人と関わるのが楽になる「ラビング・プレゼンス」|やり方と、取り組むときの注意点

2026年10月27日

人と一緒にいると、気を遣いすぎて、どっと疲れてしまう。

人と会う前から、気が重くなる。

そんな経験はありませんか。

 

それは、あなたが悪いのではありません。

相手を大切にしようと、頑張ってきたからかもしれません。

 

私自身、対人緊張が強く、人と関わると疲れ果てていました。

そんな私が、「ラビング・プレゼンス」を続けるうちに、人との関わりがちょっとずつ楽になっていったのです。

 

今回は、人と関わるのが楽になる「ラビング・プレゼンス」について、やり方と注意点をお伝えします。

 

自分を満たす「ラビング・プレゼンス」

 

 

「ラビング・プレゼンス」とは

「ラビング・プレゼンス」は、「ハコミセラピー ※1 」という心理療法で使われる手法です。

英語で「Loving Presence」と書きます。

直訳すれば、「存在を愛する」ということ。  

 

目の前にいる相手の存在から、愛を受け取り、味わう。

それが、「ラビング・プレゼンス」です。  

 

ハコミセラピーのセラピストは、「ラビング・プレゼンス」の状態をキープしたまま、クライエント(相談者)に向き合います。

クライエントが、その人らしく、そのままに存在していることに、素晴らしさを感じながら、セラピーをおこなうのです。  

 

とはいえ、「愛」を受け取る、って言われても、ピンとこないかもしれません。

私も、そうでした。

そのため、私は、「その人らしい味わい」「生命力」と、とらえるようにしています。  

 

目の前にいる人の「その人らしい味わい」や「生命力」を感じ取り、それをリスペクトしながら、その人と一緒にいる。

相手の「良いところ」を頭で考えて探すのではなく、「自分にとって必要だと感じた良いもの」を、相手からいただく。

私の「ラビング・プレゼンス」は、そんな感じです。  

 

※1:「ハコミセラピー」とは、マインドフルネスを使って、心と身体の両方に働きかける心理療法です。

※ハコミセラピーについて、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

 

「ラビング・プレゼンス」が作り出すもの

ハコミセラピーが「ノンバイオレンス(非暴力)」を実践できているのは、「ラビング・プレゼンス」を取り入れていることが影響していると感じています。

ハコミセラピーのグループワークでは、参加者同士で、何度も「ラビング・プレゼンス」をおこなっているのです。

相手からの愛を受け取りながら相手と接していると、「バイオレンス(暴力)」は起こりにくくなります。  

 

そんな「ラビング・プレゼンス」は、日常生活にも取り入れやすい方法です。

「ラビング・プレゼンス」を実践すると、相手から良い感じを受け取り、自分を満たすことにつながります。  

 

相手に与えるのではなく、相手から与えられる。

相手ファーストの姿勢から、自分を満たすことも大切にする姿勢へ。  

 

私の場合、「ラビング・プレゼンス」を実践するうちに、人と一緒にいても、緊張を感じづらくなっていきました。

相手から与えられ、満たされる体験が重なるうちに、安心感を感じられるようになっていったのです。

 

「ラビング・プレゼンス」のやり方

 

 

「ラビング・プレゼンス」の手順は、とても簡単です。

具体的な手順について、ステップごとに、説明していきます。

 

ステップ①:おこなう対象を決める

初めは、「知らない人」に対して、「ラビング・プレゼンス」をおこなうほうが、取り組みやすいと言われています。

よく知っている人だと、日頃の不満が出やすくなり、取り組みのハードルが高くなるからです。

日常生活で取り入れるなら、「街で見かけた人」に対しておこなうことを、おすすめします。  

 

たとえば、

  • カフェやレストランで見かけた人
  • 電車で座っている人、立っている人

 

私は、「優しそうな人。好印象を感じる人」を選びます。

ただし、相手を凝視すると、変に思われることがあるので、注意が必要です。  

 

慣れてきて、余裕があるときは、家族や職場の人など、日頃の不満が出やすい相手に対して、試してみることもできます。

新しい発見があるかもしれません。

 

それでも、人を対象にしておこなうことが難しいときは、物に対しておこなう方法もあります。

 

※物に対する「ラビング・プレゼンス」について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

 

ステップ②:「マインドフルネス」の状態になる

目をつぶって、ゆっくりと深呼吸をしながら、「今この瞬間」に起きていることを感じていきます。

  • 呼吸。
  • 身体の動き。
  • 身体の感覚。
  • 聞こえてくる音。

 

「今この瞬間」に起きていることに、自分の意識が集中している状態を、「マインドフルネス」と言います。  

「ラビング・プレゼンス」をおこなう際は、まず、マインドフルネスの状態になります。

 

※「マインドフルネス」について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

 

ステップ③:自分に言葉をかける

マインドフルネスの状態になり、心も身体も落ち着いてきたら――。

心の中で、次の言葉を自分自身にかけます。  

 

このあと目を開けると、今の自分にとって必要な何かが流れ込んでくる。

私は、それを受け取り、いい感じを味わうことができる。  

 

そして、「何が流れ込んでくるかな~」と、ワクワクした気持ちをもちます。

 

ステップ④:一瞬、目を開いて相手を見る

心の中で自分に言葉をかけたら、パチッと目を開き、選んだ相手を、1~2秒見ます。

そして、すぐに目を閉じます。  

 

目を閉じたあとに、何も感じないとき、何も起こらないときは――。

パチッと目を開いて、相手を見て、目を閉じるということをくり返しても、大丈夫です。

 

ステップ⑤:ここちよい感じを味わう

目を閉じたら、ここちよい感じが、自然にわき起こってくるのを待ちます。

ここちよい感じが起きてきたら、そのここちよさを、じっくりと味わいます。  

 

ここちよい感じは、人によって違います。

  • 身体の感覚:温かい。柔らかいものに包まれる。身体の内側が何かで満たされていく。リラックスする。ホッとする。安心する、など。
  • イメージ:光に包まれる。ここちよい映像が浮かぶ。物語として展開する、など。
  • 声や言葉を感じる:「そのままでいい」「頑張ってるね」など、心の中で、言葉や声のようなものが感じられる。

 

私の場合、「ラビング・プレゼンス」をおこなうと、イメージが展開されます。

ある日、電車の向かい側の席に座っていた女性に対して、「ラビング・プレゼンス」に取り組んだところ――。

モフモフした白い生きものが、イメージの中に登場しました。

私はイメージの中で、モフモフさんにぺったりとくっつき、フワフワして温かく、気持ちの良い感じを味わったのです。 

 

「ラビング・プレゼンス」に取り組むときの注意点

 

 

「ラビング・プレゼンス」は、比較的安全な方法だと言われています。

それでも、取り組むにあたって、いくつかの注意点があります。  

 

心の中で言葉をとなえる

「ラビング・プレゼンス」に取り組む前に、ステップ③の言葉を、心の中でとなえることをおすすめします。

 

実は、私が「ラビング・プレゼンス」を知ったばかりのころ。

「このあと目を開けると――」といった言葉をとなえずに、電車の中で「ラビング・プレゼンス」を試してみたら――。

亡霊のような恐ろしいものが襲いかかってくるというイメージが浮かんできて、ビックリしました。

 

とはいえ、言葉をとなえなくても、いい感じを味わうことができる人もいます。

「人からは、いい感じのものしか流れ込んでこない」と思っている人です。

また、「ラビング・プレゼンス」をおこなうことに慣れていて、身についている人も、そうでしょう。  

 

私は、対人緊張が強いところがありますので――。

痛い目にあってからは、必ず、心の中で言葉をとなえてから、「ラビング・プレゼンス」をおこなうように心がけていました。

 

もし、試してみて、怖いイメージが浮かんだときは、目を開けて、いったん手を止めてください。

 

「心構え」が大切

「何も起こらないに違いない」という心構えでいると、感じ取りにくくなることがあります。

ですが、何も感じなくても、あなたのやり方が間違っているわけではありません。

 

 「ラビング・プレゼンス」に取り組むときは、「どんな良いものが流れ込んでくるかな~」と、ワクワクした「心構え」を大切にしましょう。  

リラックス&エンジョイの気持ちで臨むと、取り組みやすくなります。

初めは、何も起こらなくても、何度か試しているうちに、徐々に感じられるようになるかもしれません。

 

元気のあるときに取り組む

「ラビング・プレゼンス」に慣れていないうちは、ちょっとエネルギーがあるときに取り組むほうが望ましいです。

気持ちが沈んでいるときは、新しいことに挑戦するエネルギーが出ないことがあります。

初心者は、気持ちが沈んでいるときに「ラビング・プレゼンス」に取り組むことは、やめておきましょう。  

 

ですが、やり方に慣れてきたら、気持ちが沈んでいるときに取り組んでも、癒されたり、元気をもらえたりすることがあります。

私も、しょんぼりした気分のときにやってみたら、心がほっとゆるんだことがありました。

 

慣れないうちは目を閉じて取り組む

「ラビング・プレゼンス」に慣れていないうちは、相手を1~2秒見たあと、目を閉じたほうが、ここちよい感じを味わいやすくなります。

目を閉じたほうが、余計な刺激が目に入ってこないので、自分の中で起きる感じに集中しやすくなるのです。  

 

ですが、慣れてくると、目を開けたままでも、「ラビング・プレゼンス」の状態に入れるようになります。

 

私も、慣れてきたころから、目を開けたまま、取り組むことがあります。

スクールカウンセラーとして勤務するとき、クライエント(相談者)や、情報共有をする学校の先生方に対して、「ラビング・プレゼンス」を実践しているのです。

 

対人緊張があっても、仕事上の役割があると、それなりに人と関わることができます。

目を開けて「ラビング・プレゼンス」に取り組むと、それまで以上に、相手を理解しやすくなる気がしています。

 

試してみるとしても、無理のない範囲でおこなってください。

とはいえ、セルフケアだけでは、手に負えない苦しさもあります。

ご自身の状態によっては、医療機関や、専門家と一緒に取り組むほうが、安全で、確実なこともあります。

 

人と関わるたびに、心がすり減ってしまうあなたへ

人と会ったあと、一人になってから、あの一言が気になって、何度も頭の中で振り返ってしまう。

相手に合わせすぎて、自分の気持ちが分からなくなる。

それは、あなたが、それだけ、人との関わりに心を配ってきたからかもしれません。

 

まずは、話してみるだけで構いません。

人と関わるために、ずっと気を張りつめてきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

 

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、人と関わるときに緊張を強めてしまう心の部分(パーツ)にも、あなたのペースで、一緒に向き合っていきます。

 

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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。

 

※人から嫌われるのが怖くてたまらないという方へ。

 

※「慈悲の瞑想」で心を整える方法について、知りたい方へ。



【参考文献】

「ラビング・プレゼンス」について、理解を深めたい方は、ご参照ください。

  • 高野雅司(2013)人間関係は自分を大事にする。から始めよう 青春出版社
  • 高野雅司(2018)図解「人づきあいが面倒!」なときのマインドフルネス 青春出版社

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