発達凸凹(発達障害)の人が仕事で失敗を減らすために大切なこと
仕事でミスが続いて、職場の人から厳しい指摘を受けることが増えた。
みんなと同じように頑張っているつもりなのに、なぜか、自分だけうまくいかない。
そんな経験はありませんか。
その原因は、あなたの努力不足ではなく、「発達凸凹 ※1 」と職場の環境とのミスマッチかもしれません。
環境によっては、苦手なことが目立ち、ミスが増えやすくなるのです。
私自身、学生時代や民間企業で働いているときは、特にトラブルがありませんでした。
ところが、心理カウンセリングの業界で働くようになってから、周りから厳しい指摘を受けることが増え、自分に「発達凸凹」があることに気づいたのです。
今回は、工夫を重ねる中で見つけた、「発達凸凹(発達障害)の人が仕事で失敗を減らすために大切なこと」についてお伝えします。
※1:「発達凸凹」とは、発達障害の診断はつかないまでも、生まれつき、得意なことと苦手なことの差が大きい状態を言います。
「発達凸凹」があると気づいた私
特殊な業界で働いたら、うまくいかなくなった
私は、心理カウンセリングの業界で働くようになってから、状況が一変しました。
いじめ(嫌がらせ)にあったり、 「仕事のできない心理カウンセラー」とけなされたり――。
散々な目にあうようになったのです。
原因を探るうちに、私自身に「発達凸凹」があるのではないかと、思うようになりました。
とはいえ、病院へ行っても、診断がつかないレベル。
だって、同僚だったベテランの心理カウンセラーに、「私、発達障害があるかもしれないんです」と相談したら――。
「あなたみたいなのが発達障害だなんて、聞いたことないわ!」と、一喝されたほどでしたから。
※「発達凸凹」について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。
自分の特性を整理し、裏づけを探す
自分自身に「発達凸凹」があると気づいた私は――。
まずは、自分の特性などを把握して、そのうえで、対策を練っていくことにしたのです。
具体的な行動と診断基準をもとに
私が仕事上でやりがちなミス、そして、苦手なことをピックアップしてみました。
- 良かれと思って、口にした言葉が、相手を不快な気持ちにさせてしまう。
- 関わっている人たちの意見が異なると、うまく調整することが難しく、判断を誤ってしまう。
- 特定のことに注意を奪われると、周りにまんべんなく注意を向けることが難しくなる。
「自閉スペクトラム症」に近い特徴をもっているのではないかと思います。
ですが、日常生活に支障があるほどではなく、診断基準には当てはまらないのです。
診断基準に当てはまらないからこそ、「発達凸凹」なのですけれどね。
※発達障害の診断基準などについて、 詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。
専門家の書く本をもとに
発達障害であるか否かは、血液検査や画像検査のような客観的な指標ではなく、日頃の生活の様子が判断材料となります。
そして、発達障害の診断は、その特性のために、生活に支障が出る状態があって初めてくだされるのです。
診断がつくほどではないけれど、特殊な環境下において、生きづらさを感じていた私。
「私の状態って、中途半端だなあ」と、モヤモヤした思いを抱えていました。
ですが、発達障害カウンセラーの吉濱ツトムさんが書いた本を読んで、謎が解けました。
その本に書かれていたことが、私にドンピシャだったからです!
軽度のアスペルガー ※2 の特徴をもつ人、特に女性は、相手の気持ちを細やかに感じとることができ、その場の状況を把握することもできる。
しかし、ときどき、その場の空気を読みあやまることがある。
「隠れ発達障害という才能を活かす逆転の成功法則(2018)吉濱ツトム 徳間書店」より抜粋
※2:「軽度のアスペルガー」とは、今でいうところの「自閉スペクトラム症」のこと。
当事者や当事者に近い人からの意見をもとに
私が自分の「発達凸凹」を自覚するようになったのは、他にも理由があります。
2人の人から、「(発達障害の傾向が)ありますよね~」と言われたのです。
1人は、職場の同僚。
自閉スペクトラム症の診断を受けた人でした。
1人は、不登校生徒の保護者。
自閉スペクトラム症の診断を受けたお子さんを育ててきた人でした。
ある意味、当事者や当事者に近い人から、「発達凸凹」のお墨付きをもらった、とも言えます。
もちろん、これは、診断を受けた訳ではありません。
私が腑に落ちた体験を書いただけのことです。
仕事や生活で困りごとが続くときは、専門機関に相談することもおすすめします。
成功分析のススメ
「発達凸凹」があるから、ミスが多いのか。
心理カウンセリングの業界は、人との関わりについて、高度なスキルが必要とされるから、トラブルが増えてしまったんだな。
自分の特性を把握したら、あとは、どう工夫するかが、鍵になります。
仕事でうまくいったときについて分析する
仕事でうまくいかないことが続くと――。
ついつい、「仕事で失敗したとき」のことばかり考えてしまいます。
もちろん、自分の失敗を振り返り、反省点を見出すことで、次の失敗を防ぐことができるかもしれません。
ですが、私のように「発達凸凹」のある人の場合。
「仕事でうまくいったとき」を振り返ることが重要になります。
「仕事で失敗したとき」のことを真っ先に振り返ると、嫌なことをありありと思い出し、傷つき体験を重ねてしまうからです。
それに、「仕事でうまくいったとき」には、「問題を解決するためのヒント」が隠れています。
「特定の条件や要因」がそろっているから、仕事がうまくいくのです。
そのため、「仕事でうまくいったとき」について振り返り、うまくいくための「特定の条件や要因(パターン)」を見つけます。
「成功分析」と呼んでも良いかもしれません。
成功分析が済んでから、「仕事でミスをするとき」のパターンを探します。
その際は、成功するときのパターンと、失敗するときのパターンを比べ、「成功するための具体的な対策」を磨き上げることを目指すのです。
自分の心を守り、仕事のパフォーマンスを上げるためには――。
①成功の分析
②失敗の分析
③成功するための具体的な対策
この順番が大切です。
私の行動を分析してみた
私自身の仕事上でのパフォーマンスを振り返り、分析を試みてみました。
ステップ①:成功分析
まず、私が「仕事でうまくいったとき」に共通するパターンをピックアップしていきます。
- たっぷり睡眠をとった日は、身体の調子が良く、頭がさえていた。
- 自分が評価されることより、相手の利益を一番に考えていた。
- 心のどこかで「何とかなるさ」と思っていた。
- 職場の人が大らかで、私のことを温かく見守ってくれた。
ステップ②:失敗分析
次に、私が「仕事でミスをするとき」に共通するパターンをピックアップします。
- 相手に言われたことを、真に受け、反射的に判断したり、返答したりする。
- ミスをすると、「失敗してはいけない!」と、自分に意識が向き、相手に注意を向けることがおろそかになる。
- ミスをすると、自分を責めてしまい、「失敗してはいけない!」という思いが、ますます強くなる。
- 職場の人から、私のミスを厳しく指摘されると、ミスしやすくなる。
ステップ③:成功するための具体的な対策
そのうえで、「成功するための具体的な対策」について考えていきます。
- 日頃から、睡眠をしっかりとる。
- マインドフルネス瞑想、呼吸法を日常的に取り入れ、身体と心をゆるめる時間をもつ。
- 苦手なことについて、職場の人に伝え、サポートしてもらう(協力的な人のみ)。
- 失敗をしても、自分を責めず、改善点について考える。
- 自分を責めるメカニズムについて解明し、解きほぐしていく。
「発達凸凹」がある場合、どうしても、苦手なことがあります。
苦手を克服しようと、ただひたすらに頑張っても、苦しくなるだけです。
そのため、自分の苦手と強みを整理し、強みを活かせるような対策を練っていく――。
すると、失敗がなくなる訳ではありませんが、大きな失敗が減っていき、気持ちが楽になっていきます。
「発達凸凹」がある人が働く際に意識しておきたいこと

私のように「発達凸凹」がある人が、仕事をする際に意識しておきたいことについて、考えてみました。
自分に合った「環境」で働く
私の場合、専門家として繊細な判断を求められる「心理カウンセリング業界」で働くようになってから――。
仕事上のミスを、周りから厳しく指摘されるようになりました。
ところが、そんな私でも、心理カウンセラーとして、のびのびと働ける職場があるのです。
- 私の仕事ぶりを、いちいち批判せず、大らかに見守ってくれる。
- 私の得意なところ、頑張っているところを、認めてくれる。
- 私の苦手なところを、サポートしてくれる。
- ミスをしても、「誰にでもあること」と、励ましてくれる。
こうした居心地がいい職場にいると、「何とかなるさ」という考えがわきやすく、のびのびと仕事ができます。
ストレスが少ないお陰で、ミスも減少しました。
実は、「発達凸凹」がある人にトラブルが起きるかどうかは、「環境」の要因が大きいのです。
トラブルが起きるのは、「自分の特性と環境とのミスマッチ」があるとき。
「自分に合った環境」にいると、トラブルが起きづらいですし、トラブルがあっても、大事にはいたりません。
とはいえ、自分に合った「環境」を見つけることは、簡単なことではありません。
私は、8ヶ所の職場で働きましたが、居心地がいいと感じた職場は、1ヶ所だけでした。
ただ、私自身、自分に合わない「環境」で仕事をすることで――。
「何が自分に合わないのか。どんな環境なら合うのか」ということが分かってきたところがあります。
自分に合わない「環境」にいる人は、「自分に合った『環境』を見つけるための学びを深めている」と思ってみると、少し気持ちが楽になるかもしれません。
ただし、心身がすり減るほどの「環境」からは、離れることも大切な選択です。
「発達凸凹」のカミングアウト
職場など、あなたが過ごす「環境」で、カミングアウトするかどうかは、あなたが決めて良いことです。
無理に伝える必要はありません。
そのうえで、カミングアウトするという判断をした場合のポイントについて、お伝えします。
悪い印象を与えるカミングアウト
私には発達凸凹があるから、この仕事は苦手です。
やれません。
私も、こういう言い方をしたくなることがあります。
もちろん、仕事をやりたくないから、そう言っている訳ではありません。
相手に自分のことを分かってほしい。
苦手なことを先に知ってもらって、失敗を減らしたい。
そんな思いがあるからです。
ですが、相手によっては、「発達凸凹があることを振りかざして、『苦手なことはやりません!』と逃げようとしている」と受けとめる人もいます。
悪い印象がついてしまうのは、もったいないです。
それに、職場の雰囲気が悪くなると、働きづらくなり、仕事上のミスも増えてしまうかもしれません。
良い印象を与えるカミングアウト
相手に自分のことを分かってもらいつつ、相手に嫌な思いをさせないために――。
自分の得意なことを活かして、職場の人にメリットをもたらすこと
苦手なこと
これらをセットで伝えます。
得意なことはあるけれど、苦手なこともある。
これは、「発達凸凹」がない人にでも、分かってもらいやすいこと。
だからこそ、相手に伝わりやすく、悪い印象を与えづらくなります。
そして、伝える順番が大切です。
得意を伝えてから、苦手を伝える。
たとえば、私でしたら――。
相手の悩みを1対1で、じっくり聞くことは得意です。
一方で、複数の人たちの意見が異なる際に、うまく調整することが苦手なので、どう対応すると良いか、相談させてください。
のように伝えます。
この順番で伝えると――。
得意なことは、喜んでお引き受けする。
でも、苦手なことは、お手伝いをお願いしたい。
そんな風に相手に伝わります。
そのため、苦手なことに関しても、職場の人たちから、サポートしてもらえたり、大目に見えてもらえたりすることが増えるのです。
「ギブアンドテイク」「ウィンウィンの関係」は、人との関わりにおいて、大切なことだと実感しています。
※自分の「得意」が分からないという方は、こちらもどうぞ。
ただし、私が先ほど述べた「成功するための具体的な対策」の5つ目、「自分を責めるメカニズムを解明し、解きほぐす」ことは、一人で取り組むには、難しいところがあります。
仕事のミスで、自分を責め続けてしまうあなたへ
仕事でミスをするたびに、自分を責めて、心がすり減ってしまう。
対策を知っていても、いざという場面で、うまく動けなくなる。
そんな毎日が、続いていないでしょうか。
まずは、話してみるだけで構いません。
うまくいかないことが続いても、仕事を投げ出さずに、続けてきた。
それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。
「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。
私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、発達凸凹の知見も取り入れながら、あなたの得意なことに光を当てるとともに、ミスのたびに自分を責めてしまう心の部分(パーツ)にも、一緒に向き合っていきます。
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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。
※仕事がうまくいかないときに、自分の「強み」を活かして解決策を見出すことについて、詳しく知りたい方へ。
※ミスをする度に自分を責めてしまうことについて、もっと掘り下げたい方へ。


























