教育分析は2年で打ち切られた【私が自分を生きるまで①】

2026年9月1日

母との関係に、長年、傷ついてきた私。

生きづらさを解消し、「自分を生きる」ために、これから、様々な自己探究の道のりを歩んでいくことになります。

 

その最初の一歩が、「教育分析」でした。

母との関係で心に傷を負っていると感じており、自分の問題を解決したかったのです。

ところが、期待を胸に臨んだ教育分析は、2年で打ち切られてしまいました。

 

今回は、私が教育分析を受けた体験談と、教育分析を打ち切られて学んだことについて、お伝えします。

 

「教育分析」への準備と不安

 

 

「教育分析」とは――。

心理カウンセラーを目指す人が、自身の心の問題を解決し、とどこおりなく働けるように、自分自身もカウンセリングを受けること、を言います。  

 

私は、臨床心理学専攻の大学院を修了して、念願の「教育分析」を受けることにしました。

大学院を修了後、カウンセリングの仕事に就くことになったため、スキルアップしたかった、というのが、表向きの目的。

本当の目的は、母に対する怒りや恨みを解消し、心軽やかな日々を過ごしたかったのです。  

 

教育「分析」と、名前がついているぐらいだから、精神「分析」療法じゃないとダメでしょう。

そう考えて、「精神分析療法」で有名な先生に、「教育分析」をお願いすることにしました。

今から思えば、かなり浅はかな考えだと思います。

でも、当時の私は、真剣そのものだったのです。  

 

「教育分析」を受ける前、私は、「門前払いをくらうかもしれない」と不安を感じていました。   

母との問題を解決することは、一筋縄ではいかないだろう。

問題が重すぎて、「教育分析」では扱ってもらえないかもしれない。  

 

それで、精神分析療法家(精神分析療法をおこなう専門家)の先生のオフィスを初めて訪ねたとき――。

私は、自分の生い立ちを詳細に書き記した文書を持っていきました。

その先生が、講義の際に、「私は、相手の状況を見聞きしただけで、全ての見立てを立てることができます」とおっしゃっていたからです。  

 

先生は、私が持参した文書に目を通し、何もおっしゃいませんでした。

私は、一次審査に通ったようで、すごく嬉しかったのを覚えています。

 

「教育分析」の実際

 

 

頭に浮かんだことを正直に話すほど、自分が見えてくる。  

 

教育分析(精神分析療法)を行うにあたって――。

精神分析療法家の先生から、最初に言われたことです  

 

「精神分析療法」では、クライエント(相談者)が、頭に浮かんだことをそのままに話します(これは「自由連想」)。

そして、精神分析療法家の先生が、どこに課題があるか指摘したり(これは「直面化」)、原因を教えてくれたりするのです(これは「解釈」)。  

 

私は、一生懸命に話をしました。

純粋に頭に浮かんだことを話すと、「今日は暑い」とか、「お腹がすいた」などになってしまって、もったいない気がする。

そこで、「母に関して、頭に浮かぶこと」を話すことにしました。  

 

先生は、たいてい、私の話を黙って聞いています。

そして、1時間の最後に、先生の感想や、私の課題がどこにあるかなど、話してくれるのです。  

 

先生のもとへ通っていれば、母との問題が解決するはず!!  

 

そんな期待を胸に、週1回、先生のもとへ、せっせと通い続ました。

ちなみに、教育分析の費用は、1時間10,000円。

大学院を修了し、働き始めたばかりの私にとって、安い金額ではありません。  

 

でも、自分の課題が解決するのであれば、なんてことはない!!  

 

自分の未来に投資するような気持ちで、何とか費用をひねり出していました。

 

打ち切られた「教育分析」

 

 

ところが、「教育分析」が始まって、2年が経とうとしていたころ。   

私が仕事でおこなっていたカウンセリングの様子を、先生に話したら――。

先生から、私の対応が間違っている、との指摘を受けました。  

 

その通りには違いない。  

 

ですが、信頼していた先生に否定された気がして、私はとても傷ついたのです。  

 

そこで、その翌週、「頭の中に浮かんだことを正直に話す」という先生の教えを実践することにしました。

かなりの勇気をふりしぼり、「先週、先生に言われたことで、ガッカリしました」と伝えてみる。

感情がたかぶって、涙がとめどなくこぼれ落ちる。 

 

話し終えてから、息をこらして、先生の顔をじっと見つめていると――。

先生は、しばらく黙っていた後に、口を開きました。  

 

あなたは病理が深い。

悩みを相談するだけの人ならいいけれど、心理カウンセリングを仕事にしているから、治療が難しい。

治すのに、10年はかかる。

私は、年だから対応できない。

もう終わりにしましょう。  

 

その翌週が、最後の「教育分析」となりました。  

 

裏切られたという衝撃。

見捨てられたという、身を切られるようなつらさ。  

 

でも、どこかで、「やっぱりそうくるよね。しかたない」と、あきらめる私がいました。

 

「教育分析」が打ち切られた後に残ったもの

 

 

自分を鼓舞しても残る見捨てられた感じ

精神分析療法家の先生は、それから7~8年後に亡くなりました。

「年だから対応できない」というのは、ウソではありませんでした。  

 

人間には寿命がある。

先生は、自分でそれを察することができたんだ。

すごい人だよね~。  

 

何度も、自分にそう言い聞かせ、自分を奮い立たせました。

ですが、先生に反抗するような話をした直後に、「教育分析」を打ち切る話が出されたのは、私にとってかなりの痛手でした。  

 

私がダメな人間だから。

ありのままの自分で接すると、大切な人に不快な思いをさせる。

そして、相手から嫌われてしまうんだ。  

 

そんな気持ちになりました。

私が母に対して抱いていたのと、同じ気持ち。

母は、私が幼いころから、弟ばかりをかわいがり、私のことは叱りつけていたのです。

 

それに、その精神分析療法家の先生は、自分が対応できないかわりに、別の先生を紹介することはありませんでした。

どうしてそうされたのか、私には分かりません。

ただただ、見捨てられた感じが強まっていきました。  

 

悲しみの中で学んだこと

悲しい思いに打ちひしがれた一方で、精神分析療法家の先生から学んだことが、たくさんあります。

ネガティブな体験をした時は、それと同じだけ、ポジティブな体験も手にしています。

人生プラスマイナスゼロです。  

 

母に求めていた「温かさ」

私は、先生が、私の話に笑い、感想を言い、普通に会話をするように関わってくれる瞬間が、好きでした。

私は、温かい存在を求めていたのです。

優しい理想の母に話をするように、たくさんたくさん話をしました。

 

心理カウンセラーとしてのスタンス

心理学の教科書には、「精神分析療法家の存在は、鏡のように相手の存在を映し出すものだから、反応をしてはいけない」と、書いてありました。

そのため、私は、「精神分析療法家」や「心理カウンセラー」というものは、相手の話にリアクションをしてはいけない存在だと思い込んでいたのです。  

 

ところが、先生は、私の話に、表情豊かに、リアクションしてくださいました。

先生が反応してくれると、「あなたの話に興味がありますよ。あなたの存在を受け入れますよ」と言ってもらえている気がして、すごく嬉しかったのです。  

 

私自身、いまだに、しつこく、図太く、心理カウンセラーの仕事を続けているのですが――。

クライエント(相談者)の話をうかがうとき、リアクション豊かに応答しています。

先生から、心理カウンセラーとしてスタンスを、勝手に学んだようです。  

 

自力で頑張る力

私は、つらい時に、だれかに頼りたくなるところがあります。

「だれかに寄りかかって、その人に助けてほしい」と思ってしまうのです。

依存しやすいタイプかもしれません。  

 

でも、「教育分析」が打ち切られた後。

私は、できるだけ自力で、自分を知るための道を切り開こうと努力しました。

先生が「人に頼らず、自分で道を切り開きなさい」と、身をもって私に教えてくれたような気がしたのです。  

 

とはいえ、「自力で頑張る力」を身につけることと、「何でも一人で抱え込む」ことは、実は別物だと、今の私は思っています。

それに、あのとき、先生に見捨てられたような気持ちになったからこそ、私は、安心して頼れる相手を見極める大切さを学ぶことができたのです。

 

一人で頑張らなくても大丈夫

当時の私は、「人に頼ることは依存につながる」と思い込んでいました。

でも、今は、頼れる相手を選び、上手に頼ることも、自分を大切にする力の一つだと感じています。

それに、「自立とは、依存しなくなることではなく、依存先を増やすことである ※1 」という考え方もあります。

 

※1:熊谷晋一郎氏(東京大学先端科学技術研究センター教授)の言葉として知られています。

 

まずは、話してみるだけで構いません。

長い間、一人で抱えてきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

 

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、安心できる関係の中で、あなたの心にじっくりと向き合っていきます。

 

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