発達凸凹が問題なのではなく、自分に「審判」をくだしているだけ

2026年10月16日

失敗をするたびに、「また、やってしまった」「どうして私は、こうなんだろう」と、自分を責めてしまう。

周りの人は気にしていなくても、自分が自分を許せない。

そんな経験はありませんか。

 

「発達凸凹 ※1 」があると、うっかりミスや場違いな言動が、どうしても多くなります。

そのたびに、いちばん厳しく責めてくるのは、周りの人ではなく、自分自身かもしれません。

 

私自身、診断がつかない程度の発達凸凹を抱え、仕事で失言や判断ミスをするたびに、自分で自分にダメ出しをしてきました。

あるいは、周りから何か言われる前に、「ああしたらダメ。こうしたらダメ」と、自分に制限をかけ、身動きが取れなくなってしまうことさえあります。

ところが、その厳しい声が、私の心を削っているように見えて、実は、私を守ろうとしていることに気づいたのです。

 

今回は、発達凸凹のあなたが生きづらい本当の理由のひとつ、「自分にくだす審判」についてお伝えします。

 

※1:「発達凸凹」とは、発達障害の診断はつかないまでも、生まれつき、得意なことと苦手なことの差が大きい状態を言います。「発達凸凹」について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

 

この記事は、生きづらさの原因を3つの視点から見つめる、「発達凸凹が問題なのではなく」シリーズの1つです。

 

常識の鎖

期待の罠

自分にくだす審判(今回の記事)

 

生きづらいのは、自分がダメだから?

 

 

自分へのダメ出しが止まらない

私には、本当に能力がない。

生まれながらの欠陥品。

 

仕事で失言や判断ミスをすると、そんな言葉が、私の中からわいてきます。

そして、悲しみ、悔しさ、怖れ、不安など、様々な感情で、胸が苦しくなる。

 

それでも、仕事をこなしていくためには、何らかの解決策を見出さないといけません。

不安や怖れが強いために、判断が鈍るのか。

そもそも、頭が悪いのか。

 

そんな風に考え、私は自己研鑽に励みました。

  • 生い立ちも含めた自分自身の在り方を深掘りする。
  • 能力を開発するために、ビジネス系の研修会に参加する。

 

私なりに、血のにじむような努力をしても、仕事でのミスはなくなりません。

思い返せば、幼いころから、失敗をくり返すことで、しょっちゅう母に怒られていました。

「〇〇(弟の名前)はちゃんとしているのに、なんで、ナオミはできないの!」

 

苦しい思いを重ねてきた私でしたが、大人になって気づきました。

私に発達凸凹があって、注意力に何らかの問題があるから、ミスをするのではないのか。

 

改めて、そのことに気づくと、自分自身に改善のしようがない欠陥があるような気がしてきます。

そして、自分へのダメ出しが激しさを増していくのです。

 

自分を追いつめる「アウトの審判」

「発達凸凹が問題なのではなく」シリーズの記事でお伝えした「常識の鎖」「期待の罠」は、あなたの生きづらさのひとつの要因になっています。

ですが、あなたを一番追いつめているのが、あなたがあなた自身にくだしている「アウトの審判(ジャッジ)」。

簡単に言えば、「自分へのダメ出し」です。  

 

たとえば、あなたが仕事でミスをしたとき、あなたの頭の中には、どんな考えや言葉が浮かびますか。

私の場合は、「アウトの審判」が浮かびがちです。

 

「アウトの審判」が心を削る

思い通りにいかないことがあると、ひたすら自分にダメ出しをする。

 

たとえば、仕事でミスをしたとき。

周りの人たちが、「なんで、こんなミスをするんだよ!」と声を荒げてきたら――。

自分へのダメ出しは、一層激しさを増し、「私のように使えない人間は、この世で暮らすだけ、他の人の害になる」と、自分を罵倒する。

 

周りの人たちが、「気にしないで。だれにでもあることだから」と言ってくれても――。

「こんなことでミスをするなんて、本当にダメだ」と、自分をけなす言葉が止まらない。

場合によっては、周りから何も言われなくても、自分に対する「アウトの審判」をくだしてしまう。

 

自分に対する「アウトの審判」が重なると、自分の内側から心を削り取られていきます。

ただただ、苦しい思いに沈むばかりです。

 

近しい人の叱責を取り入れてしまう

特に、発達凸凹がある人の場合――。

幼いころから、人とは違った行動や失敗をしてしまいがちです。

そして、怒られることも増えてしまいます。

 

怒られることが日常茶飯事になると、今度は、親など近しい人からの叱責を、いつの間にか、自分の中に取り入れてしまいます。

親などからそうされたように、自分で自分を叱りつけることで、自分を正そうとしているのですが――。

いつの間にか、自分に「アウトの審判」をくだすことが、習慣になってしまうのです。

 

「アウトの審判」について、知っておいてほしいこと

 

 

「アウトの審判」にも大切な役割がある

自分に対する「アウトの審判」があるせいで、苦しい思いを重ねている訳ですから、なくしてしまいたいと思うのは、自然なことです。

ですが、「アウトの審判」が「悪いこと」とは言いきれません。

 

「隠れたメリット」があるのです。

  • 「アウトの審判」の裏には、「こうありたい!」という理想的な自分の姿がある。
  • 「理想的な自分になれたら、幸せになれるはず」と思うことが、心の支えになっている。
  • 理想的な自分に向かって努力することが、向上心につながり、ある一定の成果を上げる。

 

メリットがあるからこそ、自分へのダメ出しをなくそうとすればするほど、逆に強まってしまうこともあるのです。

 

「理想的な自分」に込められた願い

「アウトの審判」の裏にある「理想的な自分」は、育つ過程の中で作られていきます。

親を始めとする周りの人たちから言われたこと、あなたがしてきた体験などが、「理想的な自分」を作り上げる材料となります。  

 

たとえば、「良い子」が理想的な自分である場合。

小さいころから、うまくできないことが多くて、お母さんに怒られてきた。

いろいろなことが完璧にできる「良い子」になったら、お母さんにほめてもらえるかもしれない。

「良い子」になるために、もっと頑張ろう!

 

「こうありたい!」という理想的な自分を作っている、その根っこにあるのは――。

身近な人に認めてもらい、安心して幸せに過ごしたいという願い。

 

だからこそ、「アウトの審判」で自分をムチ打ちながら、理想的な自分になれるよう頑張っているのです。

それなのに、「自分へのダメ出しはやめたほうがいい」「理想の自分にしがみつくのはおかしい」と言い切るのは、あまりにもかわいそう。

やめようと思っても、なかなかやめられないことの根底には、とても大切な願いがあるのです。

 

「自分にくだす審判」から心を守るための3つの工夫

 

 

自分にくだす「アウトの審判」には、メリットもあるし、その根底には切なる願いがあります。

頭では分かっていても――。

自分の中から、次々と「アウトの審判」が出てくると、本当にやりきれなくなります。

 

だからこそ、発達凸凹のある人には、苦しみの沼に沈む前に、自分の心を守ってほしいと思うのです。  

心を守るための3つの工夫は、こちらです。

 

工夫①:自分の気持ちに寄り添う

理想的な自分になれていないときは、とってもガッカリします。

 

まずは、そんな自分の気持ちに寄り添い、身体の感覚を大切にしましょう。

  • 「こんなに頑張ったのに、うまくいかなくて、ガッカリしちゃったね」と、共感的な声をかける。
  • 悲しみがこみあげてきたら、身体の中に起きる悲しい感覚を感じ取り、感じるままに涙を流す。

 

気持ちや身体の感覚を十分に感じきると、一時的にツラくなります。

ですが、まるで詰まったものを吐き出し、通りが良くなったかのように、心も身体も楽になっていきます。  

 

工夫②:「アウトの審判」をくだす存在に感謝をする

自分に対するダメ出しが止まらなくて、心が折れそうなとき――。

「自分を責める声がなくなればいいのに」と思うのは、自然なことです。  

 

ですが、ダメ出しをなくそうとすると、余計に自分を責める声が強くなります。

「アウトの審判」の裏には、「理想的な自分にならなければいけない」という、純粋な頑張り屋さん(心の中の部分=パーツ)がいます。

「頑張り屋さん」が、消されることを嫌がるのです。  

 

それに、「頑張り屋さん」を応援している「世話焼きおばさん」から、ダメ出しが出ている場合。

おばさんが、「せっかく人が親切で言ってやってんのに!」と、ご機嫌ナナメになります。

そのせいで、おばさんの押しが強くなり、ダメ出しがパワーアップするのです。 

 

感謝の言葉を伝えてみる

そんなときは、「アウトの審判」の裏方さんたちに感謝をする、という方法を使ってみてはいかがでしょうか。

  • 理想的な自分になろうと頑張ってくれて、ありがとう。
  • 立派な人間になれない私を、良い人間にしようと奮闘してくれて、ありがとう。
  • あなたたちのお陰で、私は、ここまで生きてこられたよ。  

 

すると、ダメ出しが少しずつ弱くなっていきます。

なぜなら、心の中にいる裏方さんたちは、幼いころから認めてもらえなくて悲しかったからこそ、必死に頑張っているです。

感謝をするという形で、頑張りを認めてもらえると、ホッとして緩んでいきます。

 

ただし、感謝を伝えても、ダメ出しの声がすぐに静まるとは限りません。

声があまりに強くて苦しいときは、一人で頑張りすぎず、専門家と一緒に取り組むほうが安全です。  

 

※心の中にいろいろな存在(パーツ)がいるという考え方について、関心のある方は、こちらもどうぞ。

 

工夫③:自分を励ます言葉をかける

何と言っても、大切なことは――。

あなたがあなたの一番の味方でいること。

 

自分がかけられたらうれしい言葉、励まされる言葉を探してください。

そして、元気がなくなったときに、その言葉をあなた自身にかけてあげましょう。  

 

私の場合は、「生きてさえいれば、何とかなる、なるようになる」なんて言葉がしみます。

嬉しい気持ち、励まされる感じが、身体に広がるのを味わいましょう。

自分に「アウトの審判」をくだす代わりに、「OKの審判」を出すことが習慣になるといいですね。

 

これら3つの工夫は、「できることから少しずつ」で、大丈夫です。

とはいえ、ダメ出しの声があまりにも強い場合――。

気持ちに寄り添おうとしても、感謝しようとしても、すぐに押し流されてしまうことがあります。

 

自分へのダメ出しに疲れてしまったあなたへ

ダメ出しをやめたいのに、気づけば、また、自分を責めている。

そんな自分に、さらにダメ出しを重ねて、心がすりきれてしまう。

そんなことを、くり返してきたのではないでしょうか。

 

まずは、話してみるだけで構いません。

自分の厳しい声と、一人で向き合い続けてきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

 

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、発達凸凹の知見も取り入れながら、あなたにダメ出しをする心の部分(パーツ)にも、その奥で頑張ってきた気持ちにも、一緒に向き合っていきます。

 

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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。


※ダメ出しの裏にある気持ちに気づくことについて、詳しく知りたい方へ。


※自分の気持ちに寄り添う方法について、もっと知りたい方へ。

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