セルフ・コンパッションを1年続けて分かった現実と効果

2026年8月24日

「頑張っている自分」を認めようとしても、どこか白々しく感じてしまう。

自分に優しくしようとすると、なぜか、かえって苦しくなる。

そんな風に感じたことはありませんか。

私も、そうでした。

セルフ・コンパッションに取り組もうとするたびに、自分を責める気持ちが強まり、何度も挫折してきたのです。

それでも、試行錯誤を重ねながら、「ある工夫を取り入れたセルフ・コンパッション」を1年間続けた結果、少しずつ、確かな手ごたえを感じるようになりました。

この記事では、自責の念で苦しんできた私が、セルフ・コンパッションを1年続けて実感した効果とつまずいた点を、私自身の体験をもとにお伝えします。

セルフ・コンパッションがつらかった理由

ここ最近、本や講座などで、セルフ・コンパッションの効果がたくさん紹介されています。

  • 心身が安定する
  • 自己肯定感が高まる
  • 人間関係が改善する
  • 生きる喜びを感じやすくなる

「これは素晴らしい!」と思い、私も取り組んでみました。

ですが、自分に優しい言葉をかけると、心の奥から強い抵抗が湧き上がってくるのです。

その背景には、幼少期の体験がありました。

出来の良い弟と比べられ、「ダメな子」と叱られ続けた経験から、いつの間にか、

「自分を甘やかしてはいけない」

「厳しくしないとダメな人間になる」

という思いが、心の中に根づいていたのです。

こうした状態では、セルフ・コンパッションは、むしろ、苦しさを強めることがあります。

同じように感じる方も、少なくないのではないでしょうか。

自己流セルフ・コンパッションで変わったこと

自己探究を重ねる中で、私は、「生身の自分には、直接、優しい言葉をかけない」という方法に、たどり着きました。

心の中にあるものを役割や働きによって、いくつかの部分に分け、キャラクター化する。

まるで、他人に声をかけるように、自分の心の中にいるキャラクター(パーツ)に語りかける

そんなやり方です。※1

※1:「自己流セルフ・コンパッション」について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

この方法に変えてから、セルフ・コンパッションへの抵抗が、少しずつ和らいでいきました。

朝晩、短い時間でもいいから、続けてみよう。

続けた結果、どうなるか、見極めていこう。

そう決めて、1年間取り組んだ結果、次のような変化を感じるようになりました。

自然な自己肯定感が育ってきた

以前の私は、自分のことを「何も成し遂げていない、価値のない人間」だと思っていました。

ところが、「これまでに小さな夢をいくつも叶えてきた自分」に気づくようになったのです。

とはいえ、決して華々しい成功ではありません。

大学に進学したこと、仕事を続けてきたこと、資格を取ったこと。

ですが、強い自己否定を抱えながらも、ここまで歩んできた自分に対して、「よくやってきたね」と、少し認められるようになってきたのです。

これは、「無理に自分を好きになる」という感覚とは違います。

静かで、地に足のついた自己肯定感です。

自己理解が進み、人間関係が穏やかになった

毎日、自分の心と向き合う時間を持つことで、

「なぜ、今イライラしているのか」

「本当は、何がつらいのか」

が、以前より分かりやすくなりました。

その結果、夫との関係が、大きく変わってきています。

感情をぶつけ合うのではなく、「今、私の中でこういうことが起きている」と、理路整然と説明できるようになったのです。

すると、夫の理解が得られやすくなり、夫がヒートアップすることも激減しています。

自分に起きていることに気づきやすくなると、身近な人との関係に、想像以上の安定がもたらされるのです。

自分で自分を落ち着かせられるようになった

モヤモヤやイライラが湧いてきたとき、それに飲み込まれることが減りました。

私の場合、思い通りにならないことがあると、心の奥で「私はダメな子だから」と嘆く、幼い自分がいます。

そんなときは、大人の自分がそっと寄り添い、慰めてあげる。

それが難しい日は、「今日は疲れているから、早く寝よう」「誰かの助けが必要かもしれない」と判断できるようになりました。

ネガティブな感情がなくなったわけではありません。

けれど、大惨事になる前に、立て直せるようになったのです。

心のバランスが整ってきた

これらの変化を振り返ると、総じて、以下のような感じになっています。

  • 冷静で客観的な部分(大人の部分)が強くなっている
  • 理不尽で感情的な部分(子どもの部分)が大騒ぎをしなくなっている
  • 互いの疎通が良くなっている

つまり、心の内側のバランスが整ってきたのです。

ただし、この1年間、セルフ・コンパッションだけに取り組んできた訳ではありません。

それ以外のセルフケアにも取り組み、心理療法を通した自己探究にも励んできました。

そのため、これまでにあげた効果は、セルフ・コンパッションだけで成り立っているとは言い難い面もあります。

ですが、1年間続けたことが、私の糧になっていることは確かです。

セルフ・コンパッションの難しさ

セルフ・コンパッションを1年間続け、さまざまな効果を感じる一方で、難しさもハッキリと痛感しました。

  • 毎日続けるのが難しい
  • 一人で頑張っている感覚が強くなると、ふとみじめになる
  • 心の傷が刺激される出来事があると、感情があふれてしまう

特に、幼少期に「一人で耐えてきた経験」がある人ほど、セルフ・コンパッションが「孤独な作業」に感じられることがあります。

また、私の場合、心の中に、静かに反発し合う思いが生まれ、セルフ・コンパッションの効果がけずられる状況が起きました。

「もう過去に執着するのはやめよう」と、現実的に自分を守ろうとする部分が登場し、幼い私の部分が「分かってもらえない」と感じて、悲しんだのです。※2

あなたの中にも、良かれという思いから、自分をやんわりといさめる部分があるのではないでしょうか。

そして、冷静に見れば、理不尽だとしても、何らかの思いを握りしめている部分もありますよね。

心の中に起きてくるものを悪者にせず、丁寧に調整していくことは、正直、簡単ではありません。

私の場合、しんどくなったときは、「自分の中に、まだ未解決な課題があるんだ」と考えました。

そして、一緒に心理療法を学んでいる仲間や専門家の力を借りながら、自分の課題に向き合い、また、セルフ・コンパッションをおこなうことをくり返してきたのです。

※2:セルフ・コンパッションの難しさを感じたことについて、もっと知りたい方は、こちらもどうぞ。

一人でやらなくていい、という選択

こうした経験を通して、私が強く感じたことがあります。

それは、「心に傷がある人ほど、セルフケアと専門家のケアを併用した方がいい」ということです。

セルフ・コンパッションは大切な営みですが、つらい思いを一人で抱え続けるためのものではありません。

「うまくできない自分」を責めるのではなく、「ここは誰かと一緒に取り組んだ方がいい」

そう判断できること自体が、セルフ・コンパッションなのだと思います。

まずは、話してみるだけで構いません。

長い間、一人で抱えてきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、セルフケアだけでは届かない部分に、一緒に向き合っていきます。

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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。

※「メンタルケアの極意」について、もっと知りたい方へ。

※自分を責める声の正体と対処法について、詳しく知りたい方へ。

【参考文献】

今回ご紹介した、セルフ・コンパッションの背景を理解したい方におすすめです。

  • クリスティン・ネフ (著) 石村郁夫ほか(訳) (2021) セルフ・コンパッション[新訳版] 金剛出版

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