自分の心の中を概観してみたら「心は集合体」だと気づいた

2026年8月13日

「自分の中に、いろいろな自分がいる気がする」

そんな感覚を、うまく言葉にできずにいませんか。

あるいは、感情に振り回されて、「一体、本当の自分はどれなんだろう」と混乱することはないでしょうか。

 

そう感じるのは、あなたが不安定だからではありません。

人の心は、もともと単純な一枚岩ではないからです。

 

母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきた私。

そんな私が、「自分を生きる」ために、悪戦苦闘、試行錯誤を重ねた結果――、

「心は集合体」であることに気づき、生きるのが楽になっていきました。

 

今回は、「心は集合体」の概念を、私の体験を通じて説明していきます。

 

苦しみの中で見えてきた自分の内面

 

 

苦しい思いにさいなまれる

私はずっと、苦しい思いの中にいました。

自己探究の末、ツライ思いをする原因は見当がついています。

 

幼いころから、母に否定的な言葉を投げかけられて育ったからです。

失敗すると、バカ扱い。

弟や妹と比較して、いかにダメな人間かを、あげつらわれる。  

 

母に否定され続けた私は、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきました。

そのせいで、ちょっとでも私の思い通りに事が運ばないと――、

「私は要らない人間だから、こんなことが起こるんだ」と反射的に考えてしまいます。

 

自分のことが、へどが出るほど嫌い。

私みたいなダメ人間は、死んでしまったほうがいい。

 

そんな考えが頭の中でグルグルとめぐり、地獄の業火で焼かれるような、本当に苦しい思いに包まれるのです。 

でも、その一方で、正反対の考えも浮かびます。

 

本当は穏やかに生きていたい。

心軽やかな日々を送ってみたい。  

 

それに、母のことを「ひどい人だ」と怒っている一方で、切り捨てることができません。

母自身も、生い立ちや嫁姑関係などで、つらい思いを重ねてきた人なので、母を悪者だとは思えない。

それ以前に、母のことが好きだし、母に認めてほしい、母に笑顔でいてほしい、という思いが捨てきれないのです。

 

見えてきたのは自分の心の中に存在するもの

葛藤する様々な思いを抱え、どうしたらいいか、分からなくなってしまった私。

「心軽やかな日々を味わってみたい」という一心で、自己探究を重ねていきました。

 

すると、徐々にではありますが、自分の内面で起きていることが見えてきたのです。  

 

私の中には、自分を否定する部分もあるけれど、自分を肯定する部分もある。

母のことを否定する部分も、肯定する部分もある。

自分を形作るものは、1つではない。

相反する部分があるから、葛藤して、苦しくなる。  

 

自分の心の内面には、自分の考えや在り方を形作っている、いくつもの部分があることに、気づきました。

そして、その部分が、互いに反発し合ったり、助け合ったりしていることにも。  

 

そこで、私は、「自分の内面に存在する、複数の部分」を、擬人化してみることにしました。

自分の心の中にある存在に気づいたら、具体的、かつ、詳細に、イメージしていくのです。  

  • 特徴(性格のようなもの)
  • 姿かたち
  • 服装
  • 年齢
  • ピッタリくる名前

 

最終的に、自分の心の中に存在するものを擬人化して、「8人のキャラクター」が浮かび上がってきました。  

 

心の内面にあるものを擬人化してみる

 

 

私の心の中にいる存在を擬人化し、具体的にイメージしていくと、「8人のキャラクター」がいることが分かってきました。

ただし、心の中にいるキャラクターの人数、性格、役割などは、その人その人によって異なります。

私の例が絶対的なものとは思わず、あなたの心の中にいるキャラクターたちを探す際に、参考になさってください。

 

なおちゃん

「なおちゃん」は、天真爛漫で、元気いっぱいな、3~4歳ぐらいの女の子。

  • エネルギーに満ち満ちており、私のパワーの源。
  • どんなときも、自分の思いに正直に突き進む。
  • 世の価値観には惑わされない、自分なりの「好き嫌い」をもっている。 

 

いろいろありながらも、私が図太く、しぶとく生き延びてきたベースには、この「なおちゃん」がいます。

 

きいちゃん

「きいちゃん」は、普段は存在感が薄い、3~4歳ぐらいの女の子。

私の母がもっている一側面に似ているので、母の名前をつけました。  

  • 繊細で、優しい。
  • 母との関係から、自分はダメな人間だと思い込んでいる。
  • 「母のお気に入りになりたい。母の笑顔が見たい」と切望している。
  • 思い通りにならないことがあると、「やっぱり私は要らない子!」と、猛烈に嘆き悲しむ。

 

おそらく、「インナーチャイルド」と呼ばれる「傷ついた子ども」。

私の中にある「自分を責める内なる声」の一つとも言えます。

生きることが苦しくなる根底には、「きいちゃん」の「やっぱり私は要らない子!」の発動があるのです。  

 

タカハシさん

「タカハシさん」は、指示を飛ばし、ダメ出しをする、20代~30代の厳しい女性。

  • 無理難題に近いような指示を出し、その指示に従わないと、叱責をくり返す。
  • 私が「理想的な良い子」になれば、幸せになると思い込んでいる。
  • 義理、人情、礼儀、礼節を重んじる。

 

かつては、私の中にある「自分を責める内なる声」の一つであり、ものすごい勢いで私を罵倒する存在でした。

叱責することで子どもの行動を変え、安心を得ようとしていた、私の母そのもの。

そのため、母の名字(私の旧姓)をつけました。  

 

それに、「タカハシさん」の一部は、フラッシュバック(母の激しい罵倒)でもあることが、後に判明します。

簡単なタッピングで、このフラッシュバックはなくなりました。

 

今では、随分と穏やかになり、金切り声をあげて私を叱責することが減っています。

私の言動が常識から外れていないか、チェックして、的確な指示を出してくれる、頼もしい存在になっているんです。  

 

  「タカハシさん」の一部、認知・思考的フラッシュバックが簡単なタッピングで消えることに、興味がある方は、こちらもどうぞ。

 

なおなお

「なおなお」は、8~9歳ぐらいの、いつも不機嫌な女の子。

  • 周りの人や、私の気になる点を見抜く。
  • 周りの人を警戒し、場合によっては攻撃する。
  • 私の欠点を許せず、失敗すると猛烈に怒り出し、とことん罵倒する。
  • 母に認めてもらえるような立派な人間にならなければいけないと切望している。

 

私を守るために、私を害するような他者を警戒・攻撃する一方で、私を一喝して立派な人間にしようと頑張っています。

私の中にある「自分を責める内なる声」の一つです。

ある意味、幼児的万能感の成れの果てとも言えます。

 

※幼児的万能感が大人になっても消えないことについて、もっと知りたい方は、こちらもどうぞ。

 

ソルジャーなお

「ソルジャーなお」は、11~12歳ぐらいの、働き者の少年兵。

  • 他のキャラクターの指示によって、任務を遂行する。
  • 主に、外界と関わる際に働いてくれる。
  • 疲れ知らずで、実直、勤勉。
  • 取り組んだ物事をとことん極めようとする。

 

こうした特徴のため、どのキャラクターとタッグを組むかによって、働き方が違ってきます。

かつては、「なおなお」と連携することが多く、攻撃する敵がいないか警戒する一方で、敵を発見したら的確に対処していました(攻撃する、退避する、関係を断つ)。

他の場面では、別のキャラクターとタッグを組み、仕事、家事、勉強などをこなすときに、大活躍しています。

 

なおぞう君

「なおぞう君」は、10歳ぐらいの、ちょっと理屈っぽい少年。

  • 知識や情報を集め、分析・探究することが、大好き。
  • 感情に左右されず、冷静、かつ、客観的に考える。
  • あれこれと戦略を練り、対処策を考える。

 

私が、現実世界で仕事や作業をするときに、とても心強い味方です。

心の内面で起きたことを整理し、心理学の知識と結びつけて考え、心を穏やかにするための方法を模索してくれる存在でもあります。

 

なおさん

「なおさん」は、ありがたいお言葉をくださる、年齢不詳、性別不詳の存在です。

  • ご縁、めぐり合わせ、天の力など、人智が及ばない領域にあるものを重んじる。
  • 物事を俯瞰した観点から見る。
  • 窮地に陥ったときに、新しい視点を与えてくれる。

 

何か起きたときに、「今、起きていることは、いずれ私にとってプラスになる」という言葉をくださることが多いです。

「なおさん」の言葉を聞くと、視野が広がる感じがして、心がほどけます。

 

なお

「なお」は、心優しく、温かい思いやりに満ちた20代~30代の女性。

  • 相手の良い面、優れた面を見い出す。
  • 相手のことを信頼する。
  • 相手が成長するのをサポートする。
  • 相手がより良い状態になることをあきらめない。

 

私が人との関係を築くうえで、役立つ存在です。

かつては、周りの人のために働いていましたが、自己探究が進んでからは、私のことをサポートしてくれる心強い存在となっています。

 

心の内面のキャラクターを相関図としてとらえる

 

 

心の内面で起きていることを、「8人のキャラクター」として擬人化した後、「8人のキャラクター」の相関図を考えてみました。

 

相関図を作成し、気づいたことは――。

「なおちゃん」と「きいちゃん」が中心に位置している。

幼い子ども2人を守るために、他のキャラクターが生まれてきた。

 

ある意味、幼い私が生き延びるために作られたキャラクターたちだということが、改めて明らかになりました。

 

苦しい思いをキャラクターの関係性として考える

相関図をもとにして。

私が苦しい思いをするときに、心の内面で起きていることを、キャラクターの関係性として、考えてみました。  

 

①思い通りにいかないこと、心配なことがあると、「きいちゃん」が不安になる。

「タカハシさん」「なおなお」が、「何とかせねば!」と思い、「きいちゃん」を奮起させるために、厳しいダメ出しをくり出す。

「きいちゃん」が、「タカハシさん」「なおなお」の言葉に深く傷つき、「やっぱり私は要らない子。私はダメ人間」と激しく自分を否定する。   

 

何か事が起こる(①)と、ひたすらに②~③をくり返すという流れが生じ、苦しい思いが募っていきます。

結局、自責の言葉も、自己否定の思いも、自分の心を削るばかりだからです。  

 

キャラクターに関わるという対処法

キャラクターの相関図、そして、苦しい思いが生まれるメカニズムが分かってくると、対処法も見えてきます。

 

私の場合、苦しい思いをするときは、3人のキャラクターが動いているので――。

この3人が穏やかになるように、関わっていけばいいのです。

 

たとえば、

ダメ出しをする「タカハシさん」「なおなお」に、感謝する。

「きいちゃん」を慰める。

 

苦しい思いをするときに、ただやみくもに気分転換をはかるのではなく、ピンポイントで対処する。

自分の心の中にあるキャラクターを把握することができると、そうした対処が容易になるのです。

 

心の内面を擬人化することのメリットとデメリット

 

 

メリット

メリット1:自分を客観的にながめることができる

心の内面で起きていることを、擬人化することのメリットは、ズバリ!   

距離を置いて、客観的に、ながめることができるようになる。  

 

距離が近すぎると、感情に巻き込まれ、とてもではありませんが、冷静な視点はもてません。

ですが、心の中にある存在を「キャラクター」として扱うと、自分とは違った人間を観察するような感覚になるのです。

 

自分のことを距離を置いて眺めることができると、自分に対して――。

言い分に耳を傾ける。

優しい言葉をかける。

協力を願う。  

 

そんなことがたやすくなるのです。

 

心の中にあるものを、自分とは別のものとして扱うことを、心理学では「外在化」と言い、さまざまな心理療法で活用されています。

 

メリット2:自己理解が加速し、心が整う

心の内面で起きていることを、擬人化することのもう1つのメリット。

自分の心の中で起きることを、複数のキャラクターが織りなすことと考えると、自分のことを理解しやすくなる。

どのキャラクターに、どのように関われば良いかが分かりやすくなる。

 

「自分」とひとくくりにすると、自分の心に何が起きているのか、訳が分からなくなることは、よくあることです。

ですが、複数のキャラクターの関係性で起きていると考えると、自己理解が加速し、心が整いやすくなるのです。  

 

ちなみに、私は、心の内側にいるキャラクターたちを総括して、「チームなお」と呼んでいます。

私が苦しい思いをするときは、一部のキャラクターたちが暴走していて、チーム内のバランスが崩れている状態。

各々のキャラクターがもつ強みを最大限に発揮させ、チーム内のバランスを整えるよう心がけるのが、私(主人格)の役割です。

 

私自身、自分の心の内面をキャラクターとして把握するようになってから――。

心が整い、心軽やかな日々を実感できる時間が増えてきました。

あの苦しい日々がウソのようです。  

 

デメリット

私としては、自分の内面をキャラクターとしてとらえることに、多大なメリットを感じているのですが、残念ながらデメリットもあります。

デメリット1:「頭がおかしい」と一蹴される

心の中にいるキャラクターの話をすると、一般の人たちには、変な顔をされてしまいます。

  • 解離性人格障害(多重人格)ではないか。
  • 頭がおかしいのではないか。

 

ただし、これに関しては、反論があります。

実は、心理学の分野では、私が自分の体験を経てたどりついた「心は集合体」という概念を、理論化している流派もあるのです。

 

たとえば、NLP心理学、内的家族システムモデルなどでは、私が「心の中にいるキャラクター」と呼んでいるものを、「パーツ(パート)」「サブキャラクター(副人格)」と呼び、セラピー(心理療法)に活用してます。

これらは、理論化した概念というよりは、セラピーをおこなう過程で、クライエント(相談者)の体験を集めて作られたもののようです。

現場にそくした概念と言えるでしょう。

 

デメリット2:自分一人で取り組むことが難しい

自分の心の中にいる存在(パーツ)を見つけ出し、名前や姿をイメージしていく作業が、難しい場合もあります。

私の場合、空想癖があり、イメージが浮かびやすいタイプですが、イメージすることが苦手な人もいるはずです。

 

それに、そもそも心の中にあるパーツを感じ取ることは、一人では難しいことが多いかもしれません。

特に、傷つきの強いパーツや、自分を守ろうと必死になっているパーツ。

こうしたパーツは、姿を現すまでに時間がかかったり、専門家のサポートが必要になったりすることもあります。

 

一人で頑張らなくても大丈夫

自分の中に、色々な思いや考えがせめぎ合っていることに、戸惑うこともあるはずです。

「なんで、こんなに矛盾してるんだろう」と、自分でも自分が分からなくなることもあるかもしれません。

 

心の中にいる存在たちに気づき、声を聞いていくプロセスは、時間がかかるものです。

一人で見つけ出していくのが難しいとしても、決しておかしなことではありません。

 

まずは、話してみるだけで構いません。

長い間、一人で抱えてきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

 

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、まさに、あなたの心の中にいる様々な存在(パーツ)に、一緒に耳を傾けていきます。

 

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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。

 

※「心は集合体」という体験を推し進めた続編について、もっと知りたい方へ。


※自責の念や自己否定の思いへの具体的な対処法について、もっと知りたい方へ。

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