心理カウンセリングで嫌な体験を思い出したくないーそれでも癒される方法

「嫌な体験を思い出したくないから、心理カウンセリングはちょっと……」

そう感じる方は、とても多いんです。

「つらい過去に向き合うなんて、しんどい」と思うのは、自然なこと。

でも実は、「嫌な体験を思い出さなくても、心を癒す方法」があります。

今回は、私自身の体験をもとに、その方法についてお伝えします。

嫌な体験を思い出したくない理由

心理カウンセリングというと、「過去のトラウマに向き合う」「嫌な体験を思い出して乗り越える」というイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。

確かに、つらい思いを丁寧に感じきることが、癒しや成長につながる場合もあります。

でも、それをおこなうには、負担が大きすぎることがあるのです。

  • 心身ともに疲れているとき
  • 今の生活がすでにいっぱいいっぱいのとき
  • 心の準備ができていないとき

私もこれまでに、いくつもの心理療法を受けてきました。

そんな自己探究オタクの私ですら、「またあの感情に触れるのか」と思って、身構えることがあります。

  • 自分の嫌な面を突きつけられ、自分を責めたくなる。
  • 幼いころのやりきれない思いがよみがえって、つらくなる。

そうしたことと向き合うことが、私の心をほぐしていくために大切だと分かっています。

ですが、「もう勘弁して」と思い、苦しくなってしまうことが、何度もありました。

つらい過去に触れたくない。

思い出すだけで、しんどくなる

そう感じるのは、あなたの心が、自分を守ろうとしているからです。

思い出さなくても癒される心理カウンセリングとは

そんな私が出合ったのが、「ハコミセラピー」という心理療法(心理カウンセリング)です。

ハコミセラピーは、マインドフルネスを使って、心と身体の両方に優しく働きかけるアプローチ。

過去にあった嫌なことを、無理に思い出さなくてもいいのです。

「今ここ」に起きている感覚に気づくことで、自然に癒しを促していきます。

私がハコミセラピーを学んでいる「日本ハコミ・エデュケーション・ネットワーク(JHEN)」。

ここでは、自己理解を深めるための「Beingコース」というプログラムがおこなわれています。

十数名の参加者が、マインドフルネスを使いながら、自分自身の内側に起きる変化を細やかに実感していくのです。

その中で私が体験した、興味深いワークがあります。

それは──、「自分の名前を呼んでもらう」という、とてもシンプルな体験です。

※ハコミセラピーについて、詳しくは、こちら。

「なおちゃん」と呼ばれたとき、心がほどけていった

そのときの私は、仕事の疲れがたまっていて、身も心もヘトヘトでした。

寝転んだまま、幼いころの呼び名である「なおちゃん」と呼んでもらうことにしました。

マインドフルネスの状態になり、優しい声で「なおちゃん」と呼ばれた瞬間。

胸の奥がふっと温かくなりました。

まるで、生まれたばかりの赤ちゃんに戻ったような感覚。

優しいお母さんに寝かしつけられているような、ふんわりとした安心感に包まれました。

私は、参加メンバーに、「なおちゃん、かわいい」と言いながら、頭をなで、お腹をポンポンとたたいてもらうようリクエストしました。

すると、私の母が新生児の私を愛でている光景が浮かんできたのです。

涙が自然とこぼれてきます。

そのとき、「母の愛情は、本当にあったんだ。こんなに分かりやすい形で」と、腹の底から実感しました。

母がかつて「ナオミも、小さいころは、本当にかわいかったのよ」と言っていた言葉を、皮肉ではなく、真実として受け取ることができたのです。

物心がついたころから、私はできの良い弟と比較され、母に叱られることが多く、「私はダメな子なんだ」と感じて育ちました。

でも、あのワークを通して、

「私は、歓迎されて、生まれてきた」

という感覚が、全身に広がったのです。

※母の愛情を初めて実感した体験については、こちら。

無意識が導く、やさしい癒し

その後、私の中で、小さな変化が起きました。

気持ちが沈んだり、凹んだりしても、復活が速くなったのです。

以前だったら、私の大切な人が他の人をしたっている様子を見ると、「やっぱり私は選ばれないんだ」と思い、しばらく落ち込んでいたんですけどね。

生後からせいぜい1年足らずの期間とはいえ、母から無条件の愛を注がれていたという体験が、私の心を支えてくれたのです。

ハコミセラピーでは、意識ではなく、「無意識の力」を重んじます。

マインドフルネスを用いて、無意識に優しくアクセスすると、必要な癒しが自然に起きてくるのです。

つらい思いを蒸し返さなくても、心地よい感覚を味わうだけで、深いレベルで心が整うことがあります。

もちろん、過去の体験を丁寧に感じきることが必要なときもあります。

でもそれは、「頑張って掘り返す」ことではなく、心の準備ができたタイミングで、自然に起こってくること。

心理カウンセリングでは、「嫌な体験を思い出さなければ、癒されない」と思い込む必要はありません。

あなたの無意識を主役にすると、あなたに必要なことを、あなたにちょうどいいペースで教えてくれるのです。

私も、ハコミセラピーで得た学びや体験をもとに、個別セッションを行っています。

「思い出したくない」「つらい過去に向き合うのは怖い」

そんな方でも大丈夫です。

あなたの内側には、癒しの力がすでにあります。

無理に思い出さなくても、心はちゃんと必要なプロセスへ向かっていきます。

どうか、自分のペースを大切にしながら、優しく心を癒してあげてください。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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