心に必要なものを得る「ラビング・プレゼンス」|人が苦手なときは「モノ」でおこなう方法
瞑想をしようとしても、頭の中が騒がしくて、集中できない。
人と関わると、刺激が強すぎて、かえって疲れてしまう。
そんな経験はありませんか。
それは、あなたが悪いのではありません。
周囲から受ける刺激が、ほかの人より強く感じられているだけかもしれません。
私も、人を相手にするより、好きな「モノ」を相手にするほうが、安心して取り組めると感じることがあります。
今回は、好きな「モノ」を相手におこなう「ラビング・プレゼンス」のやり方と、私の体験についてお伝えします。
「モノ」でおこなう「ラビング・プレゼンス」もおすすめ

「ラビング・プレゼンス」とは
「ラビング・プレゼンス」は、英語で書くと「Loving Presence」。
これは、「ハコミセラピー ※1 」という心理療法で使われている方法です。
「ラビング・プレゼンス」をおこなうと――。
「目の前にいる相手から、自分にとって必要なものを受け取り、必要なもので自分を満たす」という体験が得られます。
「自分にとって必要なもの」は、ひとりひとり違います。
たとえば、愛、優しさ、温かさ、冷静さ、など。
普段は、相手に遠慮して、与えることが多い人は、気持ちが枯渇しがちです。
「ラビング・プレゼンス」は、そんな人が、自分を満たすことも大切にする姿勢へ変わっていく助けになります。
※1:「ハコミセラピー」とは、マインドフルネスを使って、心と身体の両方に働きかける心理療法です。
※ハコミセラピーについて、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。
「モノ」でおこなうことをすすめる理由
「ラビング・プレゼンス」は、「マインドフルネス ※2 」の応用編です。
マインドフルネスを一人でおこなうと、慣れないうちは、集中しづらい人もいるかもしれません。
ですが、目の前にいる相手を糸口にして、「チラッと見たものから、自分の心に必要なものを受け取る」という作業を加えると、マインドフルネスの状態が深まりやすくなるのです。
このように、「ラビング・プレゼンス」は、基本的には「人」を対象としておこないます。
とはいえ、感受性が強い、過敏さがある、人が怖いという方は、「人」を対象にすると、刺激が強すぎることがあります。
そんなときは、自分が好きな「モノ」を対象に、「ラビング・プレゼンス」をおこなうことも、私はおすすめしています。
「モノ」は反撃してくることがないので、安心して取り組みやすくなります。
それに、「純粋に好きなモノ」を対象とするので、「自分にとって必要なもの」も感じとりやすくなるのです。
※2:「マインドフルネス」とは、ゆっくりと深呼吸をして、目をつぶり、「今、この瞬間」に起きていることに意識を向けていくことです。
※「マインドフルネス」について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。
「ラビング・プレゼンス」を「モノ」でおこなう方法

「モノ」でおこなう場合の手順
「モノ」に対して「ラビング・プレゼンス」をおこなう手順は、「人」に対しておこなうときと、ほぼ同じです。
違うのは、「人」を対象とするのではなく、好きな「モノ」でおこなうこと。
手順は、以下の通りです。
ステップ①:好きな「モノ」を選ぶ
あなたが好きな「モノ」を選んで、目の前に置きます。
どんな「モノ」を選ぶと良いかについては、「モノでおこなう場合のポイント」をご参照ください。
また、初めて取り組むときは、気持ちが沈んでいない、少しエネルギーのあるときがおすすめです。
ステップ②:「マインドフルネス」の状態になる
目をつぶって、ゆっくりと深呼吸をしながら、「今この瞬間」に起きていることを感じていきます。
ステップ③:自分に言葉をかける
マインドフルネスの状態になったら、心の中で、次の言葉を自分自身にかけます。
このあと目を開けると、今の自分にとって必要な何かが流れ込んでくる。
私は、それを受け取り、いい感じを味わうことができる。
ステップ④:一瞬、目を開いて「モノ」を見て、目を閉じる
目を閉じた状態から、パチッと目を開き、選んだ「モノ」を、ほんの一瞬、チラッと見ます。
そして、すぐに目を閉じます。
ステップ⑤:ここちよい感じを味わう
目を閉じ、ここちよい感じが起きてきたら、じっくりと味わいます。
何も感じないときは、もう一度、目を開けて、チラッと見て、閉じることをくり返しても大丈夫です。
何も感じなくても、あなたのやり方が間違っているわけではありません。
「モノ」に対する「ラビング・プレゼンス」を試してみるとしても、無理のない範囲でおこないましょう。
不安なときは、医師や専門家に相談することをおすすめします。
「モノ」でおこなう場合のポイント
「モノ」は、好きなモノなら、何でもOKです。
たとえば――。
- 大好きなアーティストや俳優
- かわいい動物
- 自然のもの(観賞植物、花、樹木、水辺、森、など)
- ぬいぐるみや小物
- アート作品
実物のほうが、自分にとって必要なもの(良いもの)を感じとりやすいのですが、写真やイラストでも構いません。
ただし、恐怖や不快感など、ネガティブな感情を抱きやすい「モノ」は、対象から外すことをおすすめします。
「モノ」から心に必要なものを得る
私の体験
私は、神社の境内にある巨木に対して、「ラビング・プレゼンス」をおこなったことがあります。
巨木が見える位置に立ったあと、目をつぶり、ゆっくり深呼吸をしながら、マインドフルネスの状態になる。
そして、「このあと目を開けると――」という言葉を心の中でとなえ、パチッと目を開けて、巨木を見る。
すぐに目を閉じると、巨木の残像とともに、イメージが広がっていきました。
巨木が地下に根を張りめぐらし、宇宙から降り注ぐエネルギーを受けとめ、長い月日を重ねてきたイメージ。
巨木の圧倒的な生命力を含め、地球も宇宙もすべてのものがひとつになっているような感覚が広がる。
私もその中のひとつとして、泰然と存在している感じ。
その感じをじっくり味わううちに――。
私は生かされている。
私は、大地と宇宙から、生きることが許されている。
そんな思いが胸の中に広がっていきました。
自己否定が強く、「自分には価値がない」と思い込んでいた私にとって、心が満たされていくような体験。
全身に静かな力がみなぎっていくのを感じました。
「必要とするもの」は、そのときどきで変わることがある
「人」でおこなうときもそうですが、「モノ」でおこなうときも――。
「自分が必要とするもの」は、そのときどきで、変わっていきます。
対象とする「モノ」が異なれば、そこから受ける印象をもとに、「自分が必要とするもの」が違ってきます。
また、同じ「モノ」であっても、自分自身の心境が異なっていると、まったく違ったものが「自分が必要とするもの」になることがあるのです。
たとえば、私が、広々とした庭園で、生い茂る樹木に対して「ラビング・プレゼンス」をおこなったときは――。
私が小さな子どもになって、同じぐらいの年齢の子どもたちと、楽しく走り回るイメージが浮かびました。
そのときは、「心許せる相手と一緒に、無邪気に遊ぶ楽しさ」が、私が必要とするものだったのです。
「モノ」に対する「ラビング・プレゼンス」は、自分に必要なものに気づくきっかけになったり、心を満たしてくれたりすることがあります。
「人」を相手におこなうより、取り組みやすく、得られるものも、意外と豊かです。
お出かけしたときや、趣味を楽しむときに、出会った「モノ」に対して「ラビング・プレゼンス」を試してみてくださいね。
とはいえ、セルフケアだけでは、手に負えない苦しさもあります。
ご自身の状態によっては、医療機関や、専門家と一緒に取り組むほうが、安全で、確実なこともあります。
人の前では、どうしても身構えてしまうあなたへ
好きなものを前にしているときは、ほっとできる。
でも、人の前に出ると、どうしても身構えてしまう。
それは、あなたの心が、これまでの経験から、自分の身を守ろうとしているからかもしれません。
まずは、話してみるだけで構いません。
人の中で、ずっと身構えながら過ごしてきた。
それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。
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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。
※「その人らしさ」に触れて、生きづらさのパターンが揺らいだ体験について、知りたい方へ。
※「ラビング・プレゼンス」を、自分自身に対しておこなう実践記を読みたい方へ。
【参考文献】 「ラビング・プレゼンス」について、理解を深めたい方は、ご参照ください。
- 高野雅司(2013)人間関係は自分を大事にする。から始めよう 青春出版社
- 高野雅司(2018)図解「人づきあいが面倒!」なときのマインドフルネス 青春出版社


























