原因がハッキリしない子どもの不登校に悩む親御さんへ|子どもの背景と、親自身の心の整え方

2026年7月22日

「なんで学校に行けないの」と聞いても、子どもはうまく答えられない。

いじめがある訳でも、先生との関係が悪い訳でもない。

それなのに、学校に行けない日が続いている。

そんな状況に焦り、自分を責めている親御さんはいませんか。

 

「自分の育て方が悪かったのかもしれない」

「もっとうまくやれたはずなのに」

そんな思いが、頭から離れない。

 

この記事では、スクールカウンセラーとして20年間、不登校の相談に携わってきた立場から、「原因がハッキリしない不登校」の背景についてお伝えします。

そして、「子どもへの関わりを変えるために、親御さん自身の心を整えることが、なぜ重要なのか」についても触れています。

 

原因がハッキリしない不登校は、子どもも大人も疲弊する

 

 

スクールカウンセラーとして勤務する中で、さまざまな不登校の相談に応じてきました。

このところ増えてきたのが、「原因がハッキリしない不登校」です。  

 

体調不良のため、登校できない日が増えていき、病院を受診しても、体調不良の原因となるような異常が見つからない。

あるいは、学校に行きづらい理由を子どもが口にしても、学校側が対処すると、新たな理由が次々と出てくる。

場合によっては、子ども自身が「ストレスや、困ったことは、特にない」と言う。  

 

「原因がハッキリしない不登校」の場合、親や教職員は、子どもを理解することが難しくなります。

手がかりがないまま、大海に放り出されたような心境になってしまうのです。  

 

「なんで、学校に行けないの?」 子どもに問いかけるつもりが、責めるような口調になることもあります。

何とかしたいのに、できない気持ちが、いらだちに変わってしまうんですよね。  

 

学校に行けない子どもは、さらに、ツライ思いを抱える。

大人は、どうしたらいいか分からなくなり、行き詰まってしまう。  

 

「原因がハッキリしない不登校」は、大人も子どもも、互いに疲弊していきがちです。  

 

学校に行きたくないと思う子どもは、全体の3~4割いる

 

 

学校に行きたくないと思っている子どもは、全体の3~4割もいます。

既にご存知の方も、いらっしゃるのではないでしょうか。

 

「学校に行きたくない」子どもは、実はこんなにいる

東京都教員委員会の方針により、東京都の公立学校では、平成26年(2014年)から、特定の学年の児童・生徒全員とスクールカウンセラーが面接を行うことになっています。

「児童・生徒がスクールカウンセラーに相談しやすい環境を整備することにより、いじめの未然防止や早期対応を図る」というのが目的。

「全員面接」と呼ばれており、小学生は5年生、中学生と高校生は1年生が対象です。  

 

私も、勤務していた公立小学校で、5年生全員と面接を実施。

ただ、面接する時間が限られているので、児童の状況を把握しようと、事前にアンケートを行いました。  

 

そのアンケートの中に、「ここ1ヶ月の間に、学校に行きたくないと思ったことがある」という項目を投入。

そして、「とてもそう思う、ややそう思う、どちらともいえない、あまりそう思わない、まったくそう思わない」という5段階で評価してもらったところ。  

 

5年生全体の4分1が、「とてもそう思う」「ややそう思う」に、〇をつけたのです。

 

5年生との全員面接は、6年間(2017~2022)にわたって行ったので、アンケートも6年分。

ほぼ、同じ結果。

ただ、コロナ禍では、「学校に行きたくないと思ったことがある」と答えた児童の割合が、3分の1に増えました。  

 

学校に行きたくない子どもの本音は?

私は、5年生との全員面接において、「学校に行きたくないと思ったことがある」という児童に質問をしてみました。  

 

「学校に行きたくないと思うのは、どんなときですか?」

  • めんどうくさいとき
  • 眠いとき
  • だるいとき
  • やる気が出ないとき
  • 何となく

 

「学校に行きたくないときは、どうしていますか?」

  • 親に怒られるから、学校へ行く
  • 親が行けって言うから、学校へ行く
  • 行くぞ~って気合いを入れて、行く
  • ゲームをして、気分を上げてから、学校へ行く

 

ほとんどの児童は、学校に行きたくない理由がハッキリしていません。

そして、「学校には行かなくちゃいけない」と思って、気持ちを切りかえ、登校しているのです。  

 

それは、うちの子だけではなかった—公的な調査が示すデータ

学校に行きたくない子どもが、こんなにいるのは、たまたまかもしれない。

そう考え、公的な機関が調査したデータがないか、調べてみたところ。  

 

国立成育医療研究センターが行った「コロナ×こどもアンケート」第6回調査報告(2021年)によると、「学校に行きたくない子どもが38%いる」という結果が出たとのこと。

私が、勤務校で行ったアンケートと、同じような結果が得られていたのです。  

 

原因のハッキリしない不登校の背景にあるもの

 

 

学校に行きたくないと感じている子どもが、全体の3〜4割。

意外に多いのです。

 

でも、学校に行きたくないと思う子どものほとんどが、ガマンして、頑張って、学校へ行っているから、目立っていないだけ。  

 

では、どうして学校に行きたくないと思ってしまうのか?  

原因がハッキしない不登校の背景にあるものは、何なのか?

考えてみました。  

 

「わがまま」ではなく、「合わない環境に置かれている」だけ

カウンセリングで、理由や原因がハッキリしないまま、学校へ行けなくなっている子どもたちの話を、丁寧に聞いていくと。

 

次のようなことが浮かび上がってきました。  

  • 興味のない学習や活動に取り組むのがツライ。
  • 勉強をすることに意味が感じられない。
  • 「みんなのペース」で行動するよう求められるのがキツイ。
  • 人と違ったことをすると、先生やクラスメイトから注意されるのがツライ。
  • 気の合う人がいない。
  • 気の合わない人、趣味の合わない人と、やり取りするのがキツイ。
  • 先生やクラスメイトの声がうるさい

 

多くの大人は、「わがまま」と片づけてしまうかもしれません。

でも、生まれもった特性や、育った環境などによって。

自分のペースや価値観、感性が、学校の当たり前とは違っているタイプの子どもがいるのです。  

 

学校のシステムが、全ての子どもに合っている訳ではない

一斉授業・座学がメインの学習、集団行動、決められたスケジュールでの生活、暗黙のルール。

学校のシステムにおいては、当たり前になっていることばかり。

でも、全体の3~4割の子どもが、「学校の当たり前」にフィットしないのです。  

 

学校のシステムとは合わないペース、価値観、感性をもっている子どもたち。

中には、診断がつかないまでも、発達障害の傾向(発達凸凹)を持っている子どもたちもいるはずです。

こうした子どもたちは、たいていの場合、自分とは合わない学校のシステムの中で、何とか頑張っています。

でも、ほんのちょっとした環境の変化によって、心身の負担が大きくなると、ガマンや頑張りがきかなくなってしまうのです。  

 

たとえば、 校長の交代などによって学校の方針や雰囲気が変わる。

入学した学校の校風が合わない。

相性の悪い教員やクラスメイトと一緒になってしまう、など。  

 

つまり、理由や原因がハッキリしない不登校は、 「学校のシステムに合わない子どもが、負荷の増した環境に置かれてしまい、ガマンや頑張りがきかなくなってしまったこと」 によって生じているのです。  

 

クラスにいる子どものうち、3人に1人は、「原因がハッキリしない不登校」になる要素を抱えていると言っても、過言ではありません。

 

「学校へ行くべき」という圧力が、弱くなった時代

学校制度ができた頃から、「学校が何となく合わない」と思っていた子どもたちは、同じぐらいいたはず。

ただ、ひと昔前は、世の中全体で、「学校に行かせてもらえるのは、ありがたいこと」、「学校で勉強に励めば、幸せになれる」といった価値観が強く、それが子どもたちの背中を押していたのです。  

 

世間が「学校は良いところ」という暗示を、子どもたちにかけていたようなものです。  

 

ところが……。

高度成長期を経て、「学校で勉強に励めば、幸せになれる」という価値観が崩れる。

コロナ禍での休校、分散登校、オンライン授業の普及を経て、「学校は毎日行くべきところ」という価値観が揺らぐ。  

 

つまり、学校へ行くよう子どもの背中を押す、世間の力が弱くなった昨今。

もともと学校のシステムに合わず、ひそかに苦戦してきた子どもたちは、「学校に行きたくない」と、表明しやすくなってきたのです。  

 

原因がハッキリしない不登校への対処

 

 

究極の解決策は、「学校のシステムを、どのような子どもにも合うように、根本から変えること」。

でも、これは、個人の力では、いかんともしがたい……。  

 

そのため、「学校側ができ得る範囲で、子どもに合った環境に近づける努力をする」ということが、次善の策。

それが難しければ、「子どもに合った環境の学校を選ぶ」

 

実際、「原因がハッキリしない不登校」になったものの、自分にフィットした環境に出合った子どもたちが、生き生きと学校生活を送っている姿を見聞きしています。  

 

とはいえ、子どもに合った環境を見い出すことは、なかなか骨が折れます。

なぜなら、その子に合った環境であるか否かは、実際に体験してみないと分からないからです。  

 

それに、「運」も大きな要因となります。

子どもに合った環境は、教職員、クラスメイトなど、人とのめぐり合わせも、大きく影響するからです。  

 

そのため、合わない学校のシステム、合わない環境でも、何とか踏ん張っていく力を、子どもたちに身につけてもらうよう働きかけていくのが、今の不登校対策であるように思われます。  

そこで、重要となってくるのが、親御さんをはじめとする大人の関わりです。

 

具体的な手立ては、子ども自身の個性や、その子どもの置かれた環境によって違います。

でも、肝となるのが、次の3つ。  

 

まず、大人が「学校は絶対に行くべき場所」という考えを手放す

まずは、大人が、「学校は行かなければならないところ」という価値観を、そっと手放しましょう。

今の学校システムが、そもそも、すべての子どもに合ったものではないのです。  

 

「たまたま、今の学校システムや環境に合わないだけ」  

 

そう考えると、大人は、気が楽になります。

気が楽になると、視野が広がり、手立てが見えてきます。

「行けるときに学校へ行く、ということから始めればいいかな」と思えるようになるかもしれません。

今、子どもが通っている学校へのこだわりがなくなると、子どもに合った学校を探し始める親御さんもいるかもしれません。  

 

そして、大人が気楽になると、子どもの気持ちも軽くなります。

家にいるときに、自分の好きな活動を始めるかもしれません。

「まあ、ダメ元という感じで、ちょっとトライしてみようか」と、登校する気になる子もいるかもしれません。

 

「この子は何とかなる」と、腹の底から信じてみる

大人の側は、「この子は、この子の人生を生きていくから、何とかなる」と、子どもを信頼しましょう。  

 

周りの大人、特に親から信頼された子どもは、ホッとします。

安心して、気が緩むと、「自分は何が嫌だったのか。これから、どうしたいのか」について考え、話してくるかもしれません。  

 

「子どもがどうしたいと思っているか」ということを起点として、具体的な手立てを考えていきましょう。  

最終的に、子ども自身に、「自分の人生を、自分なりに生きていく」という覚悟が定まると、何とでもなります。

 

でも、それができない自分がいる—それは意志が弱いからではない

ただし、ここで一つ、正直にお伝えしたいことがあります。

 

「価値観を手放そう」

「子どもを信頼しよう」

頭では分かっていても、実際には、そうできない自分がいる。

そんな経験はないでしょうか。

 

子どもの不登校が続いていくと、「早く何とかしなければ」という焦り、「自分のせいかもしれない」という自責など……。

様々な思いが駆けめぐり、子どもを信頼しようとしても、心がそれを許してくれないことがあります。

 

これは、あなたの意志が弱いからではありません。

あなた自身の心の中に、「こうしなければいけない」「うまくできない自分はダメだ」という思い込みが根づいているからです。

それは、あなた自身が生まれ育った環境の中で生じた考えであり、あなた自身を守るために役立ってきました。

 

役立ってきた考えだからこそ、大切に握りしめている。

そのために、子どもへの関わり方を変えることが、とても難しくなるのです。

 

子どもへの関わりを変えるために—親御さん自身の心を整える

 

子どもの不登校に悩む親御さんの多くは、子どもをどう変えるか、どう動かすかを考えます。

でも、20年間の現場経験から見えてきたのは、「子どもへの関わりが変わるのは、親御さん自身の心が整ったとき」だということです。

 

「この子は、この子の人生を生きていくから、何とかなる」

この言葉を、本当に腑に落ちた感覚で言えるようになるには、頭で理解するだけでは足りません。

親御さん自身の中にある「焦り」「自責」「こうしなければいけないという思い込み」に、丁寧に向き合うことが必要です。

 

特に、親御さん自身が発達凸凹の特性を持っていたり、自分の親との関係で心に傷を抱えていたりする場合、「子どもを信頼する」ことが、構造的に難しくなることがあります。

自分の内側に何が起きているかを整理し、心の中にある「焦りや自責のパーツ」と向き合うことで、子どもへの関わりが自然と変わっていきます。

 

「子どもを信頼したい」—その気持ちを、最初の一歩に

子どもを信頼したい。

でも、焦りや自責が邪魔をして、うまくできない。

そんな方へ。

 

まずは話してみるだけで構いません。

長い間、一人で抱えてきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

 

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、子どもへの関わりを変えたいと願う親御さん自身の「焦り」「自責」「思い込み」に、マインドフルネスを用いたハコミセラピーのアプローチで、安全な場でそっと触れていきます。

 

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もう少し読んでから考えたい」という方には、こちらもご覧ください。

 

※子どもの不登校の背景にある発達凸凹の特性について、さらに詳しく知りたい方へ。

 

※「親と同じことを繰り返してしまう」という悩みを持つ方へ。

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