心の栄養を自給自足する「ラビング・プレゼンス」実践記

2025年11月25日

心がしんどくなり、気持ちがまったく動かなくなる時って、ありますよね。

「この状況をどうにかしたいのに、何も感じられない」

「自分を支える力がわいてこない」

そんな“内なる緊急事態”のとき、自分の内側から心の栄養を生み出す方法を見つけました。

この記事では、私自身が大変な状況を乗り越えるために実践した

「自分自身を対象にしたラビング・プレゼンス」

についてお伝えします。

外に助けを求められないときでも、心がじわじわ満たされ、落ち着いていく。

しんどい状況下で、自分を支えるための、実践的なセルフケアの方法です。

否定の言葉を受けて育った私が、心を守るためにしてきたこと

私は、母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきました。

そのため、大人になってからでも、職場で厳しい状況が起きると、心が一気に凍りつくような感覚に襲われることがあります。

心軽やかな日々を送りたいと思い、さまざまな試行錯誤を重ねた結果、すっかり自己探究オタクになった私。

そんな私が、今回、自分の体験を通して、「心の栄養を自給自足して乗り切る」という新しいセルフケアに行きつきました。

心の中に「緊急事態宣言」が発令される

ハコミセラピーをともに学ぶ仲間と、セッション練習をしていたとき。

私は、職場で起きている厳しい状況を、テーマとして取り上げました。

ハコミセラピーとは、「マインドフルネスの状態を使って、心と身体の両方に働きかける心理療法」です。

深呼吸をしながら、「今この瞬間」に意識を向けると、思考が静まり、無意識に押し込めていた感覚や感情が浮かび上がってきます。

マインドフルネスの状態で、自分の内側に意識を向けていくと。

上半身に“重たい肉のカタマリ”のような感覚が、ど~んと現れました。

胸のあたりが苦しく、息がしづらいほどです。

しかし、驚いたことに、「悲しい」「不安」などの感情は、いっさい浮かんできません。

ただ、感情が押しつぶされ、その残骸のような黒いカスが散らばっているイメージだけがありました。

そして、その重たいカタマリから、メッセージが流れ込んできたのです。

今は緊急事態宣言が発令されているので、この態勢を解除できません

私の心は、現状を“緊急事態”として受けとめ、生き延びるために感情を抑え、自分の身を守ろうとしていたのです。

自分に優しくしても届かないとき

心が“緊急事態モード”に入ってしまうと、どんなセルフケアも効きにくくなります。

私は「自己流セルフ・コンパッション」で優しい言葉をかけてみましたが、これがまったく届きませんでした。

そんなとき、ふとアイデアが浮かびました。

自分自身を対象にラビング・プレゼンスをしたらどうだろう?

ラビング・プレゼンスとは、「目の前の相手の存在から“愛(心の栄養)”を受け取り、味わうワーク」です。

通常は、他者やモノを対象に行いますが、「自分自身から愛を受け取る」という発想は、初めてのもの。

もし、自分を対象にしたら、

心の栄養を“自給自足”できるのではないか。

そんな期待が、芽生えました。

自分自身に対するラビング・プレゼンスのやり方

思い立ったら、すぐ実践。

早速、自分自身を対象に、ラビング・プレゼンスをおこなってみました。

手順は、シンプルです。

①対象を選ぶ

今回は、鏡に映る私自身。

②マインドフルネスの状態になる

深呼吸をしながら、心と身体が落ち着くのを待ちます。

③自分に言葉をかける

心の中で、こんな言葉を投げかけます。

「このあと目を開けると、今の私にとって必要な何かが流れ込んでくる。

私はそれを受け取り、味わうことができる」

そして、少しワクワクしながら、その瞬間を待ちます。

④一瞬だけ目を開ける

鏡の中の自分を1秒だけ見て、すぐに目を閉じます。

⑤ここちよい感覚を味わう

すると自然に、内側から「ここちよい感じ」がわき上がってきます。

その感覚を、ただただ丁寧に味わいます。

私が受け取ったのは、「凛とした強さ」という感覚でした。

通常の“自分の顔を鏡で見る感覚”とは、まったく違った印象。

そこには、まっすぐ立つ竹のような、太くしなやかなイメージがありました。

強風でも折れず、地震でも倒れず。

タケノコや竹材、竹炭として、人の役に立つ存在感。

そのイメージを味わっていると、胸の中の“緊急事態”の重さが、じんわりと溶けていくのを感じました。

しかも、自分から発生したポジティブな感覚を味わうので、自然と自己肯定感も上がるような嬉しさがあります。

無意識から浮かぶイメージのほうが、頭で考えた優しい言葉よりも、心に届きやすかったのです。

うまくいかないときのコツ

自分を対象にやってみたけれど、うまくいかない……。

そんな声もあると思います。

自分を責めたり、否定したりする習慣がある人ほど、最初から自分で自分を満たすのは難しいのです。

私も昔はそうでした。

ですから、うまくいかない方には、“段階的ラビング・プレゼンス”をおすすめしています。

①モノに対して

ペット、植物、好きな雑貨、食べ物……。

あなたが「好き」「いい感じ」と感じられる対象から始めましょう。

②知らない人に対して

初対面の人、街で見かけた人など。

日常の文脈がない相手は、取り組みやすいです。

③身近な人に対して

家族、同僚などへ。

感情的な葛藤が出てきても、そこから学びがあります。

④自分自身に対して

鏡や写真を使うと取り組みやすくなります。

段階を踏んで「心の栄養を受け取る経験」を積むことで、あなたの心の器は、確実にレベルアップしていきます。

※ラビング・プレゼンスについて、詳しくは、こちら。

心の栄養を自給自足して、生き延びる力に変えていく

私は、職場の厳しい状況のなかで、

この「自分自身へのラビング・プレゼンス」に助けられています。

心が緊急事態のときほど、外からの言葉は届きにくくなる。

そんなときでも、

自分の内側から湧き出る“いい感じ”を受け取ることはできる。

それは確かに、心の栄養の“自給自足”でした。

あなたも、ぜひ一度試してみてください。

ほんの数分でも、心の質が変わってくるのを感じられるはずです。

今回は、自分自身を対象にしたラビング・プレゼンスによって、大変な時期をどう乗り越えたかについて、ご紹介しました。

心のケアは、少しの習慣で大きな変化が生まれます。

ただし、ひとりで続けるのは難しいと感じることも多いものです。

もし、

  • 自己否定が強い
  • ひとりでは心が整わない
  • もっと深く自分に向き合いたい
  • 安心できる場で練習したい

そんな思いがある方は、専門家と一緒に取り組むことで回復がぐっと早まります。

必要な方は、私の個別セッションもお気軽にご利用くださいね。

あなたの心の栄養づくりを、安心とともにサポートします。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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