両親の死を受け入れるために必要だったこと【私が自分を生きるまで⑰】
母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきた私。
生きづらさを解消し、「自分を生きる」ために、自己探究を重ねていきます。
自己探究の過程で、母に続いて父が亡くなり、私は情緒不安定になりました。
父が亡くなる少し前に、母の激烈な愛、父の無条件の愛を感じたから、なおのこと、両親がこの世にいないことが切なくてならない。
ですが、自分が本当に望んでいるものに気づくことで、私は、両親の死を受け入れることができたのです。
今回は、両親を相次いで亡くし、情緒不安定になった私が、自分の本当の願いに気づくことで、心の平穏を取り戻した、そのときの出来事について、お伝えします。
両親の死が重なり、情緒不安定になる
父の死と、山積みの作業
足腰が弱って車椅子生活になったあと、認知症が進み、老人介護施設に入った父。
食事を飲み込む力がなくなったことで衰弱し、2022年7月、息を引き取りました。
父が亡くなったあとも、悲しんでいる暇はありません。
父の葬儀、死後の手続き、実家の片づけなど、やらなければいけないことが山積している状況。
実家がある福島には、他県に住む弟と交代で帰省し、馬車馬のように働く。
自宅がある東京では、家事や仕事にいそしむ。
実家でやるべき作業は、ハイペースで遂行していき、東京での日常も、滞りなくこなしていきました。
ふとした瞬間に涙があふれる
ところが、ふと気が緩むと、急に胸が苦しくなり、涙があふれてくるのです。
2019年8月に母が亡くなり、その3年後に父が亡くなったことで、私は思った以上のダメージを受けていたのでした。
両親の死は仕方がないと考える一方、両親がいないことが、どうしようもなく悲しい私。
父が亡くなる少し前に、母の激烈な愛情、父の無条件の愛情を知ることができたせいかもしれません。
父が亡くなったあと、私は、両親に会いたくてなりませんでした。
両親に会って、感謝も含めて、自分の思いを伝えたい。
両親の思いも聞いてみたい。
でも、二人とも、もうこの世にはいない。
やりきれない思いがあふれてきて、自分一人では対処のしようがありません。
自分一人で対処できないときは、仲間の助けを借りればいい。
そのことに、気づいた私。
時間が取れるときに、「ハコミセラピー」※1 の研修に参加し、私自身のやりきれない思いを扱っていきました。
※1:「ハコミセラピー」とは、「マインドフルネス」をベースに、心と身体の両方に働きかける心理療法です。
※母の激烈な愛情に気づいたことについて、もっと知りたい方は、こちらもどうぞ。
※父の愛情を知ったことについて、関心のある方は、こちらもどうぞ。
自分の内側で起きていることを探っていく
「ハコミセラピー」で自分の内側に意識を向ける
「ハコミセラピー」の研修で、私がクライエント役を取り、個人セッションをしてもらう機会がありました。
クライエントとは、セラピーやカウンセリングを受ける人のこと。
個人セッションとは、分かりやすく言えば、セラピーをおこなうことです。
私は、目をつぶり、ゆっくりと深呼吸をしながら、「今この瞬間」に意識を向ける、マインドフルネスの状態になります。
そして、自分の内側で起きていることに意識を向けていくと――。
私の心の中にいる小さな女の子のイメージが浮かび上がってきました。
インナーチャイルドとも言われる、幼い子どもです。
泣いている小さな女の子
私の心の中にいる小さな女の子は、泣いています。
ママもいない。
パパもいない。
もう、ママとパパとおしゃべりすることもできない。
もう、ママにもパパにも会えない。
涙がとめどなく流れ落ち、悲しさ、寂しさが全身を包みます。
ですが、ひとしきり感情を出すと、気持ちが楽になりました。
日常生活において、大人としての役割を果たしていると、感情を表出する機会がなかなかありませんからね。
日常生活から離れた場所で、目の前に感情を受けとめてくれる相手(セラピスト)がいると、思いきり感情を出すことができます。
子どもに願いを尋ねる
気持ちが少し落ち着くと、セラピストが、小さな女の子に声をかけます。
どうしてほしい?
何があるといい?
ふと浮かんだのが、「両親の笑顔」。
なるほど~、そうくるか。
自分でも、そんな答えが出てくるとは思いませんでした。
マインドフルネスの状態で、セラピストの声を聞くと、無意識の中から私の本当の願いが浮かび上がってくるのです。
マインドフルネスを使ってセラピーを行う「ハコミセラピー」の真骨頂です。
望んでいたのは両親の幸せ
「両親の笑顔」は、どのようにしたら得ることができるのか?
自分自身に問いかけると、私にとっての答えが、私のイメージの中で展開されていきます。
母が若返るイメージ
末期がんを患い、やせ細り、痛みに耐えかねて、恐ろしい形相をしている母。
その母を、白い糸で編み込んだハンモックの上に乗せ、ハンモックの両端を二人の青年が持っている。
二人は、母の孫たち。
先頭は私の甥っ子、後ろは私の息子。
お気に入りの孫たちに運んでもらい、母はちょっと嬉しそう。
でも、痛みがひどいため、鬼のような形相をしたまま、世界中を呪う言葉を吐いている。
二人の孫たちが、母を乗せたハンモックをしずしずと運んでいく前方に、ガラスのケースが見えてくる。
ガラスのケースは、7人の小人たちが白雪姫を入れたガラスのひつぎみたいな感じ。
そのガラスのケースの中には、透明な水がなみなみとつがれている。
水の上には、きれいな花びらも浮かんでいる。
母を乗せたハンモックを、孫たちが静かに水の中に入れていくと、母が気泡に包まれ――。
なんと、母が若返り、20代前半の姿に!!
透明な水の正体は、病気を治し、若返らせる、命の水。
母のお肌はつるつる、ぴちぴち。
ちょっとふっくらしていて、笑顔がまぶしい。
スキップするように軽やかに歩き、ハツラツとしている。
父が若返るイメージ
今度は、父の番。
同じく、白い糸で編み込んだハンモックの上に父を乗せ、二人の孫が運んでいく。
足腰が弱った父の身体はやせ細り、くの字に曲がっている。
しかも、認知症が進んでいるため、口は半開きで、ほうけた表情。
二人の孫たちが、しずしずと父を運び、ハンモックに乗せたまま、父をガラスのケースに満たされた水に沈めていく。
すると、父が気泡に包まれ、父も若返った!!
20代半ばの父は、背筋が伸び、聡明な目が輝いている。
足腰もしっかりして、動きも機敏。
頼もしさと優しさが漂っている。
若返った母と父は、手を取り合い、天国へと向かっていく。
見ている私が恥ずかしいほどのラブラブっぷり。
そして、二人は天国で永遠に幸せに暮らす。
それを見ている私は、心の底から安心し、涙がこぼれました。
私の心の中の小さな子どもが願っていたのは、両親の幸せだったのです。
心に平穏が訪れる
両親の幸せな姿は、あくまでも、私のイメージの中で展開された幻想にすぎません。
ですが、イメージには、想像を絶する威力があります。
実は、人間が五感で知覚しているものは全て、再現されたものなのです。
目や耳などの感覚器で受信した刺激が、電気信号に変えられて脳に伝わり、脳で再現される。
私たちは、それを「見える」「聞こえる」などと感じているに過ぎないのです。
そのため、マインドフルネスの状態で、ありありとイメージしたものは――。
脳にとっては、現実で起きたことを見聞きしている状態と変わりがありません。
実際、私の心の中にいる小さな子どもの願いを、イメージの中で実現したあとから――。
私自身、両親の死を気に病むことが減っていきました。
母にも、父にも、もう会えないけれど、母と父が幸せなら、それでいいや。
そんな風に思えるようになると、両親の死を受け入れることができ、心に平穏が訪れました。
ただし、ふと、「何のトラウマも、囚われもなく、みずみずしいままの母だったら、私を可愛がってくれたかもしれないなあ」と思っちゃうんですよね。
まあ、そのあたりは、おいおい取り組んでいきます。
一人で頑張らなくても大丈夫
大切な人を亡くした悲しみは、自分一人で抱え込まなくてもいい。
安心できる場で、思いきり感情を出すことができれば、その奥にある本当の願いに、少しずつ近づいていくことができます。
まずは、話してみるだけで構いません。
長い間、一人で抱えてきた。
それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。
「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。
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※続きはこちら。自分を責める自身の声に翻弄されながら、他人と比べることが無意味であることを実感するようになりました。その後の自己探究のプロセスが気になる方へ。
※「ハコミセラピー」について、詳しく知りたい方へ。

























