自分を責める・人を責める「悪者探し」の悪循環を抜け出す心の整え方

2026年10月22日

うまくいかないことがあると、つい、「誰が悪いんだろう」と考えてしまう。

自分を責めたり、相手を責めたり、気づけば、同じところをぐるぐる回っている。

そんな経験はありませんか。

悪者を決めることで、一瞬だけ、心が軽くなることもあります。

ですが、それを続けていると、生きづらさや自己否定につながり、気持ちがどんどん重くなっていきます。

それは、あなたの性格が悪いからではなく、心を守ろうとする働きが、悪者探しという形をとっているのかもしれません。

私自身、長年、自分の中に悪者を探し続けてきました。

ですが、自己探究を重ねる中で、悪者探しを続けても、苦しいだけで、何の解決にもならないことに思いいたります。

そして、この「悪者探しの悪循環」を抜け出す鍵が、「自分の心の仕組みを知ること」にあると気づいたのです。

今回は、私自身の体験と心理学の視点を交えて、悪者探しの悪循環から抜け出す方法についてお伝えします。

自分の中に「悪者」を探すパターン

私には、自分の中に「悪者」を探すクセがあります。

  • 性格が悪いから、嫌われる
  • 頭が悪いから、仕事で失敗する
  • 自分を責めてばかりいるせいで、うまくいかないことが増えていく

そんな風に、自分を責める理由を、延々と探し続けてしまうのです。

これは、幼いころから出来の良い弟と比較され、母に否定的な言葉を浴びせられ続けた経験によるもの。

「母に愛されたい」と願っていた幼い私は、怒られるばかりの理不尽な状況を理解するために、「自分を悪者にする」という形で、心のバランスを取っていたのです。

大人になっても、そのクセは消えません。

困難に直面すると、条件反射のように、 「自分の中にいる悪者」 を探してしまうのです。

自分の中に悪者を探すメリット

自分の中に「悪者」を探すことにも、メリットがあります。

  • 「自分に原因がある」と考えることで、周囲との摩擦を避けられる
  • 自分を改善しようとするモチベーションが生まれる

多くの人は、「悪者を探す」というよりは、「改善点を見つける」ととらえ、反省する材料にしているかもしれません。

そして、深刻なデメリット

ところが、何事も、ほどほどが大切です。

自分の中に「悪者」を探すことも、行き過ぎると、深刻なデメリットをもたらします。

  • 自信が持てない
  • 自分を肯定できない
  • 怒りを内側に向けてしまい、苦しみが増す

「自分の中に悪者探しをする」ということを続けていると、心がすり減り、日常が重く感じられてしまうのです。

他の人の中に「悪者」を探すパターン

一方で、私の母は、私とは真逆のタイプでした。

自分以外のところに、つまり、他の人の中に 「悪者」を探し続けていたのです。

  • 家がうまくいかないのは、姑のせい
  • 仕事が大変なのは、取引先がバカだから
  • 政治家が無能だから、暮らしがよくならない

ところが、私の母は、「悪い」と決めつけた相手に、改善に向けた働きかけをすることはありません。

怒りをため続け、陰で悪口を言うだけ。

怒りの持っていき場がないと、身近にいる私に矛先を向けることもよくありました。

他の人の中に悪者を探すメリット

他の人の中に「悪者」を探すことにも、メリットがあります。

  • 「自分は悪くない」と思えて、気が楽になる
  • 良くない状況を改善しようという意欲が生まれることもある

私の母ほどではなくても、多くの人が、「これは、〇〇のせい」と、誰かを「悪者」にしているのではないでしょうか。

実際、誰かの言動をきっかけに、不快な出来事が起きることもあるので、間違ったことではないかもしれません。

しかし、デメリットは深刻

ところが、先ほど述べたように、何事も、ほどほどが大切です。

他の人の中にばかり「悪者」を探し続けていると、深刻なデメリットをもたらします。

  • 他人や過去は変えられないため、怒りが増幅する
  • 善人でいたい人ほど、行き場のない怒りを身近な人にぶつけてしまうことがある

私の母は、亡くなる直前まで、周囲を恨み続けていました。

「悪者探し」をやめられなかったことで、心が軽くなる時間を持てなかったのでしょう。

ただ、今となっては、母にも、そうせざるを得ない事情や、深い苦しみがあったことが分かります。

「悪者探し」は、母なりに、自分の心を守ろうとする働きだったのかもしれません。

もちろん、多くの人は、ここまで極端ではありません。

「自分を責めるモードと、他人を責めるモードを、行ったり来たりしている」ものです。

ですが、どちらかに偏ってしまうと、心の負担は大きくなっていきます。

※怒りが強くなって、身近な人にぶつけてしまうことが気になる方は、こちらもどうぞ。

悪者探しから抜け出す鍵とそのためのステップ

私が自己探究を重ねる中で、たどり着いた結論は――。

「心は一つのまとまりではなく、複数の 『部分(パーツ)』 の集合体でできている」

という考え方でした。

心理療法や、実践的な技法の分野には、これに近い考え方があります。

たとえば、NLP心理学、内的家族システムモデルといった分野において、以下のような考えが提示されているのです。

  • 「心は集合体」である(原田、2016。シュワルツ、2024)。
  • 心にある存在を「パーツ、副人格(シュワルツ、2024)」、あるいは「パート(原田、2016)」と呼ぶ。
  • 個人の心の内側にあるいくつかの「パーツ(パート)」を浮かび上がらせ、対話を通して、各々の個性や関係性を理解するというプロセスを経て、セラピー(心理療法)をおこなう(原田、2016。シュワルツ、2024)。

心の中には、役割の異なる複数の部分が存在し、それぞれが「あなたを守るために」働いているのです。

そうした「心の仕組み」を理解することが、「悪者探しから抜け出すための鍵」となります。

※「心は集合体」という認識について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

悪者探しをしているとき、心の中で起きていること

「悪者探し」をしているとき、心の中では、どのようなことが起きているでしょうか。

私の体験を例に出して、解説してみます。

たとえば、職場の同僚から厳しいダメ出しをされると、私の心の中では、いくつかの部分が同時に動き出します。

  1. 繊細な部分
    「私には能力がない」と悲しむ
  2. 常識人でありたい部分
    「私の努力不足のせいだ」と自分を責める
    → 自分の中に悪者を探す
  3. 負けん気の強い部分
    「自分のことは棚に上げて、私のダメな点ばかりを指摘する」と、相手に怒りを覚える
    → 相手の中に悪者を探す

「悪者探し」が起きるきっかけは、私の心の中にある、繊細な部分の「悲しみ」。

この悲しみを何とかしようとして――。

自分の中に「悪者」を探して、自分をムチ打ち、状況の改善をはかろうとしたり。

相手の中に「悪者」を探して、「私は悪くない」と考え、悲しみをやわらげようとしたり。

表面では、ただの「悪者探し」にしか見えないかもしれませんが――。

その奥では、悲しんでいる繊細な部分を守ろうとして、必死に頑張っている、健気な思いがあるのです。

悪者探しをやめるステップ

ステップ①:悪者探しをしている部分に、優しく気づく

まず、自分が「悪者探し」をしていることに気づきます。

そして、「悪者探しをしている部分」を責めるのではなく、むしろ、 その部分に「優しく気づいてあげる」のです。

「今、自分を(相手を)責めている部分があるんだなあ」という感じで、そっと優しく。

ステップ②:その部分に、感謝の声をかける

次に、「悪者探しをしている部分」に、感謝の言葉をかけます。

その部分は、悲しみや傷つきが大きくならないように、頑張っている部分だからです。

  • 「悲しまないように、守ってくれているんだね」
  • 「今まで頑張ってくれて、ありがとう」

そう声をかけると、その部分は安心して、少しずつ静かになっていきます。

頑張っていること、やっていることが認められると、嬉しくなってホッとする感じです。

ステップ③:冷静に判断する部分が前に出てくる

「悪者探し」をしているときは、自分を責めてつらくなったり、相手を責めて腹が立ったりと、感情が暴走します。

ですが、感謝をする声かけによって、感情的な嵐がしずまると、今度は「冷静に状況を判断する部分」が前に出てきます。

冷静に判断する部分が前に出てきたら、次のように問いかけていきましょう。

  • 相手の事情、その場の状況は、どうなっているか
  • 一番の問題点は何であるか
  • 問題点を解決するために、具体的にどうすればいいか

ステップ④:次の行動を選ぶ

こうして、心の内側でできる対応を続けていくと――。

「悪者探し」は、短い時間で終わるようになり、次の行動を選べるようになっていきます。

ただし、「悪者探しをしている部分」の勢いが強いときは、声をかけても、すぐには静まらないことがあります。

無理に静めようとせず、一人で頑張り過ぎないでください。

専門家と一緒に取り組むほうが安全です。

心の内側を知れば、悪循環から抜け出せる

戦争や災害など、外側の要因が大きすぎる場合は、自分だけで気持ちを処理することは、難しいでしょう。

それでも、日常の多くの場面では、「自分の心の中で何が起きているのかに気づくこと」で、悪者探しの連鎖を止めることができます。

「悪者探し」を手放すと、心の重荷がやわらぎ、次に進むためのエネルギーが戻ってきます。

あなたの日常も、もっと軽やかに、もっと自分らしく、動き出していくかもしれません。

悪者探しに疲れてしまったあなたへ

悪者探しをやめたいのに、気づけば、また、自分や誰かを責めている。

そんな自分に気づくたびに、ため息が出てしまう。

そんなことを、くり返してきたのではないでしょうか。

まずは、話してみるだけで構いません。

悪者探しのクセと、一人で付き合い続けてきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、あなたの中で悪者探しをしている心の部分(パーツ)にも、その奥で守ろうとしている気持ちにも、一緒に向き合っていきます。

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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。

※悪者探しをする背景にある「極端な価値観」について、もっと知りたい方へ。

※悪者探しをしている部分について、さらに理解したい方へ。

【参考文献】

今回の記事は、私の体験をもとにまとめたものであり、以下の書籍の記述を参考にしているものの、これらの理論とは異なる面もあります。「心は集合体」という概念について、さらに理解を深めたい方は、ご参照ください。

  • 原田幸治(2016)心を読み解く技術-NLPパート理論- 晶文社
  • リチャード・C・シュワルツ(著) 後藤ゆうこ・佐久間智子・後藤剛(訳)(2024)「悪い私」はいない‐内的家族システムモデル(IFS)による全体性の回復- 日本能率協会マネジメントセンター

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