恵まれているのに「居場所がない。つらい」と感じるには訳がある

2025年10月31日

「居場所がない。つらい」と感じてしまうのだけれど、傍から見れば、恵まれている。

頭では分かっているのだけれど、どうしても「居場所がない」という感じから抜け出せない。

そんな風に思うことはありませんか?  

 

実は、恵まれているのに「居場所がない」と感じることには、自分自身の思い込みが影響しています。

今回は、私自身の体験をもとに、「居場所がない」と感じてしまう理由について探ってみました。  

 

「居場所がない」と感じてしまう私

 

 

仕事で大きなミスをしでかして以来、気分が落ち込んで、浮上できない。  

 

スクールカウンセラーとして働いている私にとって、保護者からクレームが入るのは、なかなかに大変なことです。

管理職(副校長)、学年主任から、聞き取りをされる事態となりました。

勤務校の教職員たちが、よそよそしくなったように感じられます。  

 

みんな、大人だから、表面上は、私とそれなりに関わってくれるけど。

心の中では、「能力のない奴は、早く辞めちまえ」って、思っているんだろうな。

ここに、私の居場所はない。  

 

針のむしろに座るような心持ちで、仕事をこなしていきました。  

 

家で、夫に相談してみようと試みたのですが、夫は例のごとく、自分の話を一方的にするばかり。

私が話しかけるいとまはありません。

私が疲れていても、私が家事をやるのは当たり前。

夫も、息子も、私を助けてくれません。  

 

親しい仲間と過ごしていても、私より大変な思いを抱えている人はたくさんいます。

私より苦しんでいる人が話を始めれば、私の出る幕はありません。

私一人で、ポツンと取り残されたような心境になっていくのです。  

 

家では、都合よく使われる家政婦に過ぎない。

親しい仲間も、心の底から私を心配してくれることはない。

この世界のどこにも、私の居場所がない。

 

恵まれた環境にいるのに

 

 

冷静になると、私自身がいかに恵まれた環境にあるかが分かってきます。  

 

勤務校で、私の責任を追及する人は、誰一人としていませんでした。

あんなに大きなミスをやらかしたのに、担任、学年主任がフォローしてくれ、事なきを得たのです。

副校長も、「藤野さんのせいじゃないですよ」と、優しい声をかけてくださる。

しかも、しょんぼりしている私を見かねて、旅行先でお土産まで買ってきてくださいました。  

 

家で、夫が私の話を聞いてくれないのは、持って生まれた「発達凸凹※1」のため。

夫自身は、愛犬ポチのように、私にまとわりついてきます。

息子も、高校3年生というお年頃なので、私とあまり関わりたがらないだけ。

二人とも、母の日、私の誕生日に、プレゼントを贈ってくれます。  

※1:「発達凸凹」とは、発達障害の診断はつかないまでも、発達障害の傾向を有していること。  

 

親しい仲間は、私に対して、いつも温かく接してくれている。

私を仲間外れにする人なんて、誰もいません。  

 

周りの人が、私を受け入れてくれる、とても恵まれた環境。

「居場所がない」と感じるなんて、ぜいたくにもほどがある。

この世には、本当に居場所がなくて、苦しんでいる人が大勢いるのに。  

 

ワガママな自分が、ほとほと嫌になります。

でも、「居場所がない」という感じから抜け出すことができません。

 

自分で自分を持て余し、自暴自棄な気分になっていくばかり。  

自分の身体をいたわる気にもなれず、風邪をこじらせ、腰痛まで発症。

文字通り、心身ともに弱り果ててしまいました。  

 

※発達凸凹について、詳しくはこちら。

 

ハコミセラピーで「居場所がない」を取り上げる

 

 

居場所がないという苦しさにさいなまれ、自分では対処しきれないと判断した私。

ハコミ公認トレーナーである阿部優美さんの個人セッションを受けることにしました。  

 

個人セッションは、「ハコミセラピー」の手法を用いて行われます。

ちなみに、「ハコミセラピー」とは、「マインドフルネス」をベースに、心と身体の両方に働きかけるセラピーです。  

 

ひとりぼっちの私が浮き彫りになる

私は、優美さんに、仕事でミスをした後、心身ともに弱り果ててしまったことなどを話します。  

 

優美さんが、「今、自分に起きていることを感じてみて」と言うのを機に。

私は、ゆっくりと深呼吸をしながら、目をつぶり、「今、この瞬間」に起きていることに意識を向けていくという、「マインドフルネス」の状態になりました。  

すると、無意識にあるものに優しくアクセスすることができ、自分に起きていることが明らかになっていきます。

 

身体全体が、やりきれないほどの悲しさで満ちている。

一方、身体のあちこちから、自分を責める声が飛んでくる。  

 

そんなことを報告すると、優美さんが私に声をかけます。

「居場所がない」とは伝えていないのに、何かを感じ取ったようです。  

 

あなたが、ひとりぼっちになっている気がするんだよね。

 

「居場所がない」と感じる理由が見えてくる

優美さんは、続けて言いました。  

 

ちょっと、実験をしてみようかと思うんだけど、いいかな。

ゆっくりと目を開けて、私のほうを見てくれる?  

 

ちなみに、ハコミセラピーの「実験」、とは。

セラピストが、言葉かけ、身体の感覚、イメージなどを使った働きかけを行い、クライエントの反応から、クライエントの無意識にあるものを明らかにすることを言います。

このセッションでは、ゆっくり目を開けて、優美さん(セラピスト)を見るという実験。  

 

私が、ゆっくりと目を開けると、正面に座っている優美さんが目に入る。

優美さんは、右手を私のほうにさし出した状態で、「あなたを歓迎するよ。こっちにおいで」と言い、優しい笑顔。

その瞬間。  

 

私には、その資格がない!!

手を伸ばしてはいけない!!  

 

鋭い声が、私の中に響き渡り、後ろに身を引きたくなりました。

私は、ようやく、「居場所がない」と感じてしまう理由があることに気がつきました。  

 

私の居場所を用意してくれたとしても、私には、その場にいる資格がない。  

 

そう思い込んでいる私がいたのです。  

 

※「ハコミセラピー」の個人セッションを通して、自分を責める声の正体に気づいたことについては、こちら。

 

居場所のなさは自分の思い込みが原因だった

 

 

私の居場所を用意してくれたとしても、私には、その場にいる資格がない。  

 

それは、私にとって、とても馴染み深い感覚でした。  

対人恐怖に苦しみ始めた20代半ば以降。

「私自身から嫌な雰囲気が漂っていて、一緒にいる人を不快にする」と、思い込んでいました。  

 

だから、人の輪に入っていくことには、かなり及び腰で、うまく言い訳をして、避けてしまう。

人と関わるときは、相手が不快な思いをするのではないかと、気が気でない。

緊張のあまり、挙動不審になるし、声もうわずって、うまく言葉が出ない。  

 

40代で、ハコミセラピーの研修会に参加したときも、そうでした。

ハコミセラピーでは、気持ちが高まったとき、お互いにハグをしあう慣習があるのですが、私はハグが大の苦手。

「私自身がけがれている」という感覚がぬぐえず、触れた人にケガレを移してしまうような気がしていたのです。  

 

私自身がけがらわしい存在で、近くにいる人、触れる人に、不快な思いをさせる。

私に関わってくれる人は、私のケガレをものともしない人格者か、ツワモノだけ。  

 

この思い込みは、幼いころから、私の母が私の存在を否定するような言動をくり返し、私が自分自身を「ダメな子」と思い込むようになったために生まれています。

ハコミセラピーを学び、体験を重ね、徐々に自分を受け入れるようになってはきたものの。  

 

無意識の底に、「私はけがらわしい存在だから、人の輪に入ってはいけない」という考えが刻み込まれている。  

 

仕事で大きなミスをしでかしたことをきっかけに。

自分を責める内なる声が大きくなり、自分を受け入れるポジティブな部分が弱り果て、古い在り方が前面に出てきたのです。  

 

「居場所がない」のではない。

居場所が用意されていても、「けがれた存在である自分には、その場にいる資格がない」と思い込み、心を閉ざしていただけだった。

 

恵まれているのに「居場所がない」と感じてしまうのは、自分に対するネガティブな思い込みが原因だったのです。  

 

 

 

恵まれているのに「居場所がない。つらい」と感じる根底には、あなた自身の思い込みがあります。

その思い込みは、親との関係が影響していることが、ほとんどです。

 

思い込みに縛られていても、自分に起きていることに気づくことで、あなたの心は、少しずつ自由になっていきます。  

もし、一人では難しいと感じるときは、私が提供している「個別セッション」を活用してみませんか。

親子関係の苦しみを知る私が、あなたの心に寄り添いながら、自分らしく生きるためのサポートをいたします。  

 

 
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

 

※居場所のなさを解決するために、私が見出した方法は、こちら。

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