恵まれているのに「居場所がない。つらい」と感じるには訳がある
「居場所がない。つらい」と感じてしまうのだけれど、傍から見れば、恵まれている。
頭では分かっているのだけれど、どうしても「居場所がない」という感じから抜け出せない。
そんな風に思うことはありませんか?
実は、恵まれているのに「居場所がない」と感じることには、自分自身の思い込みが影響しています。
今回は、私自身の体験をもとに、「居場所がない」と感じてしまう理由について探ってみました。
「居場所がない」と感じてしまう私
 
  
仕事で大きなミスをしでかして以来、気分が落ち込んで、浮上できない。
スクールカウンセラーとして働いている私にとって、保護者からクレームが入るのは、なかなかに大変なことです。
管理職(副校長)、学年主任から、聞き取りをされる事態となりました。
勤務校の教職員たちが、よそよそしくなったように感じられます。
みんな、大人だから、表面上は、私とそれなりに関わってくれるけど。
心の中では、「能力のない奴は、早く辞めちまえ」って、思っているんだろうな。
ここに、私の居場所はない。
針のむしろに座るような心持ちで、仕事をこなしていきました。
家で、夫に相談してみようと試みたのですが、夫は例のごとく、自分の話を一方的にするばかり。
私が話しかけるいとまはありません。
私が疲れていても、私が家事をやるのは当たり前。
夫も、息子も、私を助けてくれません。
親しい仲間と過ごしていても、私より大変な思いを抱えている人はたくさんいます。
私より苦しんでいる人が話を始めれば、私の出る幕はありません。
私一人で、ポツンと取り残されたような心境になっていくのです。
家では、都合よく使われる家政婦に過ぎない。
親しい仲間も、心の底から私を心配してくれることはない。
この世界のどこにも、私の居場所がない。
恵まれた環境にいるのに
 
  
冷静になると、私自身がいかに恵まれた環境にあるかが分かってきます。
勤務校で、私の責任を追及する人は、誰一人としていませんでした。
あんなに大きなミスをやらかしたのに、担任、学年主任がフォローしてくれ、事なきを得たのです。
副校長も、「藤野さんのせいじゃないですよ」と、優しい声をかけてくださる。
しかも、しょんぼりしている私を見かねて、旅行先でお土産まで買ってきてくださいました。
家で、夫が私の話を聞いてくれないのは、持って生まれた「発達凸凹※1」のため。
夫自身は、愛犬ポチのように、私にまとわりついてきます。
息子も、高校3年生というお年頃なので、私とあまり関わりたがらないだけ。
二人とも、母の日、私の誕生日に、プレゼントを贈ってくれます。
※1:「発達凸凹」とは、発達障害の診断はつかないまでも、発達障害の傾向を有していること。
親しい仲間は、私に対して、いつも温かく接してくれている。
私を仲間外れにする人なんて、誰もいません。
周りの人が、私を受け入れてくれる、とても恵まれた環境。
「居場所がない」と感じるなんて、ぜいたくにもほどがある。
この世には、本当に居場所がなくて、苦しんでいる人が大勢いるのに。
ワガママな自分が、ほとほと嫌になります。
でも、「居場所がない」という感じから抜け出すことができません。
自分で自分を持て余し、自暴自棄な気分になっていくばかり。
自分の身体をいたわる気にもなれず、風邪をこじらせ、腰痛まで発症。
文字通り、心身ともに弱り果ててしまいました。
※発達凸凹について、詳しくはこちら。
ハコミセラピーで「居場所がない」を取り上げる
 
  
居場所がないという苦しさにさいなまれ、自分では対処しきれないと判断した私。
ハコミ公認トレーナーである阿部優美さんの個人セッションを受けることにしました。
個人セッションは、「ハコミセラピー」の手法を用いて行われます。
ちなみに、「ハコミセラピー」とは、「マインドフルネス」をベースに、心と身体の両方に働きかけるセラピーです。
ひとりぼっちの私が浮き彫りになる
私は、優美さんに、仕事でミスをした後、心身ともに弱り果ててしまったことなどを話します。
優美さんが、「今、自分に起きていることを感じてみて」と言うのを機に。
私は、ゆっくりと深呼吸をしながら、目をつぶり、「今、この瞬間」に起きていることに意識を向けていくという、「マインドフルネス」の状態になりました。
すると、無意識にあるものに優しくアクセスすることができ、自分に起きていることが明らかになっていきます。
身体全体が、やりきれないほどの悲しさで満ちている。
一方、身体のあちこちから、自分を責める声が飛んでくる。
そんなことを報告すると、優美さんが私に声をかけます。
「居場所がない」とは伝えていないのに、何かを感じ取ったようです。
あなたが、ひとりぼっちになっている気がするんだよね。
「居場所がない」と感じる理由が見えてくる
優美さんは、続けて言いました。
ちょっと、実験をしてみようかと思うんだけど、いいかな。
ゆっくりと目を開けて、私のほうを見てくれる?
ちなみに、ハコミセラピーの「実験」、とは。
セラピストが、言葉かけ、身体の感覚、イメージなどを使った働きかけを行い、クライエントの反応から、クライエントの無意識にあるものを明らかにすることを言います。
このセッションでは、ゆっくり目を開けて、優美さん(セラピスト)を見るという実験。
私が、ゆっくりと目を開けると、正面に座っている優美さんが目に入る。
優美さんは、右手を私のほうにさし出した状態で、「あなたを歓迎するよ。こっちにおいで」と言い、優しい笑顔。
その瞬間。
私には、その資格がない!!
手を伸ばしてはいけない!!
鋭い声が、私の中に響き渡り、後ろに身を引きたくなりました。
私は、ようやく、「居場所がない」と感じてしまう理由があることに気がつきました。
私の居場所を用意してくれたとしても、私には、その場にいる資格がない。
そう思い込んでいる私がいたのです。
※「ハコミセラピー」の個人セッションを通して、自分を責める声の正体に気づいたことについては、こちら。
居場所のなさは自分の思い込みが原因だった
 
  
私の居場所を用意してくれたとしても、私には、その場にいる資格がない。
それは、私にとって、とても馴染み深い感覚でした。
対人恐怖に苦しみ始めた20代半ば以降。
「私自身から嫌な雰囲気が漂っていて、一緒にいる人を不快にする」と、思い込んでいました。
だから、人の輪に入っていくことには、かなり及び腰で、うまく言い訳をして、避けてしまう。
人と関わるときは、相手が不快な思いをするのではないかと、気が気でない。
緊張のあまり、挙動不審になるし、声もうわずって、うまく言葉が出ない。
40代で、ハコミセラピーの研修会に参加したときも、そうでした。
ハコミセラピーでは、気持ちが高まったとき、お互いにハグをしあう慣習があるのですが、私はハグが大の苦手。
「私自身がけがれている」という感覚がぬぐえず、触れた人にケガレを移してしまうような気がしていたのです。
私自身がけがらわしい存在で、近くにいる人、触れる人に、不快な思いをさせる。
私に関わってくれる人は、私のケガレをものともしない人格者か、ツワモノだけ。
この思い込みは、幼いころから、私の母が私の存在を否定するような言動をくり返し、私が自分自身を「ダメな子」と思い込むようになったために生まれています。
ハコミセラピーを学び、体験を重ね、徐々に自分を受け入れるようになってはきたものの。
無意識の底に、「私はけがらわしい存在だから、人の輪に入ってはいけない」という考えが刻み込まれている。
仕事で大きなミスをしでかしたことをきっかけに。
自分を責める内なる声が大きくなり、自分を受け入れるポジティブな部分が弱り果て、古い在り方が前面に出てきたのです。
「居場所がない」のではない。
居場所が用意されていても、「けがれた存在である自分には、その場にいる資格がない」と思い込み、心を閉ざしていただけだった。
恵まれているのに「居場所がない」と感じてしまうのは、自分に対するネガティブな思い込みが原因だったのです。
 
  
恵まれているのに「居場所がない。つらい」と感じる根底には、あなた自身の思い込みがあります。
その思い込みは、親との関係が影響していることが、ほとんどです。
思い込みに縛られていても、自分に起きていることに気づくことで、あなたの心は、少しずつ自由になっていきます。
もし、一人では難しいと感じるときは、私が提供している「個別セッション」を活用してみませんか。
親子関係の苦しみを知る私が、あなたの心に寄り添いながら、自分らしく生きるためのサポートをいたします。
※居場所のなさを解決するために、私が見出した方法は、こちら。

 https://www.jibun-ikiru.com/developmental_unevenness/
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