愛されていないと信じ込んでいた私が母の激烈な愛情を知る【私が自分を生きるまで⑮】
母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきた私。
生きづらさを解消し、「自分を生きる」ために、自己探究を重ねていきます。
自己探究の過程で、私の心の中にある、自分を「否定する部分(パーツ)」が少しずつ揺らいでいき、生きやすさを感じるようになったころ――。
母が私をけなすような言葉を遺して亡くなりました。
母に愛されていなかったことを決定づけるような出来事に、心が打ち砕かれます。
ですが、苦しい思いを抑えて、やるべき作業をこなすしかなかった私。
そんな私でしたが、心理療法の専門家の助けを借りて、「母が私に愛情を注いでくれていた」ということに気づくことができました。
今回は、悪戦苦闘、試行錯誤の末に、母の激烈な愛情に気づいた、そのときの出来事について、お伝えします。
母の最期の言葉に衝撃を受け、心を整える
母の最期の言葉に深く傷つく
「ナオミは、バカで、のろまで、肝心な時に役に立たない」
それが、私に対する母の最期の言葉でした。
弟のことは褒めちぎり、妹の将来を案じていたのに、私だけ――。
幼い頃から失敗ばかりで、しょっちゅう母に怒られていた私。
だからこそ、「いつか母に認めてほしい」と思い、私なりに頑張ってきたのです。
母が亡くなっただけでも悲しいのに、私だけ、とことん否定されて終わるなんて、悲しすぎる。
母に愛されていないということが、決定づけられてしまった。
私は、本当に要らない人間だったんだ。
そんな思いに凝り固まってしまいました。
必死に気持ちを整えていく
正直なところ、悲しみの沼に沈んで、引きこもっていたいような心境にあった私。
ですが、日常生活を営んでいくために、ショックを引きずる訳にはいきません。
必死の思いで、自分の気持ちを整えることにしました。
まず、母の最期の言葉をポジティブに意味づけし、前向きな気持ちを作り出します。
そのために、ネガティブな気持ちを抑え込んだといったも過言ではありません。
母の最期の言葉は、「だれかに認めてもらうのではなく、自分で自分を認めることが大切」という母からのメッセージだったんだ。
そして、自分を卑下して落ち込まないよう、毎日、お風呂に入りながら、「慈悲の瞑想」の言葉を唱えることにしました。
慈悲の瞑想を唱えている間は、嫌なことを思い出さずに済むからです。
悲しい思いがにじんだら封じ込める
母の死後、表面的には、何の滞りもなく、日常生活を送っていた私でしたが――。
やっぱり、母に認めてほしかった!
自分で自分を認めることなんて、できない!
ふとした折に、そんなやりきれない思いが、じわじわと広がっていきます。
その都度、
自分で自分を認めるために、母から与えられた試練を乗り越えるんだ!
そう自分に言い聞かせ、自分の思いを封じ込める日々を送っていきました。
※母の最期の言葉に傷つきながら、何とか自分の心を整えた詳細については、もっと知りたい方は、こちらもどうぞ。
※「慈悲の瞑想」について、関心のある方は、こちらもどうぞ。
私を認めてくれる優しい母のイメージは、フィットしない
優しい母のイメージに涙する
ネガティブな思いを抑え込みながら、日々の生活を送っていたとき――。
私が所属している「ハコミセラピーの団体(JHEN)」※1 で、スペシャル企画ワークショップが行われました。
カナダ人のシニアトレーナー、ジョージア・マービンさんをゲスト講師に迎えてのワークショップ。
※1:「ハコミセラピー」とは、「マインドフルネス」をベースに、心と身体の両方に働きかける心理療法です。
コロナ禍ということもあり、オンラインでの開催。
テーマは、「人との関係性」でした。
ワークショップでは、「今この瞬間」に注意を向ける「マインドフルネス」の状態になり、自分の中に起きてくることを、1つ1つ丁寧にとらえていきます。
身体の感覚、感情、考え、イメージなど、自分の中に起きることは様々です。
ジョージアさんは、参加者をマインドフルネスの状態になるよう誘導したあと、次のような言葉をかけました。
あなたにとって大切な人が、あなたに近づいてきます。
そして、あなたに必要なものを与えます。
すると、私の中に、一連のイメージが展開されていきました。
3~4歳くらいの私が、しゃがみこんでいる。
20代半ばの若い母が、私の後方から、ゆっくりと私に近づいてくる。
幼い私のとなりに座った母。
「ママは、なおちゃんのことが、大好きよ」
そんな風に言って、私の頭をなでてくれる。
それは、幼い私が切望していた体験でした。
私は、ずっと得られなかったものが手に入ったような喜びで、うちふるえます。
涙もこぼれます。
満たされた気持ちで、それからの日々を過ごすことができました。
時間が経つと効力が薄れていく
ところが、1ヶ月も経たないうちに――、
私の中の批判的な部分が、ムクムクとふくれあがってきたのです。
そんなイメージは、嘘っぱち。
私の母が、そんな優しい言葉を言うはずがない。
私が求めている幻想に過ぎない。
まぼろしだったのか。
ぬか喜びだったなあ。
そんな思いが、駆け巡りました。
私を認め、優しく頭をなでてくれる母のイメージは、時間が経つにつれ、効力を失ってしまったのです。
母の激烈な愛情というイメージは、フィットした
心を保つための秘策が見つからない
踏ん張り、頑張り、ギリギリのところで、自分を保っていた私。
自分の心を保つために、さらなる秘策を得たい!
そんな思いから、「ハコミセラピー」以外の講座にも、意欲的に参加しました。
コロナ禍で、オンラインの講座が主流だった時期。
参加しやすかったこともあり、憑りつかれたように、様々な講座を受講しまくりました。
自分や相手の強みを活かす講座。
無意識にアプローチして人生を変えるというセラピーの講座。
トラウマを治療する技法を学ぶ講座。
意欲的に生きることをサポートするコーチングの講座。
トラウマを糧として自分を生きるためのコーチングの講座。
正直なところ、得られるものは、ありませんでした。
心の中の「猛獣」が暴れ出す
それでも、諦めることなく、「自分にとって必要なものを追求し、心の平穏を得る」というセラピーの講座に参加しました。
2人組でセラピーの練習をする際、私のお相手の方の声かけが、私の心を揺さぶります。
「セラピストの資格をもっています。どんなものを出してきても、大丈夫ですよ」
その言葉を聞いて、私の中にずっと閉じ込められていた「猛獣」が解き放たれたのです。
母の最期の言葉に深く傷つき、そのことで怒り狂っている「猛獣」。
周りの人や自分自身を傷つけないために、心の奥底に封じ込めていたのに、鉄格子のとびらが開いてしまった。
「あなたにとって、必要なものは?」という問いかけを聞くと――。
心の中の「猛獣」が、一気にキバをむき出しました。
あっという間に、自分が気に入らないと感じている人たちを、惨殺するイメージが展開されていきます。
そのことを伝えると、お相手の方は、驚愕の表情。
そして、「ちょっとお待ちください。主催者と話し合ってきます」を、くり返す。
私の心の中の「猛獣」は、異常者扱いされているように感じて、猛烈に怒り出す。
お相手の方が、主催者の意見を聞いて、一生懸命に働きかけてくれますが、私の心は荒れ狂います。
「猛獣」が暴れ出し、吠えまくる感じ。
私は、「猛獣」がこれ以上暴れないよう、抑え込むことに必死で、何の反応もできません。
母の愛を実感する展開に
セラピーが、全く動かなくなり、お相手の方は困り果ててしまいます。
最終的に、外国人の著名な講師(セラピスト)に、直接、セラピーをしてもらう、という展開になりました。
外国人のセラピストの誘導で、無意識を探っていくと――。
「猛獣」は姿を消していき、別のイメージが浮かんできたのです。
天空に浮かぶ大きな白い光の玉。
亡くなった母の魂だと分かる。
そこから、白い光の筋が流れ星のようにスーッと落ちてくる。
落ちてきた光が地面にぶつかると、ぶつかった地点が明るく輝き、母の声が聞こえてくる。
ナオミはだらしないから、一生結婚できずに孤独死する。
ママの言うことが聞けないなら、落ちるところまで落ちて、地獄を見なさい。
ナオミは、バカで、のろまで、肝心な時に役に立たない。
これまでは、押しつけがましくて、言葉がきつくて、言われると嫌だった言葉ばかり。
でも、地面にぶつかって弾け飛ぶ光と一緒に、言葉に込められた母の思いが伝わってくるのです。
ナオミには、ちゃんとした子になって、結婚して幸せになってほしい。
ママの言うことを聞いて、ツラい思いをせずに、幸せに暮らしてほしい。
ナオミを残して死ぬのは、心配でならない。
母の思いは、ものすごい数の流れ星となって、私の行く先々に降り注ぎます。
流れ星が落ちた地点が、次々と明るく輝いていく。
最終的に、光が地球全体を包み込むほどに、まぶしく光っている。
ああ、母は私のことを、本当に大切に思ってくれていたんだ。
ただ、愛情が強すぎるのと、伝え方がハードだから、私には伝わりづらかったんだ。
流れ星や隕石に当たったら、相当痛いからね。
「猛獣」から出てきたものだから真実味があった
おりこうさんな私からではなく、私の中の「猛獣」から絞り出されたイメージ。
驚くほど、私の気持ちにフィットし、心の中に染みこんでいきました。
母の激烈な愛情が、リアルに感じられ、思わず、涙。
「私はこのままでいいんだ」という思いを、感じることができたのです。
講座でペアになったお相手の方を困らせてしまい、悪いことをしてしまったと反省しています。
ですが、私の心の中の「猛獣」が解き放たれたからこそ、出てきたイメージでした。
「マインドフルネス」の状態になると、意識レベルが下がっていき、無意識に潜んでいるものが前面に出やすくなります。
「物事を理性的に捉えて処理しようとする私」「幼くて純粋な私」を押しのけて、「母の毒をくらいながらも、しぶとく生き抜いてきた、荒ぶる私」が、自分の心を保つために必要なものをつかみとった感じでした。
だからこそ、心にフィットしたのです。
心の問題の解決策は、人から与えられるものではなく、自分の中から出てくるものだと、痛感しました。
とはいえ、この気づきも、外国人のセラピストによる導きがあったからこそ、たどり着けたもの。
安心できる場と、専門的なサポートがあったからこそ、自分の内側にある本当の声を、ようやく聞くことができたのだと思います。
一人で頑張らなくても大丈夫
頭で理解しようとするだけでは、たどり着けない気づきがあります。
それでも、安心できる場と、伴走してくれる人がいれば、自分の内側にある本当の声に、少しずつ近づいていくことができます。
まずは、話してみるだけで構いません。
長い間、一人で抱えてきた。
それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。
「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。
私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、あなたの中にある「猛獣」のような部分(パーツ)の声にも、そのまま耳を傾けながら、一緒にひも解いていきます。
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※続きはこちら。母の激烈な愛情に気づいたことで、父の愛情を素直に受け入れることができるようになりました。その後の自己探究のプロセスが気になる方へ。
※今回の記事は、天狼院書店のメディアグランプリに掲載された文章を、大幅に加筆修正したものです。


























