愛着障害の苦しみをやわらげてくれるセルフケアとは

2026年7月12日

人と関わるのが怖い。

相手を信頼しようとしても、心のどこかで疑い続けてしまう。

愛情を向けてもらっても、「どうせ本当ではない」と思ってしまう。

そんな苦しさを、繰り返していませんか。

これは、性格のせいでも、あなたが歪んでいるせいでもありません。

幼いころに形成されるはずだった「安心感の土台」が、十分に育まれなかっただけです。

この記事では、私自身が体験した「愛着障害」の苦しさと、心が少し楽になったセルフケアのアプローチについてお伝えします。

特に、精神科医・神田橋條治先生の「母におんぶ」という独自の方法をご紹介しています。

「愛着障害」とは――安心感の土台が育まれなかった状態

あなたに、次のような経験はありませんか。

  • 人と関わることが怖いし、いつも不安
  • 相手との距離が極端に近くなったり、遠くなったりする
  • 自分には価値がないと感じてしまう
  • 感情が不安定で、コントロールが難しい

かつての私も、まさに、こうした生きづらさを抱えていました。

これは「性格の問題」ではなく、「愛着障害」によって起きることがあります。

「愛着障害」とは何か

「愛着障害」とは、「乳幼児期に育まれるはずの『安心感にもとづくきずな』が十分に形成されず、人との関わりの中で安らぎを感じにくくなる状態」です。

特に、早期の母子関係の不安定さや、養育者の変化、トラウマ体験が影響すると言われています。

「愛着障害」が起きやすい環境

たとえば、次のような環境で育つと、愛着障害が起きやすくなります。

  • 養育者の言動に一貫性がない
  • 放置・拒絶・無関心
  • 精神的・身体的な暴力
  • 養育者自身が不安定で、子どもに寄り添う余力がない
  • 転居などで養育環境が何度も変わる

私の場合、母の態度が気分次第で激しく変わり、否定の言葉を受け続けたことが、心に深い影響を残しました。

しかも、父は仕事で忙しく、家にいる時間が限られていたため、幼い私は「一人で耐える」しかありませんでした。

この 「一人で耐え続ける」 という経験こそ、愛着障害につながりやすい土壌になります。

愛情を“素直に受け取れない”という障害

私自身も、長い間、人との関わりの中で安らぎを感じづらいという状態に苦しんできました。

そんな私の胸に突き刺さったのが、精神科医・神田橋條治先生の言葉でした。

いかなる形で提供される愛情も、素直に受け取れなくなる状態が、愛着の障害

かつての私は、こんな風に思い込んでいたからです。

  • 「母と父は、“責任感が強い”から私を見捨てなかっただけ」
  • 「友だちが私に優しいのは、素晴らしい人格者だから」
  • 「私のような人間を好きになるのは、頭がおかしい人に違いない」

どんなに愛情を向けてもらっても、素直に受け取れない。

信頼しようとしても、心のどこかで疑い続けてしまう。

愛着障害とは、まさにこうした「愛情を受け取る器」が傷ついた状態だといえます。

「愛着障害」を癒すヒント―神田橋先生が着目した「身体と関係性」の力

私も長年、生きづらさをやわらげたいという願いのもと、さまざまな心理療法やセルフケアを試してきました。

そんな中で出会ったのが、神田橋先生の「母におんぶ」という意外なアプローチです。

先生は、鍼灸・気功・整体などを参考に、身体の自然治癒力に注目しながら、独自の心身養生法を考案してきました。

神田橋先生が着目したのは

愛着障害を抱えた女性が、子どもを育てる過程で、愛着障害が軽くなる場合がある。

赤ちゃんには、愛着障害がないので、とても素直に甘える。

その甘えに一生懸命応えていくうちに、母親自身の愛着障害が癒えていく。

神田橋先生が着目した事象から導かれたのが、“二人の間に生まれる雰囲気が愛着障害を癒す” という発想です。

この考えにもとづいて、「母におんぶ」という方法が生み出されました。

「母におんぶ」―二人の間に生まれる安心感が、愛着を癒す

「母におんぶ」のやり方

やり方は、とてもシンプルです。

母役の人がソファに座り、子ども役が背中におんぶをするように、ぴったりとくっつく。

② 接触しているお腹と背中の間に、温かい体温を感じながら、「溶け合い」の気分を味わう。

③ 二人で合唱のように声を合わせ、「マイナス1歳、0歳、1歳、2歳…」と、年齢を数える。

④ 基本的に、子ども役の実年齢まで数えるが、母役にも「愛着障害」がある場合は、母役の実年齢まで合唱する。母役・子ども役のどちらに愛着障害があっても、一緒に癒されていく。

実践のポイント

「母におんぶ」を実践する場合のポイントは、こちら。

  • 実母とおこなうと、最も効果が高い
  • パートナー・父親・心理カウンセラーでも代用できる
  • 毎日おこなうのがおすすめ
  • トラウマを思い出し、フラッシュバックがある場合は、まず安心・安全を味わうセルフケア ※1 から始める

何よりも、「無理にやらない・一人で抱えない」ことが大切です。

※1:フラッシュバックがある場合のセルフケアについて、詳しく知りたい方へ。

私が実践して感じたこと

私が、この方法を知ったのは、心が非常に不安定だった時期。

「ナオミは、バカで、のろまで、肝心なときに役に立たない」という母の最期の言葉に、深く傷ついていたときでした。

そのとき、母は亡くなっていたため、夫に “母役” をお願いして、実践してみたのです。

メリット

私が感じたメリットは、以下の通り。

  • たしかに心がふっとゆるむ
  • 「誰かに受けとめられている」という感覚を実感できる
  • しんどさのピークを乗り越える支えになる

私は月に数回、1年ほど続けました。

他のセルフケアや心理療法と合わせて進める中で、少しずつ「愛情を受け取る」感覚が戻ってきたような気がしています。

デメリット

私が感じたデメリットは、以下の通り。

  • 相手が必要なため、頼れる人がいないと難しい
  • 愛着障害の特性上、誰かに「お願いする」ことが、とてもハードルが高い
  • 実母との関係で傷つきがある場合、実母には頼みにくい

「母におんぶ」は、効果があるアプローチですが、「頼める人がいない」「お願いすること自体が怖い」という方には、そもそもハードルが高いのが現実です。

私も、夫には頼みづらく、本当に苦しいときにしか、お願いできませんでした。

愛着障害の特性上、「誰かに頼る」ということが最も難しいからこそ、一人で取り組もうとすることに限界があります。

そんなときに必要なのは、「安全だと感じられる専門家との関係」を、少しずつ積み重ねていくことです。

「誰かと一緒に」という感覚が、愛着を癒す

愛着障害を抱えている人ほど、「自分一人で頑張らなければ」と思い込みがち。

幼いころ、一人で耐えなければいけなかった体験が、心の底にしみついているからです。

でも、心の回復に必要なのは、むしろ、「安全な他者との共存」

一人では届かなかった心の奥に、誰かと一緒だからこそ届く瞬間があります。

「愛情を受け取る器」が傷ついている状態では、その器を育てることが先決です。

そして、その器は、安全だと感じられる関係の中で、少しずつ育まれていくものです。

あなたの「受け取れない苦しさ」にも、ちゃんと理由がある

まずは話してみるだけで構いません。

長い間、一人で抱えてきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、愛着障害の背景にある「安心感の土台」を、マインドフルネスを用いたハコミセラピーのアプローチで、安全な場でそっと育てていきます。

「誰かに頼る」ことが怖いと感じる方にこそ、まず体験セッションでその感覚を確かめていただけたらと思っています。

👇 まずは体験セッションから(初回限定・50分・2,500円)

「もう少し読んでから考えたい」という方には、こちらもご覧ください。

※愛着障害の背景にある自責の構造を、もう一段深く理解したい方へ。

※「誰かに嫌われる恐怖」という形で現れる愛着障害について知りたい方へ。

【引用・参考文献】

今回ご紹介したセルフケアの背景を理解したい方におすすめです。

  • 神田橋條治・白柳直子(2018)神田橋條治の精神科診察室 IAP出版
  • 神田橋條治(2019)心身養生のコツ 岩崎学術出版社

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