愛着障害の苦しみをやわらげてくれるセルフケアとは
愛着障害の苦しみは、抱えている人にしか分からないつらさがあります。
人間関係がうまく築けず、感情が揺さぶられ、「生きること」そのものがしんどくなるのです。
私自身も長い間、その苦しさに耐えながら生きてきました。
この記事では、私が実際に体験し、「心が少し楽になる」と感じたセルフケアの方法――特に、精神科医・神田橋條治先生の「母におんぶ」という独自のアプローチ――について、分かりやすく紹介します。
深い悩みを抱えているあなたが、少しでも安らぎを取り戻せますように。
生きづらさの根底にある「愛着障害」

あなたに、次のような悩みはありませんか?
- 人と関わることが怖い、いつも不安
- 相手との距離が極端に近くなったり、遠くなったりする
- 自分には価値がないと感じてしまう
- 感情が不安定で、コントロールが難しい
かつての私も、まさに、こうした生きづらさを抱えていました。
これは「性格の問題」ではなく、「愛着障害」によって起きることがあります。
「愛着障害」とは何か
「愛着障害」とは、「乳幼児期に育まれるはずの『安心感にもとづく絆』が十分に形成されず、人との関わりの中で安らぎを感じにくくなる状態」です。
特に、早期の母子関係の不安定さや、養育者の変化、トラウマ体験が影響すると言われています。
「愛着障害」が起きやすい環境
たとえば、次のような環境で育つと、愛着障害が起きやすくなります。
- 養育者の言動に一貫性がない
- 放置・拒絶・無関心
- 精神的・身体的な暴力
- 養育者自身が不安定で、子どもに寄り添う余力がない
- 転居などで養育環境が何度も変わる
私の場合、母の態度が気分次第で激しく変わり、否定の言葉を受け続けたことが、心に深い影響を残しました。
しかも、父は仕事で忙しく、家にいる時間が限られていたため、幼い私は「一人で耐える」しかありませんでした。
この 「一人で耐え続ける」 という経験こそ、愛着障害につながりやすい土壌になります。
愛情を“素直に受け取れない”という障害
私は、愛着障害を抱えているんだろうなあ。
そんな風に感じていた私は、精神科医・神田橋條治先生の言葉に、胸を突かれました。
いかなる形で提供される愛情も、素直に受け取れなくなる状態が、愛着の障害。
かつての私は、こんな風に思い込んでいたからです。
- 「母と父は、“責任感が強い”から私を見捨てなかっただけ」
- 「友だちが優しいのは、人格者だから」
- 「私のような人を好きになるなんて、頭がおかしい」
- 「夫は、私を金づるや家政婦として見ている」
どんなに愛情を向けてもらっても、素直に受け取れない。
信頼しようとしても、心のどこかで疑い続けてしまう。
愛着障害とは、まさにこうした「愛情を受け取る器」が傷ついた状態だといえます。
「愛着障害」を癒すヒント ― 神田橋先生のアプローチ

私も長年、生きづらさをやわらげたいという願いのもと、さまざまな心理療法やセルフケアを試してきました。
そんな中で出会ったのが、神田橋先生の「母におんぶ」という意外なアプローチです。
先生は、鍼灸・気功・整体など、身体の自然治癒力に注目しながら、独自の心身養生法を考案してきました。
先生が着目したのは…
愛着障害を抱えた女性が、子どもを育てる過程で、愛着障害が軽くなる場合がある。
赤ちゃんには、愛着障害がないので、とても素直に甘える。
その甘えに一生懸命応えていくうちに、母親自身の愛着障害が癒えていく。
神田橋先生が着目した事象から導かれたのが、“二人の間に生まれる雰囲気が愛着障害を癒す” という発想です。
この考えにもとづいて、「母におんぶ」という方法が生まれました。
「母におんぶ」とは

「母におんぶ」のやり方
やり方は、とてもシンプルです。
① 母役の人がソファに座り、子ども役が背中におんぶをするように、ぴったりとくっつく。
② 接触しているお腹と背中の間に、温かい体温を感じながら、「溶け合い」の気分を味わう。
③ 二人で合唱のように声を合わせ、「マイナス1歳、0歳、1歳、2歳…」と、年齢を数える。
④ 基本的に、子ども役の実年齢まで数えるが、母役にも「愛着障害」がある場合は、母役の実年齢まで合唱する。母役・子ども役のどちらに愛着障害があっても、一緒に癒されていく。
実践のポイント
「母におんぶ」を実践する場合のポイントは、こちら。
- 実母とおこなうと、最も効果が高い
- パートナー・父親・心理カウンセラーでも代用できる
- 毎日おこなうのがおすすめ
- トラウマを思い出し、フラッシュバックがある場合は、まず安心・安全を味わうセルフケアから始める
何よりも、「無理にやらない・一人で抱えない」ことが大切です。
※フラッシュバックがある場合のセルフケアについては、こちら。
私が実践して感じたこと
私が、この方法を知ったのは、心が非常に不安定だった時期。
「ナオミは、バカで、のろまで、肝心なときに役に立たない」という母の最期の言葉に、深く傷ついていたときでした。
そのとき、母は亡くなっていたため、夫に “母役” をお願いして、実践してみたのです。
メリット
私が感じたメリットは、以下の通り。
- たしかに心がふっとゆるむ
- 「誰かに受けとめられている」という感覚を実感できる
- しんどさのピークを乗り越える支えになる
私は月に数回、1年ほど続けました。
他のセルフケアや心理療法と合わせて進める中で、少しずつ「愛情を受け取る」感覚が戻ってきたような気がしています。
デメリット
私が感じたデメリットは、以下の通り。
- 相手が必要なため、頼れる人がいないと難しい
- 愛着障害の特性上、誰かに「お願いする」ことが、とてもハードルが高い
- 実母との関係で傷つきがある場合、実母には頼みにくい
私も、夫には頼みづらく、本当に苦しいときにしか、お願いできませんでした。
毎日は取り組めなかったので、どこまで効果があったのか、何とも言えないところがあります。
「愛着障害」の回復で大切なのは“誰かと一緒に”という感覚

愛着障害を抱えている人ほど、「自分一人で頑張らなければ」と思い込みがち。
幼いころ、ひとりで耐えなければいけなかった体験が、心の底にしみつき、そこから抜け出せないのです。
けれども、心の回復に必要なのは、むしろ “安全な他者との共存” 。
ひとりでは届かなかった心の奥に、他の人と一緒だからこそ、届く瞬間があります。
もし、あなたが一人で苦しんでいるのであれば、必要なときに、安心して寄りかかれる場所を、見つけてみませんか。
個別セッションのご案内
愛着障害の悩みは、一人で取り組むほど、つらく感じやすいものです。
よろしければ、一緒に心を整える時間を作りませんか。
愛着障害による生きづらさ、愛情の受け取りにくさ、人間関係の苦しさなど、ひとつひとつ丁寧に扱いながら、あなたのペースで心をほぐしていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【引用・参考文献】
今回ご紹介したセルフケアの背景を理解したい方におすすめです。
- 神田橋條治・白柳直子(2018)神田橋條治の精神科診察室 IAP出版
- 神田橋條治(2019)心身養生のコツ 岩崎学術出版社






















