心の健康と対人関係を向上させる「アサーション」|アンガーマネジメント③

2026年10月2日

言いたいことがあるのに、飲み込んでしまう。

あるいは、感情が爆発して、相手を責めてしまう。

そのどちらかに偏りやすい――。

そんな自覚はありませんか。

 

自分の気持ちをうまく伝えられないのは、あなたの性格が悪いからでも、我慢が足りないからでもありません。

ただ、伝え方のパターンを知らないだけなのです。

 

私自身、かつては、言いたいことを飲み込むのが常でしたが、夫に対しては、感情を爆発させていました。

両極端を行ったり来たりしていたのです。

そんな私が、「アサーション」を学んでから、言いたいことの伝え方が変わっていきました。

 

「アサーション」は、怒りをコントロールするための方法、「アンガーマネジメント」に含まれる要素の1つ。

ちなみに、「アンガーマネジメント」の要素は、以下の3つから構成されています。  

 

①ストレスマネジメント

②考え方の修正

③アサーション(今回の記事)

 

今回は、怒りをコントロールして、心の健康に役立つだけでなく、対人関係も改善する、「アサーション」の具体的な使い方や効果・限界について、お伝えします。

 

「アサーション」とは?

 

 

「アサーション(assertion)」とは、「さわやかな自己主張」のこと。

自分の気持ちを率直に伝えつつ、相手の意見も聞き入れる、双方向コミュニケーションの在り方です。  

 

自分の言いたいことを表現するときのパターンは、大きく3つに分けられます。

 

引っ込み思案

自分の気持ちや考えを、言葉ではめったに表現しない。

イライラしても、相手には何も言わず、ガマンする。

相手はOK、自分はNGといったスタンス。 

 

攻撃的な押しつけ

自己主張はするが、相手の気持ちや人権を踏みにじる。

怒りをぶちまけ、相手を責める。

相手はNG、自分はOKといったスタンス。 

 

アサーション

自分の言いたいことは言うが、相手の意見にも耳を傾ける。

相手には、正直に自分の気持ちを伝える

相手もOK、自分もOKといったスタンス。

 

どのパターンで自己表現をするかは、相手や状況によって違ってきます。

メインは「引っ込み思案」でありながら、ときには「攻撃的な押しつけ」になるというのは、よくあることです。

 

「アサーション」の使い方

 

 

ポイントは「Iメッセージ」

「アサーション」は、基本的に「Iメッセージ」を使います。

「I」、つまり、「わたし」を主語にして、メッセージを発信するのです。  

 

たとえば、夫がうるさく話しかけてくるのが、うっとうしいと感じてしまう、私の場合。  

 

「(あなたは)うるさい!(あなたは)黙れ!」と言うのは、「Youメッセージ」。

「相手(あなた)」を主語にする「Youメッセージ」は、「攻撃的な押しつけ」タイプが使いがち。

相手の土俵に踏み込んで、物申すので、相手に嫌な思いをさせてしまいます。  

 

「わたしは、今日、疲れているから、あなたが話しかけてくると、聞くゆとりがなくて、つらくなる」と言うのが、「Iメッセージ」。

相手の土俵には踏み込まず、自分の土俵で物申しているので、相手にこちらの意見が伝わりやすくなります。  

 

ただし、「Iメッセージ」を使うと、自分の感情を、自分で引き受けることになるので、ちょっと覚悟が必要かもしれません。

そういう意味では、「引っ込み思案」も、「攻撃的な押しつけ」も、メリットがあるのです。

「引っ込み思案」タイプは、自分の本音を隠すことで、「攻撃的な押しつけ」タイプは、相手のせいにすることで、自分を守っているのですから。

 

「自分の言動に自分で責任を取る」ということに慣れないうちは、「Iメッセージ」に抵抗を感じるかもしれません。

でも、練習あるのみです!

 

「アサーション」の具体的な手順

「アサーション」で意見を伝えるときは、次のような手順で、話を組み立てていきます。

 

①状況の説明:実際に起きた、具体的で客観的な事実や状況を伝える
 
②感情の表明:自分がどう感じているか(感情・気持ち)を伝える
 
③要求や提案:相手にしてほしいこと、お願いしたいことを伝える
 
④相手の反応への準備:相手が要求を受け入れたとき、または、受け入れないときの対応を準備しておく

 

ポイントは、「②感情の表明」で、「怒り」のもとになっている「率直な気持ち=本音」を伝えること。

実は、「怒り」は二次的な感情。

そのベースには、悲しい、怖い、悔しい、切ない、心配、つらい、などといった、「ネガティブな感情」があります。

こうした「ネガティブな感情」こそ、「率直な気持ち=本音」なのです。  

 

たとえば、中学生の息子が宿題をやらずにゲームで遊んでいるときの「アサーション」は、こんな感じ。

 
①状況の説明:「今、宿題をやらないで、ゲームをしているでしょう」
 
②感情の表明:「宿題をやらないで学校へ行ったら、先生に怒られてコワイ思いをするんじゃないか、勉強が遅れてツライ思いをするんじゃないかって、お母さん(わたし)は心配なの」
 
③要求や提案:「宿題をやってから、ゲームをしてほしいんだけど」
 
④相手の反応への準備:息子『分かった』⇒「お願いを聞いてくれて、ありがとう」/息子『・・・(無視)』⇒①~③の手順でまた意見を伝える

 

「アサーション」の効果と限界

 

 

「アサーション」の効果

まず、「アサーション」の効果について、お伝えします。

 

心の健康度がアップする

「アサーション」を通して、「ネガティブな感情があることに気づき、認め、表現する」と――。

「怒り」を含めた感情のコントロールがしやすくなります。

そのため、心の健康度がアップしていくのです。  

 

ちなみに、「対人関係療法」という精神療法では、うつ病患者が家族と話すときに、「わたし」を主語にして、「感情」を伝えるよう指導することで、うつ病を改善しています。  

 

私も、夫や息子に対して「アサーション」を実践してみました。

「ガッカリした」「ツライ」と、感情を表現すると――。

一瞬、その感情におおわれて苦しくなりますが、その後は、スッキリ!

感情は、認めて、表現するほどに、扱いやすくなっていくのです。

 

対人関係がスムーズになる

「アサーション」を使うと、イライラする相手との関係が改善していきます。  

 

関係改善のポイントは、「Iメッセージ」と「感情の表明」。

私がどんな感情を抱こうが、それは、私の自由。

だから、相手の領域をおびやかすことがない。  

 

私の場合、「Iメッセージ」と「感情の表明」を意識して伝えるようにしたら――。

息子や夫も、わりと私の意見を聞き入れてくれるようになりました。

 

相手が意見を受け入れてくれると、私も相手の意見が素直に聞けるようになります。

互いにやり取りすることが増え、相手の事情が分かってくるつれ、イライラすることが減りました。

それでも、気持ちを分かってもらえないときは、さらに工夫を重ねるようにしています。  

 

※感情を伝えても伝わらないと感じる配偶者との関係について、関心がある方は、こちらもどうぞ。

  

「アサーション」の限界

ただし、「アサーション」も万能ではありません。

効果を実感できる場面がある一方で、うまく機能しない場面もあります。

 

いつも使えるとは限らない

イラッとしたときに、冷静に自分の言いたいことを考えて、相手に伝えるのは、至難の業。  

 

私の場合は、夫にぶちギレると、「アサーション」なんて、どこかへ吹っ飛んでしまいます。

「すっごく不愉快!」など、ひたすらに「感情の表明」をしたうえで、夫を責めまくる。

まあ、冷静になったときに、謝るようにはしてますが――。

くり返しの実践が必要だと、痛感しています。

 

ひと言では終わらない

相手に言うことを聞いてほしいとき、ひと言では終わりません。

 

「アサーション」を使うと、双方向のコミュニケーションが発生しやすくなります。

そのため、こちらが物申せば、相手も主張をしてきます。

やり取りを重ねる必要が出てくるので、正直、面倒くさい。

 

「引っ込み思案」で意見を飲み込む、「攻撃的な押しつけ」で相手を一喝する。

そういうやり方だと、やり取りを重ねなくてもいいので、楽な面があるかもしれません。

 

相手や状況によっては使えない

相手や状況によっては、「アサーション」を使わないほうがいい場合があります。

 

人の意見を聞くゆとりがない人に対して、あるいは、自由な自己主張が許されない状況では――。

「アサーション」は使うだけ損です。  

 

実は、「アサーション」には、「言わない自由」が含まれています。

相手や状況によっては、意見を言わないという選択をすることも、「アサーション」なのです。

 

そもそも、日本には「アサーション」が文化として根付いていないため、うまく使いこなすには、苦労がともなうと言われることもあります。

 

一人で頑張らなくても大丈夫

「アサーション」を頭では分かっていても、いざとなると、飲み込んでしまうか、爆発してしまうか。

そのどちらかになってしまう。

そんな自分にもどかしさを感じることもあるかもしれません。

 

まずは、話してみるだけで構いません。

自分の気持ちを飲み込み続けてきた、あるいは、爆発させながらも懸命にやってきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

 

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、自分の気持ちを飲み込んでしまう部分にも、爆発してしまう部分にも、それぞれ丁寧に向き合っていきます。

 

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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。
 

※飲み込む・爆発するといったパターンの根っこにあるものを、もっと知りたい方へ。


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