない)スタンスであることをアピールしている。
  • Aさん寄りのスタンスをとることで、Aさんからの評価を上げようとしている。
  • ひいては、Aさんの口利きで、直属の上司からの評価を上げようとしている。

 

そこで、私は、「相手が評価を求めているなら、相手に評価を与える」という作戦を思いつきました。

つまり、「いじめを先導する2人の良いところを見つけてほめる」という作戦です。

 

自分をいじめる相手をほめるなんてこと、嫌でたまらないっていう人、結構、いるんじゃないんでしょうか。

私だって、正直、イヤです。

 

ですが、私は、職場内の「いじめ」で心を削られ、「できることなら何でもやってやる!」と思うぐらい、追いつめられていたのでね。

死ぬ気になれば、嫌な相手の優れた面が見えてきます。

どんな嫌な相手でも、嫌なところばかりで出来上がっている訳ではありませんからね。

 

背に腹は代えられない、物は試しということで。

私は、「相手の良いところをほめる」という作戦を実践してみました。

 

すると、あんなに意地悪だった2人の態度が、だんだんやわらいでいくではありませんか。

思いがけないほどの効果に、私のほうが驚いてしまいました。

 

「相手の良いところほめる」という作戦を実施してから、1年が経つ頃。

私に対する「いじめ」と呼べるような言動は、随分と減っていきました。

 

直属の上司より上の立場の人に動いてもらう

入社して3年目に入ると、私に対する「いじめ」は、随分とやわらいできました。

ですが、少し安心すると、恨みがましい気持ちがわいてくるのです。

 

「いじめの首謀者」が許せない。

 

そんな折、係長クラスの上司が、私のいる職場に異動してきました。

その上司とやり取りする機会は少なかったのですが、これまでの上司と比べ、「職員に対して理解がある人」という感触を得たのです。

 

年末に1回、係長と面談をおこなうことになっていたので、そのときがチャンス!

それまでの2年間、「自力で頑張る」というアプローチをとってきた私。

「自分以外の力を借りる」、絶好の機会が、到来したと感じました。

 

係長との面談に際して、気をつけたことは、以下の通り。

  • 自分が「いじめ」を受けていたことを、感情的に訴えることはしない。
  • 「いじめ」を先導する2人の言動に、「職務上の不利益」があることを、客観的に伝える。
  • 職務上の不利益が横行するベースに、「直属の上司の管理不足」があることも、客観的に伝える。
  • 「利用者の満足度を上げるためには、職場環境の改善が必要」と伝える。
  • 同期入社の2人にも協力を願い、面談では、私と同じようなことを係長に伝えてもらう。

 

職場の上司に対して感情的に訴えると、相手はうんざりして、「君の考えすぎだろう」と受け流されてしまうに違いない。

そのため、冷静、かつ、客観的に伝え、「職場の利益を損ねていて、心を痛めている」ということを主張する。

あれこれ考えて練り上げた私の作戦は、ヒットしました!

 

面談後、係長は、職員全員の仕事ぶりを、折にふれて、見にくるようになりました。

そして、「いじめ」を先導する2人には、年度末、降格と思われるような人事がおります。

2人が、仕事の手を抜く、お気に入りのスタッフに過干渉な関わりをするといったことが、明らかになったからです。

降格人事をくらってガックリきている2人を見て、私は「してやったり」と、胸をなでおろしました。

 

「いじめ」を収束させて残ったもの

 

職場内で、私に対する「いじめ」は、収束しました。

ですが、私は、ものすごく恐ろしいものを目の当たりにすることになったのです。

 

「いじめの首謀者」2人が、降格と思われるような人事を受けたあと。

なんと、「いじめの観衆・傍観者」が、てのひらを返したような対応を見せるようになったのです!

以前は、「いじめの首謀者」を先輩として立て、ゴマをするような態度を取っていたのに。

「いじめの首謀者」に対して、話しかけることも減っていき、話しかけられても素っ気ない態度をとるという豹変ぶり。

 

怖すぎる、怖すぎる。

「いじめの観衆・傍観者」は、一見すると「みな善人」といった感じであるだけに、怖さが倍増。

 

「いじめ」の加害者が、立場が変わったことによって、「いじめ」の被害者になった。

単に、「いじめ」のターゲットが、移り変わっただけ。

つまり、「いじめ」が起こる環境は、変わっていなかった!

 

一見すると善人に見える人間が、心の内側に抱える残虐さを思い知り、怖ろしくなりました。

しかも、「いじめ」の被害者だった私も、「勧善懲悪」なんて思っていたけど、加害者として、2人を陥れたではないか。

人間不信、自分不信に陥っていく私。

 

職場での「いじめ」を根本的になくすためには、どうしたらいいのか。

 

そんなことを考えるようにもなりました。

 

「いじめ」はカビと同じ

 

職場内で「いじめ」を体験して、あれこれ考えるうちに。

「いじめはカビを同じ」ということに気づきました。

 

カビは、空気中にウヨウヨ漂っています。

病院や工場の無菌室など、特別な場所を除けば、カビがまったくないという環境はありません。

 

ですが、カビが繁殖する場所もあれば、カビが生えない場所もある。

何が違うのか。

 

もう、お分かりですね。

カビを育つ条件が整っているか、整っていないか、それだけの違いです。

 

温度、湿度、栄養源。

この3つの条件がそろうと、カビが繁殖し、カビだらけになります。

 

カビと同じように、「いじめのもと」となるようなものは、どの人間の中にもあります。

自分が評価されたいとか、ストレスがたまっているとか、相手を嫌だと思う気持ちとか。

 

そして、職場において、以下の条件がそろうと、「いじめのもと」が「いじめ」へと大きく育っていきます。

職場の構成メンバーが、自分の内側に「いじめのもと」があることに無自覚である。

職場を率いる上の立場の人間が、「いじめ」があっても仕方がないと考えている。

職場内の構成メンバーが、あまり変わらず、人間関係が固定化する。

 

結局、職場の環境を作るのは、私たち一人一人。

私も、良い人ぶることなく、「いじめのもと」が自分自身にもあると自覚しながら、働いています。

 

 

職場での「いじめ」体験は、なかなかにツライものでした。

とはいえ、「いじめ」をくぐり抜けた今、「いじめ」に対する理解が、体感レベルで深まりました。

学校でスクールカウンセラーとして働く際、「いじめ」体験が、子どもたちの「いじめ」防止に役立っています。

本当に人生はプラスマイナスゼロです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

※職場で「いじめ」にあった際、取り組むための姿勢をじっくり検討したことについては、こちら。

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