工夫をすれば一人でも日常的に「マインドフルネス」に取り組める
最近、ちまたで流行っている「マインドフルネス」。
私の場合、「マインドフルネス」に初めて取り組んだ体験が衝撃的で、一瞬で魅了されました。
とは言っても、なかなか一人で「マインドフルネス」に取り組めなかった私。
そんな私が考えた、一人でも「マインドフルネス」に取り組みやすくなるための工夫について、お伝えします。
「マインドフルネス」での衝撃的な体験
私が初めて「マインドフルネス」を体験をしたのは、2015年7月。
ビジネス系の研修機関が開催した、「ハコミセラピー」※1の勉強会でのことでした。
※「ハコミセラピー」とは、「マインドフルネス」を用いて、心と身体に働きかけるセラピーです。
「マインドフルネス」は、仏教的な瞑想が西洋に伝わって発展し、東洋に逆輸入されたもの。
「マインドフルネス」を簡単に説明すると、こんな感じです。
今現在、自分自身に起こっていること、体験していることに、注意を向けている心の状態。
判断(ジャッジ)、評価などをせず、自分に起こっていることを、ありのままに、ただ見ていく。
私も、勉強会で、講師のガイドに従いながら、「マインドフルネス」の状態になっていきます。
イスに座って、目をつぶり、ゆっくり呼吸をしながら、身体の感覚に注意を向けていく。
頭、肩、腕、お腹、腰、お尻、足。
しばらくの間、講師のガイドにそって、自分の身体に注意を向けていきました。
ところが、講師が、「あなたは、ここちよい状態にいます」と言った途端。
むこうのほうからオレンジ色の大きな波が押し寄せてきて、その波に飲まれてしまう。
津波に巻き込まれるような、衝撃的な映像(イメージ)が展開しました。
思いもよらない展開に驚いているうちに、オレンジ色の波がすごい勢いで引いていきます。
すると、オレンジ色の海原の上に、浮き輪に乗って、ここちよく漂っている私の姿があるではありませんか。
私が、「マインドフルネス」、そして、「ハコミセラピー」に魅了された瞬間でした。
「マインドフルネス」の状態にあるときに体験することは、人によって違います。
- 身体の感覚を感じる。
- 冷たさや温かさを感じる。
- 言葉やメッセージが浮かんでくる。
- 音や声が聞こえる。
- 映像のようなイメージが展開する。
私は、イメージが展開するタイプみたい。
マインドフルネスで体験することには、正解などなく、その人らしさが出るのです。
その人にとって、感受性の強い感覚が前面に出てくるとも言えるかもしれません。
「マインドフルネス」に一人で取り組むための工夫
「マインドフルネス」の取り組み方は、いたってシンプルです。
①床やイスに座って目をつぶる。立ったままでもOK。
②ゆっくり呼吸をする。鼻から吸い、口から出す。
③「今、この瞬間」に、自分に起きていることに気づいていく。
たしかに、取り組み方は、いたってシンプルなのですが、一人で実践するのは難しいんです。
なんせ、雑念(考え事)が次々とわいてきて、「今、この瞬間」に起きていることに集中できない。
私なんて、仕事のこと、気がかりなことが、次々とわいてきて、ただ静かに考え事をする時間になりがちです。
時間の無駄遣いみたいにな感じになるので、「マインドフルネス」に取り組む意欲が失せていきます。
何とかして、一人で「マインドフルネス」に取り組めないかしら。
そう思った私が考えたのが。
自分に起きていることを、ひとつひとつナレーションすること。
試しに今、やってみました。
- 吸った息が鼻の奥を通っていく。
- 息をはく時、空気のかたまりが口から出るのを感じる。
- 外でカラスが鳴いているのが気になる。
- 頭がしびれるように痛んでいる。
ナレーションは、心の中で言います。
邪魔にならない程度に、口に出して言うのも悪くありません。
それでも、雑念がわいてきて、集中した状態になれないというあなた。
一人で取り組むのではなく、誰かほかの人と一緒に、「マインドフルネス」に取り組むという方法があります。
「ハコミセラピー」では、2人組になり、「マインドフルネス」に取り組むんですよ。
「マインドフルネス」の状態で自分に起きていることを、互いに報告し合うとか。
「マインドフルネス」の状態で自分に起きていることを報告すると、相手が「〇〇なんですね」と復唱するとか。
誰かと一緒に「マインドフルネス」に取り組むと、実感します。
自分の取り組みを分かってくれる相手がいる、という安心感。
一人ぼっちではなく、相手が一緒にいてくれる、という心強さ。
そのお陰で、一人で「マインドフルネス」に取り組むより、相手と一緒に取り組むほうが、体験がぐっと深まるんですよ。
でも、相手を探すのが大変じゃない?
その通りです。
そこで、私は考えました。
「一人二役のマインドフルネス」。
自分に起きていることに注意を向け、気づいたことを、心の中でナレーションする。
ナレーションをした後に、「〇〇なんだね」とか、「そりゃ、そうなるよね」と、心の中で合いの手を入れる。
自分の取り組みを、自分が認める形を取るだけでも、集中力が維持されます。
自分に起きていることを、誰かが分かってくれるという安心感が得られるからです。
日常生活に「マインドフルネス」を取り入れるときの工夫
一日10分程度、「マインドフルネス」の時間を取りましょう。
そんなことを言われても、忙しいし、面倒だし、できる訳ないじゃない。
そう思うあなたにおススメなのが、「ずぼらマインドフルネス」。
「マインドフルネス」と聞くと、座って、目を閉じて、静かに取り組むもの、と思われがち。
でも、もっと気軽に取り組めます。
歩きながら、ご飯を食べながら、お風呂に入りながら、などなど。
かなり、ずぼらな取り組み方。
ですが、何かをしながらのほうが、じっと座っているより取り組みやすくなるんです。
ただし、目をつぶると危ないときは、目を開けておこなってくださいね。
私も、「ずぼらマインドフルネス」を日常生活に取り入れています。
ふとした隙間時間がおススメです。
- 満員電車に乗っていて本を読めないとき。
- ご飯を食べているとき。
- 歩いているとき。
- スーパーのレジで並んでいるとき。
- なかなか来ないエレベータを待っているとき。
そして、「ずぼらマインドフルネス」に取り組むときは。
「一人二役のマインドフルネス」を使います。
たとえば、満員電車の中で「ずぼらマインドフルネス」に取り組んだとき。
- ギューギュー押されて痛い。→ 押されて痛いんだね。
- せまくて息苦しい。→ 息苦しいんだね。
- なんだか、イライラしてくる。→ イライラしてくるんだね。
- 仕事がうまくいかなくて、イライラしてるみたい。→ そりゃ、イライラするよね。
- 自分は、何をやってもダメなんだって、悲しくなる。→ そうか、悲しくなるんだね。
不快なだけと思っていた満員電車の中で、自分を慰めるワークのような「マインドフルネス」となりました。
「ずぼらマインドフルネス」の効果
「ずぼらマインドフルネス」は、気が向いたときに、ちょっとだけおこなっています。
それでも、「ずぼらマインドフルネス」を数年間、実践していると、それなりの効果を感じるようになりました。
自分を大切にすることにつながる
自分に起きていることに丁寧に注意を向けるというのは、普段、なかなかしていないことです。
頭で「こうせねば!」と考えて熱くなり、がむしゃらに頑張る人は、身体をおろそかにしています。
私も、そんな一人でした。
「ずぼらマインドフルネス」は、普段はないがしろにしている身体に、注意を向ける時間を作ります。
短い時間でも、そうした時間をもつことは、自分を大切にすることにつながるんです。
私の場合、次第に、自分の身体に感謝の気持ちを抱くようになりました。
自分をダメ人間だと思い込んでいた私も、ちょっとずつ、自分を認めることができるようになってきているみたいです。
※身体に感謝をするようになったことについては、こちら。
※身体をないがしろにしていたせいで、大変なことが起きたというのは、こちら。
心が落ち着く
イライラするとき、落ち込むときは、頭の中で、嫌な出来事をくり返し思い出しています。
ある意味、過去に起きた出来事の中にひたっている状態。
でも、「マインドフルネス」の状態になると、「今、この瞬間」に起きていることに注意が向いていく。
ジャッジ(判断)をせずに、注意を向けていくことで、自分の中に、冷静で客観的な部分が立ち現れてくる。
そして、一人二役の「マインドフルネス」を行うことで。
自分に起きていること全てに、「考えてもOK」「感じてもOK」と、OKマークをつけていく感じになる。
すると、過去に起きた嫌な出来事から、少しずつ距離が取れるようになります。
嫌な出来事をくり返し思い出すエンドレス・ループがおさまることで、心が落ち着いていくのです。
自責の念が強くて、なかなか「マインドフルネス」の状態になれず、「慈悲の瞑想」に頼っていた私でしたが。
ここ最近、「ずぼらマインドフルネス」に取り組むと、気持ちがすっと落ち着くようになってきました。
深呼吸だけでもリラックスする
交感神経の働きが高まっているとき、呼吸や心拍が速くなる、瞳孔が開くなど、身体にさまざまな反応が起こります。
そんな身体の反応の中で、人間が唯一コントロールすることができるのが、「呼吸」。
ゆっくり呼吸をすることで、脳が「あれ?リラックスしているのかな?」と勘違いして、交感神経の働きを鎮めてくれるとか。
たかが呼吸、されど呼吸です。
ゆっくりと呼吸をするだけでも、リラックス効果が得られます。
「余裕がなくて、ずぼらマインドフルネスにすら取り組めない」と感じるとき。
私は、ゆっくりと深呼吸をします。
それだけでも、心と身体がリラックスしますよ。
「ずぼらマインドフルネス」に取り組むのが難しいとき
気軽に取り組める「ずぼらマインドフルネス」ですが、どうしても取り組めないときがあります。
それは、強い感情に揺さぶられているとき。
私の場合は、自責の念が、心の中で勢いを増しているときです。
自責の念で心が削られ、物事に取り組むためのエネルギーが低下してきます。
「マインドフルネス」の状態になれるはずがありません。
そんなときに、おススメなのが、「慈悲の瞑想」。
自分や自分以外の存在を大切に思う言葉を、ひたすらに唱えます。
強い感情に揺さぶられていても、決められた言葉を唱えることならできるんですよ。
「慈悲の瞑想」の言葉を唱えている間は、嫌な出来事を思い出すことも、自責の念にさいなまれることも、ありません。
心が落ち着く時間が増えると、「ずぼらマインドフルネス」に取り組むためのエネルギーも増えていきますよ。
※「慈悲の瞑想」の取り組みや効果については、こちら。
一人で「マインドフルネス」に取り組むのは、正直、骨が折れます。
ですが、工夫次第で、ぐっと取り組みやすくなるんですよ。
ぜひ、日常生活でも、「一人二役のマインドフルネス」を使った「ずぼらマインドフルネス」に、取り組んでみてくださいね。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。