キライだった自分を認められるようになったヒケツ「心は集合体」

2026年8月25日

自分のことが、心の底からキライ。

「自分を大切にしよう」と頭では思っても、どうしても素直に受け入れられない。

そんな感覚を抱えたまま、日々を過ごしていませんか。

 

そう感じてしまうのは、あなたが心が狭いからでも、ひねくれているからでもありません。

自分を否定的に受けとめてしまうことには、そうなるだけの「何か」があります。

そして、自己否定のループから脱するには、ちょっとした工夫が必要なのです。

 

母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきた私。

そんな私でしたが、自己探究を重ね、悪戦苦闘、試行錯誤の末――、

あんなにキライだった自分を受け入れ、認めることができるようになっていきました。

 

今回は、自己否定が強い私が、自分を受け入れることができるようになった「ヒケツ」についてお伝えします。

 

自分のことがキライだった私

 

 

私は自分のことがキライでした。  

 

高校時代から「自分のことがキライ」と感じていましたが、ひどくなったのは、社会人2年目のとき。

部署が異動になったことをきっかけに、「私は単なる駒だ」と考えるようになったのです。

事あるごとに、ダメな自分を嘆き、別人になりたいと思うばかり。  

 

自分のことが大キライ。

自信なんて、みじんもない。

全部母のせいだ。

私が幼いころから、気に入らないことがあると、私を叱りつけ、ののしっていた母が悪い。  

 

そんな風に思って、母を恨んでいたものの――。

自己探究を重ねていくにつれ、「母だけが悪いのではない」ということが見えてきました。  

 

たしかに、私のことを頭ごなしに罵倒するといった母の関わりは、適切ではありません。

ですが、母自身も、生い立ちの中でツライ体験を重ねてきた。

しかも、高校卒業後に就職した職場ではいじめにあい、結婚してからは嫁姑関係に苦しんだ。

だから、母は、精神的にとても不安定で、幼い私に穏やかに接するゆとりがなかった。  

 

母への怒りがおさまっていくと、私の苦しみの根源は、私の中にあることが分かってきました。

母との関係が影響してはいるものの、私自身の中に、自分を責め、自分を否定する部分がある。

それらが活性化するから、苦しくなる。  

 

自分を責め、自分を否定する声が、頭の中で鳴り響き、心の内側から削られていきます。

ある意味、自分で自分の首を絞めるような、不毛なことをくり返している私。

そんな自分が情けなくて、どうしても好きにはなれませんでした。

 

「心は集合体」が自分を認める鍵となる

 

 

自己否定が強く、自分がキライだった私。

そんな私が、今では、自分を受け入れ、自分を認めることができるようになっています。

過去の私が見たら、仰天するに違いありません。  

 

自己否定のカタマリだった私が、自分を受け入れることができるようになったのは、どうしてなのか?

 

自分なりに振り返り、「これが、ヒケツ」と思ったのが――。  

心は集合体」という認識。

つまり、「心の中にはいくつもの存在がある」と気づき、その存在1つ1つと対話を重ねたこと。  

 

「心は集合体」と考え、自分の心の内側にあるものを理解することで、自分とうまく付き合えるようになっていったのです。

 

「心は集合体」と気づいたのは

私が、「心は集合体」と認識できるようになったのは、「ハコミセラピー」のお陰です。  

 

「ハコミセラピー」とは、「マインドフルネス」をベースに、心と身体の両方に働きかける心理療法。

ちなみに、「マインドフルネス」とは、「今、この瞬間」に起きていることに意識を向けていくことを言います。  

 

「マインドフルネス」の状態になると、日常的に働いている意識(顕在意識)が静かになっていき、無意識(潜在意識)にあるものが立ち現れてきます。

ある意味、自分に必要なものが、必要なタイミングで、無意識の中から姿を見せてくるのです。

理解するというより、「感じる。気づく」という感覚のほうが、近いかもしれません。

 

私の場合、「ハコミセラピー」の個人セッションを重ね、学びを深めるうちに、自分の心の中にある存在が、1つ1つと立ち現れてきました。

そして、明らかになった存在に、「マインドフルネス」の状態で声をかけるうちに、1つ1つの思いが見えてきたのです。

 

※「ハコミセラピー」について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

 

私の心の中で起きていること

たとえば、私が仕事でミスをしたとき。

私は、「自分はなんてダメな人間なんだろう」とつらくなり、その嫌な気分を引きずりがちです。

 

ですが、マインドフルネスの状態で丁寧に見ていくと、私の心の中では、こんなことが起きています。

 

  • 「失敗しちゃった」と、幼い部分が悲しむ。
  • 「ダメな人間だから、こんな凡ミスするのよ」と、子どもっぽい部分が責め立てる。
  • 「事前に確認すべきだった」と、大人っぽい部分がダメ出しする。
  • 「どうしたらいいか」と対応策を考える部分が活性化する。
  • 対応策を行動に移す部分が働き出し、黙々と任務を遂行する。
  • 対処した後も、責め立てる声やダメ出しの声が続き、幼い部分の悲しみが深くなる。

 

嫌な思いをする根底で、いくつもの存在が動いているのです。

 

「心は集合体」という考えを裏付けるもの

「心は集合体」と聞くと、「まさか、解離性同一性障害(多重人格)?」と思うのではないでしょうか。

 

そう思ったあなたは、ある意味、常識人です。

現代社会では、「自分の心は1つしかなく、そこから全ての思考や感情、欲求や衝動が立ち現れる」という見方が浸透しているからです。

 

それに、「解離性同一性障害」に関するセンセーショナルな情報が飛び交っています。

ですから、「心の中にいくつもの存在がいる、なんて言うのは、変な人だ」と思うことは、おかしなことではありません。  

 

しかし、NLP心理学(原田、2016)、内的家族システムモデル(シュワルツ、2024)といった心理学の分野において、以下のような考えが提示されています。

  • 「心は集合体」である。
  • 心にある存在を「パーツ(パート)」あるいは「サブキャラクター(副人格)」と呼ぶ。
  • 個人の心の内側にある「パーツ」を浮かび上がらせ、「パーツ」と対話し、「パーツ」の個性や「パーツ」同士の関係性を理解するというプロセスを経て、セラピー(心理療法)をおこなう。  

 

それから、「インサイドヘッド」というアニメ映画。

この映画では、主人公の頭の中に、複数のキャラクター(感情を擬人化した存在)がいる様子が描かれています。

そして、そのキャラクターたちがどう動くかによって、主人公の日常生活に影響が出ているのです。

しかも、この映画は、8~10人の神経学者の話を聞いて、制作されたとか。  

 

「心の中にいくつもの存在がいる」という認識は、心理学や神経学の分野では、学問的な裏付けがあるのです。

 

「心は集合体」を活用して自分を認めるまでのプロセス

 

 

先ほど、私の心の中にいくつもの存在があるという例についてお伝えしました。

私の体験を振り返ってみると、いくつもの存在があると分かってから自分を認めるまでに、次のようなプロセスを踏んでいったことに気づきました。

そのプロセスを順を追って説明していきます。 

 

①自分の心のありようを客観視できる

「自分の心の中には、いくつもの存在がある」と認識すると、自分の心で起きていることを客観的に見やすくなりました。

心の中にあるものを、自分とは別のものとして扱うことで、距離がとれ、客観的に観察することができるようになったのです。

 

ちなみに、心の中にあるものを、自分とは別のものとして考え、扱うことを、心理学の用語で「外在化」と言い、心理療法にも使われています。 

 

②自分の心の中にある存在と対話ができる

自分の心の中にある存在を、客観的に観察できるようになると、今度は、そうした存在と対話ができるようになりました。

対話は、マインドフルネスの状態でおこないます。

対話を重ねるうちに、1つ1つの存在の思い、願いなどが明らかになっていくのです。

 

私を否定し、責めさいなむ存在に悩まされていたのですが、そうした存在たちですら、私自身を守るために頑張っていることが、浮き彫りになっていきました。

すると、すべての存在が愛おしくなっていき、自分の中に敵が見当たらない感じになったのです。  

 

③自分だと意識できている部分がしっかりしていく

自分の心の中にある存在を、客観的に観察し、1つ1つの存在との対話を重ねていくと――。

自分だと意識できている部分(主人格、と呼ばれる)が、しっかりしていきました。

心の中にある存在たちに振り回されている状態から、主人格がリーダーシップを取れるようになっていったのです。

 

④自分の心の中にある存在がチームになる

主人格の力が強くなってくると、自分の心の中にあるものが「チーム」として活動できるようになっていきました。

 

たとえば、落ち込むようなことがあっても――。

  • 主人格がリーダーシップを取って、落ち込んでいる状況を客観的に観察し、何が起きているかを把握する。  
  • 主人格が議長のような役割を果たし、心の中にある存在たちで会議をおこなう。
  • ダメな自分を責める存在が活性化し、別の存在が落ち込んでしまっても、それとは違った存在から前向きな提案が出てくる。

 

次第に、心の中にある存在同士で補い合い、行動の選択肢が増えていき、心の安定がはかられるようになりました。

 

あんなに自分のことがキライだった私でも、こうしたプロセスを経て――、

自分が健気に頑張っていることが感じられるようになり、自分を認めることができるようになったのです。

 

「心は集合体」と認識することの難しさ

 

 

うまくいかないときに起きていること

「心は集合体」という認識で自分の心の中を把握していくと、自己理解が進み、自分を認めることができるようになります。

しかし、「心は集合体」と実感することが難しい場合があります。

 

頭だけで考えてしまう

「心は集合体」ということを頭だけで理解していると――、

どうしても表面的な理解に留まりがちです。

 

心の中にある存在を、論理的に考え、理解しようとすると、存在を「感じる」ことが難しくなります。

自分の心の中にある存在をじっくりと感じることができて初めて、その存在の思いが伝わってきて、対話が成り立つのです。

「考え」が先走ると、対話をしているつもりでも、自分がいつも考えていることが出てくるだけに留まり、何の発見もありません。

 

時期尚早である

取り組もうと思って、すぐに取り組めない場合があります。

その人にとって、「心は集合体」と認識するタイミングがあるのです。

 

マインドフルネスで自分自身に起きていることを感じても、心の内側にある存在が浮かび上がってこない場合は、まだ、時期尚早だと言えます。

もしかしたら、「心は集合体」ということに取り組む前に、安心・安全を感じるなど、必要なプロセスがあるかもしれません。

 

形から入ってしまう

「心は集合体」なんだから、心の中にある存在を探さないといけない。

そんな風に、形から入ろうとすると、うまくいきません。

 

とりあえず、心の中にある存在にアクセスできたとしても、準備ができていない状態で無理に介入することになります。

やみくもに心の中の存在を探り出そうとすると、強い反動が返ってきて、精神的な不調が現れるかもしれません。  

心の中にある存在が、自分から顔を出してくるのを待つのが大切です。

 

以上のことから、誰にでも手軽に実践できる訳ではないのが、難しいところ。

ただし、自分の心の中にある存在が姿を現すタイミングや、無理なく向き合うペースは、専門家と一緒であれば、より安全に見極めていくことができます。

私自身も、ハコミセラピーを学ぶ仲間や専門家と一緒に、自分の心に向き合ってきたからこそ、「心は集合体」を認識し、深めることができたのです。

 

一人で頑張らなくても大丈夫

自分のことがキライ。

そう感じながら過ごす毎日は、決して楽しいものではありません。

 

心の中にある存在に気づき、受け入れていくプロセスは、時間がかかることがあります。

一人で見つけ出していくのが難しいとしても、決しておかしなことではありません。

 

まずは、話してみるだけで構いません。

長い間、一人で抱えてきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

 

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、あなたの心の中にいる様々な存在に、一緒に耳を傾けていきます。

 

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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。

 

※心の中にある複数の存在に気づき、自己理解に役立てている具体例について、詳しく知りたい方へ。

 

※自分を責めてしまう背景にあるものとその対処法について、もっと知りたい方へ。

 

【参考文献】

今回ご紹介した「心は集合体」いう概念について、さらに理解を深めたい方にオススメです。

  • 原田幸治(2016)心を読み解く技術-NLPパート理論- 晶文社
  • リチャード・C・シュワルツ(著) 後藤ゆうこ・佐久間智子・後藤剛(訳)(2024)「悪い私」はいない‐内的家族システムモデル(IFS)による全体性の回復- 日本能率協会マネジメントセンター

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