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そのままの自分でも生きづらさが解消する

母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきた私。

「自分を生きる」ために、努力を重ねていきます。

悪戦苦闘、試行錯誤の末。

そのままの自分でも、素晴らしい人間に生まれ変わらなくても生きづらさが解消することに気づきました。

 

生きづらい日々

 

幼いころから周囲との間に違和感があり、高校生になってから生きづらさを感じるようになりました。

 

自分のことが好きになれない。

他の人と話をするのが怖い。

 

生きづらさの根本には、母との関係があると考えるようになりました。

母は、私が幼いころから、事あるごとに出来の良い弟と出来の悪い私を比べて、私のことを頭ごなしに罵倒してきたからです。

 

ですが、「心軽やかな日々を送ってみたい!」という切なる願いのもと、自己探究を重ねていくと。

母が悪いのではないということが身にしみていきます。

母には母の事情があり、母なりに精一杯生きていたのです。

 

母への怒りがおさまっていくと、私の苦しみの根源は、私の中にあることが分かってきました。

母との関係が影響してはいるものの、私自身の中に、自分を責め、自分を否定する部分があるから、苦しくなるのです。

 

しかも、私の場合、自分を激しく否定する傾向が強くなると、対人恐怖に近い感情が生まれます。

周りの人とうまく関われないと、そのことで、さらに自分を責めてしまう、という悪循環。

地獄の業火で焼かれるような苦しみを味わいます。

 

あまりの苦しさを何とかしたくて。

心軽やかな日々を送ってみたくて。

 

必死の思いで自己探求を重ねていくと、見えてきたものがありました。

 

生きづらさを感じるときに心の中で起きていること

 

自己探究を重ねていくと、「心は集合体」という認識にいたりました。

つまり、「心の中にはいくつもの存在がある」という認識です。

 

私自身、自分の心の中に、いくつかの存在(キャラクター)があることを認識するようになりました。

各々の存在(キャラクター)の年齢、姿かたち、役割など、事細かくイメージし、じっくりと観察を重ねていきます。

すると、いくつかの存在(キャラクター)が、互いに影響し合って、自己否定や対人恐怖を生み出していることに気づきました。

 

自己否定や対人恐怖を生み出す、主要な存在(キャラクター)は、以下の通りです。

 

タカハシさん

「タカハシさん」は、指示を飛ばし、ダメ出しをする、20代~30代の厳しい女性キャラクター。

私の母の分身みたいな存在。

 

「完璧な人間になること」を命題にかかげ、常に目を光らせている。

何かに取りかかろうとすると、「ああせい、こうせい、ああすべき、こうすべき」と、無理難題に近いような指示を出す。

指示通りの行動が取れなかったり、素晴らしい結果が得られなかったりすると、「それはダメ、あれはダメ、全然なってない、何をやってもダメ!」と、叱責をくり返す。

 

たとえば、人と関わるとき。

タカハシさん:相手を楽しませるような会話をしないといけない。相手の気に入る話題をふらないといけない。

私が、相手の気に入る話題が分からなくて、まごまごしていると。

タカハシさん:気の利いたことの1つも言えないなんて、本当にバカ丸出し。

焦りながら、相手に話しかけると。

タカハシさん:笑顔がぎこちない。そんなだから、相手に嫌われる。生きているだけで、人の迷惑になる。

 

「タカハシさん」が考える「理想的な行動」が取れないと、激しいダメ出しが発動!!

自己否定が激しくなるのはもちろん、人と関わるのが怖くなります。

 

ソルジャーなお

「ソルジャーなお」は、11~12歳ぐらいの少年兵。

自分を攻撃する敵がいないか、常に警戒をおこたらない。

敵を発見したら、攻撃するか、撤退するか、関係を断つ(心の中で相手の存在を切り捨てる)。

 

常に周囲を警戒しているので、相手に気を許すことが難しい。

一方、スパイのように良い人を演じ、相手の攻撃をかわそうとするため、相手と表面的な人間関係しか築けない。

 

「ソルジャーなお」が活躍すると、誰かと一緒にいるときに、常に不安がつきまといます。

 

きいちゃん

「きいちゃん」は、いつも不安におびえている3~4歳ぐらいの女の子。

思い通りにならないことがあると、「やっぱり私は要らない子!」と、猛烈に嘆き悲しむ。

嘆き悲しむ「きいちゃん」は、私の心の全領域を支配するほどに大きくなり、地獄の業火で焼かれるような苦しさにさいなまれる。

 

「きいちゃん」は、おそらく、「インナーチャイルド」と呼ばれる「傷ついた子ども」です。

「きいちゃん」は、母から罵倒され続けてきたことに深く傷ついている一方で、「母に認められたい。母の笑顔が見たい」という切なる願いを抱いています。

 

そんな「きいちゃん」は、「タカハシさん」の言動に傷つき、「ソルジャーなお」の働きで孤独を感じ、「やっぱり私は要らない子!」という思いを、さらに強めてしまうのです。

 

心の中で起こった変化

 

「タカハシさん」も、「ソルジャーなお」も、なんでそんな余計なことをしているんだって思っちゃいますよね。

ですが、自己探究を重ねていくと、二人とも、「きいちゃん」を守りたいと思って奮闘していることが見えてきました。

 

「タカハシさん」は、「きいちゃん」が幸せになることを、切に願っています。

ただ、「理想的な良い子」になれば、みなから愛され、幸せになると思い込んでいるだけ。

それに、「先回りして指示を出し、失敗を防ぐ。叱責することで子どもの行動を改善する」というやり方しか知らない。

私の母と同じことをしています。

 

「ソルジャーなお」も、同じ。

「きいちゃん」の幸せのために、敵を警戒し、敵を発見したら対処しているだけ。

それ以外の方法を知らないのです。

 

ですが、自己探究を重ね、「きいちゃん」が安心できるような働きかけを、ひたすらに続けていったら。

「タカハシさん」「ソルジャーなお」の役割が変わっていきました。

 

タカハシさん

有無を言わさぬ指示というより、提案というニュアンスに変わる。

しかも、提案は、無理難題ではなくなり、常識の範囲にとどまっている。

思い通りの結果が得られなかったときに、金切り声をあげて叱責することがなくなる。

そして、私の言動が常識から外れていないか、チェックして、的確なアドバイスをくれる。

「法の番人」みたいな感じで、頼もしい存在に変わっている。

 

「タカハシさん」は、母の思考の再体験(認知・思考的フラッシュバック)でもあったみたい。

簡単なタッピングを実践することで、激しい叱責がピタリと止まりました。

 

ソルジャーなお

相手に対する警戒心がゆるみ、相手を「敵」と認識することが減ってくる。

次第に、疲れ知らずで、せっせと任務を遂行する実直さが、目立ってくる。

私が、現実世界で、仕事、作業、家事をするときは、「ソルジャーなお」が大活躍!

休憩も取らずに黙々と働いてくれる、こちらも、頼もしい存在に変わっている。

 

心の中にいる傷ついた子どもが安心感を得ていくと、その子どもを取り囲む存在(キャラクター)の役割が変わっていったのです。

 

そのままの自分でもいい

 

私自身、「なんか、変わったよね」などと言われるようになりましたが、根本から別の人間になった訳ではありません。

私の心の中の存在は、以前と変わらずにあるものの、安心し、警戒が解けることで、役割が変わっただけなのです。

ある意味、暴走している状態がクールダウンして、通常運転に戻ったと言えるかもしれません。

 

つまり、一見、自分の首を絞めているような存在が心の中にあっても、「悪者」ではありません。

暴走しがちな存在は、大人のような印象でありながら、実は、とても幼い存在。

幼い子が、見知った方法をバカのひとつ覚えといった感じで使い倒しているだけなのです。

 

ところが、心の中にいる存在が安心感を得て、暴走がおさまると、その存在が成熟していきます。

以前とは違って、自分に優しいやり方で、自分を守ってくれるようになるのです。

すると、生きづらさが解消していき、心軽やかな日々を手にすることができるようになりました。

 

自分を根本から変える必要などなく、そのままの自分でもいい。

安心感を与えていけば、自然と心の中にある存在の役割が変わっていく。

次第に、生きづらさが解消していく。

 

とはいえ、私自身、まだまだ、「きいちゃん」が「やっぱり私は要らない子!」と悲しみ出し、苦しくなることがあります。

そうしたら、「心は集合体」という認識で、自分の心の中で起きていることに意識を向ける。

悲しんでいる「きいちゃん」に安心感を与えていく。

そんな地道なセルフケアを重ねています。

 

 

傷ついたインナーチャイルドが安心していくと、その子を取り囲む、他のキャラクターたちの暴走がおさまり、自分にとって優しい働きをしてくれるようになります。

そうした状態を、多くの人が「変わった」と言いますが、人格が別人のように変わるのではありません。

そのままの自分でも、心の中にある存在の暴走がおさまっていくと、心の中にある存在の役割が変わるだけなのです。

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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