発達凸凹があると、なぜこんなに傷つきやすいのか|苦しさが続くメカニズムと出口
同じような出来事があっても、なぜか自分だけが深く傷ついている。
時間が経っても気持ちが切り替えられず、頭の中でぐるぐるとくり返してしまう。
周りの人は「気にしすぎだよ」と言うけれど、気にしないようにと頑張っても、どうにもならない。
そんな経験をくり返していませんか。
これは、意志が弱いわけでも、性格が悪いわけでもありません。
「発達凸凹」がある人は、傷つく体験が深く心に刺さりやすく、苦しい思いが長引きやすい構造を持っているのです。
この記事では、28年の臨床経験と自己探究から見えてきた、そのメカニズムについてお伝えします。
「なぜ自分だけこんなに苦しいのか」
その答えが、ここにあるかもしれません。
「発達凸凹」とは何か―診断がつかなくても、該当する人がいる

「発達凸凹」とは、生まれつき得意なことと苦手なことの差が大きいという特徴のこと。
日常生活に支障が出るほどの場合は「発達障害」という診断がつきます。
ですが、診断はつかないまでも、同様の傾向を持つ人は少なくありません。
私自身も、軽微な発達凸凹を持ちながら生きてきた一人です。
また、私の母も、振り返ってみると「自閉スペクトラム症」の特徴に当てはまることが多く、私はそれが母の生きづらさに深く関わっていたと気づきました。
母の具体的な特徴を挙げてみると……。
- 私の結婚式で、人が死んだ話を楽しそうに披露しており、私の妹に注意される。
- スイッチが入ると、自分の趣味や、だれかの悪口を、数時間にわたって話し続ける。
- 相手の話に興味が持てないと、つまらなそうな顔をして、話を終えてしまう。
- 同窓会や人が集まるパーティを嫌がり、ほとんど参加しない。
- 30代以降、友だちは1人だけ。しかも、一緒に出かけることは、ほとんどなかった。
- 知らない場所での外食、新しい土地への旅行は、したがらない。
- 一度、嫌いになると、その相手をトコトン嫌う。
- 「良い」と思ったものを絶賛し、周りの人にプレゼントする。
- 「物」をコレクションするのが好き。
- 礼儀作法、言葉づかい、世間の常識を遵守する。
- においには、とても敏感(感覚過敏)。
- 仕事(興味のある分野)では、高い能力を発揮する。
- 家事(興味のない分野)は、やればできるが、やりたがらない。
「傷つく体験」が、発達凸凹のある人に深く刺さる理由

「傷つく体験」が違いを生む
私がカウンセリングで扱った「クラスになじめない」という小学生の男の子。
この男の子は、医療機関を受診し、「自閉スペクトラム症」の傾向(発達凸凹)があると言われました。
この男の子と私の母。
二人とも、醸し出される雰囲気は似ているのですが、言動がまったく違っていました。
男の子は、クラスメイトを指さして、「この子、頭が悪いんだよ」と言うことはありました。
でも、心の声が表に出てしまうだけで、基本的には穏やかな性格。
ご両親の愛情を受けて、すくすく育っている印象だったのです。
一方、私の母は、気分の波が大きく、母自身が苦しんでいる様子が伝わってきました。
でも、母は、基本的には優しい性格の持ち主です。
あの男の子と、何が違うのでしょう?
男の子と私の母の違いは、「傷つく体験」の有無。
母は、小さいときから、「傷つく体験」を重ねていたのです。
私が、母方の親戚などから聞いて知った、母の「傷つく体験」は、以下の通りです。
- 実父(母方祖父)が、お酒を飲むと、家族に暴力をふるった。
- 実父が反対したため、行きたい高校へ行けなかった。
- 大学へ進学したかったが、実父が病死したため、あきらめた。
- 高卒後に勤めた会社で、先輩たちにいじめられた。
- 結婚後、夫の両親(父方祖父母)と同居し、嫁姑、親族との関係で、つらい思いをした。
傷つく体験が発達凸凹のある人に深く刺さるメカニズム
「傷つく体験」は、多くの人の心に、マイナスの影響を与えます。
ですが、「発達凸凹」、特に「自閉スペクトラム症」の傾向がある人の場合。
苦手なことがあるせいで、マイナスの影響が大きくなります。
「自閉スペクトラム症」の人がもつ特徴と、起こりやすいマイナスの影響は、以下の通り。
①自分の気持ちを客観的に見つめて、整理することが苦手。
⇒感情のコントロールが難しい。
②物事に臨機応変に対処することが苦手。
⇒人から嫌なことを言われたり、されたりした場合、正面から受けとめてしまい、ひどく傷つく。
③嫌な言葉や場面を、くり返し思い出してしまう。
⇒時間が経つほど、ダメージが大きくなる。
私の母も、「自閉スペクトラム症」の特徴をもっていたと思われます。
そのために、「傷つく体験」から、大きな痛手を受けていたのです。
私も、母と同じような「発達凸凹」の特徴を持ち合わせてはいますが、母よりは、やや薄めの特徴。
それに、母のほうが「傷つく体験」を重ねていた。
母のほうが、私より、ツラい思いを抱えていたんだろうなあ。
そんなことにも、気づきました。
発達凸凹がある人は、苦しい思いにとらわれてしまう
発達凸凹がある人が苦しい思いにとらわれる要因
「傷つく体験」があっても、多くの人は、徐々に回復していきます。
多くの人、つまり、多数派の人たちは、「発達障害(発達凸凹)」の特徴がなかったり、薄かったりする人たちです。
ですが、「発達凸凹(発達障害)」、特に、「自閉スペクトラム症」の特性がある人の場合。
苦手なことがあるせいで、「苦しい思い」を強めてしまいます。
「自閉スペクトラム症」の人がもつ特徴
⇒そこから起こるマイナスの影響
⇒「苦しい思い」にとらわれる要因となるもの は、以下の通り。
①人と、ほど良い距離を取ることが、難しい。
⇒相手に依存する(甘える、攻撃する)、相手に全く関わらないなど、極端な対人距離をとってしまう。
⇒周囲の人たちからの援助が、得られにくくなる。
②あいまいなことが嫌いで、白黒ハッキリつけると、安心する。
⇒「相手が悪い」「自分が悪い」という一時的な判断を、絶対的な判断と思いこんでしまう。
⇒相手への恨み、あるいは、自分を責める気持ちが、どんどん強くなる。
③不安なことがあると、こだわりが強くなる。
⇒新しい行動を起こすことが難しくなり、これまでのやり方に固執する。
⇒嫌いな相手や状況から、うまく離れることができない。
④記憶のリフレッシュが難しく、嫌な体験を忘れることができない。
⇒ふとしたきっかけで「傷ついた体験」を、ありありと思い出してしまう。
⇒愚痴を言うことを含め、ささいなきっかけで嫌な場面が鮮明に思い出され、「苦しい思い」を強めてしまう。
傷つきやすいメカニズムを知るだけでは不十分
私の母も、周囲の人(私や父)に対して、甘えと攻撃をくり返し、自分の「苦しい思い」を発散させようとしていました。
父方の親戚が「悪い」と憎んでいる一方で、「より良い人間であらねば」というこだわりから、お中元やお歳暮は、欠かしません。
そして、父方の親戚の悪口を言う度に、母の「苦しい思い」が増していくようでした。
「発達障害(発達凸凹)」の特徴を持つ人が、「傷つく体験」を重ねることで、「苦しい思い」を強めるというメカニズム。
このメカニズムを知ると、「なぜ自分はこんなに苦しいのか」という問いに、一つの答えが見えてきます。
でも同時に、「分かった。では、どうすればいいのか」という問いが浮かぶかもしれません。
この悪循環を止めるには、メカニズムを「知る」だけでは不十分です。
自分の内側に働きかけるアプローチが必要になります。
「知っている」だけでは、苦しさは変わらない

発達凸凹があると、傷つきやすく、苦しい思いが長引く。
そのメカニズムを頭で理解しても、苦しさがすぐに消えるわけではありません。
なぜなら、この悪循環は、「知識」ではなく、長年にわたって心と身体に刻み込まれたものだからです。
必要なのは、自分の内側に何が起きているのかを、安全な場で丁寧に探ること。
そして、傷ついてきた部分が「もう大丈夫だ」と感じられる体験を、少しずつ積み重ねていくことです。
あなたの苦しさには、ちゃんと理由がある
私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、発達凸凹の特性と、親との関係から生まれた自責の深さを、両方の視点から丁寧に扱います。
「なぜ自分はこんなに苦しいのか」
その問いを、一緒に解きほぐしていきませんか。
まずは、話してみるだけで構いません。
長い間一人で抱えてきた。
それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。
「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。
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