心の栄養を自給自足する「ラビング・プレゼンス」実践記
心がしんどくなり、気持ちがまったく動かなくなる時って、ありますよね。
「この状況をどうにかしたいのに、何も感じられない」
「自分を支える力がわいてこない」
そんな“内なる緊急事態”のとき、自分の内側から心の栄養を生み出す方法を見つけました。
この記事では、私自身が大変な状況を乗り越えるために実践した
「自分自身を対象にしたラビング・プレゼンス」
についてお伝えします。
外に助けを求められないときでも、心がじわじわ満たされ、落ち着いていく。
しんどい状況下で、自分を支えるための、実践的なセルフケアの方法です。
否定の言葉を受けて育った私が、心を守るためにしてきたこと

私は、母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきました。
そのため、大人になってからでも、職場で厳しい状況が起きると、心が一気に凍りつくような感覚に襲われることがあります。
心軽やかな日々を送りたいと思い、さまざまな試行錯誤を重ねた結果、すっかり自己探究オタクになった私。
そんな私が、今回、自分の体験を通して、「心の栄養を自給自足して乗り切る」という新しいセルフケアに行きつきました。
心の中に「緊急事態宣言」が発令される
ハコミセラピーをともに学ぶ仲間と、セッション練習をしていたとき。
私は、職場で起きている厳しい状況を、テーマとして取り上げました。
ハコミセラピーとは、「マインドフルネスの状態を使って、心と身体の両方に働きかける心理療法」です。
深呼吸をしながら、「今この瞬間」に意識を向けると、思考が静まり、無意識に押し込めていた感覚や感情が浮かび上がってきます。
マインドフルネスの状態で、自分の内側に意識を向けていくと。
上半身に“重たい肉のカタマリ”のような感覚が、ど~んと現れました。
胸のあたりが苦しく、息がしづらいほどです。
しかし、驚いたことに、「悲しい」「不安」などの感情は、いっさい浮かんできません。
ただ、感情が押しつぶされ、その残骸のような黒いカスが散らばっているイメージだけがありました。
そして、その重たいカタマリから、メッセージが流れ込んできたのです。
今は緊急事態宣言が発令されているので、この態勢を解除できません。
私の心は、現状を“緊急事態”として受けとめ、生き延びるために感情を抑え、自分の身を守ろうとしていたのです。
自分に優しくしても届かないとき

心が“緊急事態モード”に入ってしまうと、どんなセルフケアも効きにくくなります。
私は「自己流セルフ・コンパッション」で優しい言葉をかけてみましたが、これがまったく届きませんでした。
そんなとき、ふとアイデアが浮かびました。
自分自身を対象にラビング・プレゼンスをしたらどうだろう?
ラビング・プレゼンスとは、「目の前の相手の存在から“愛(心の栄養)”を受け取り、味わうワーク」です。
通常は、他者やモノを対象に行いますが、「自分自身から愛を受け取る」という発想は、初めてのもの。
もし、自分を対象にしたら、
心の栄養を“自給自足”できるのではないか。
そんな期待が、芽生えました。
自分自身に対するラビング・プレゼンスのやり方
思い立ったら、すぐ実践。
早速、自分自身を対象に、ラビング・プレゼンスをおこなってみました。
手順は、シンプルです。
①対象を選ぶ
今回は、鏡に映る私自身。
②マインドフルネスの状態になる
深呼吸をしながら、心と身体が落ち着くのを待ちます。
③自分に言葉をかける
心の中で、こんな言葉を投げかけます。
「このあと目を開けると、今の私にとって必要な何かが流れ込んでくる。
私はそれを受け取り、味わうことができる」
そして、少しワクワクしながら、その瞬間を待ちます。
④一瞬だけ目を開ける
鏡の中の自分を1秒だけ見て、すぐに目を閉じます。
⑤ここちよい感覚を味わう
すると自然に、内側から「ここちよい感じ」がわき上がってきます。
その感覚を、ただただ丁寧に味わいます。
私が受け取ったのは、「凛とした強さ」という感覚でした。
通常の“自分の顔を鏡で見る感覚”とは、まったく違った印象。
そこには、まっすぐ立つ竹のような、太くしなやかなイメージがありました。
強風でも折れず、地震でも倒れず。
タケノコや竹材、竹炭として、人の役に立つ存在感。
そのイメージを味わっていると、胸の中の“緊急事態”の重さが、じんわりと溶けていくのを感じました。
しかも、自分から発生したポジティブな感覚を味わうので、自然と自己肯定感も上がるような嬉しさがあります。
無意識から浮かぶイメージのほうが、頭で考えた優しい言葉よりも、心に届きやすかったのです。
うまくいかないときのコツ
自分を対象にやってみたけれど、うまくいかない……。
そんな声もあると思います。
自分を責めたり、否定したりする習慣がある人ほど、最初から自分で自分を満たすのは難しいのです。
私も昔はそうでした。
ですから、うまくいかない方には、“段階的ラビング・プレゼンス”をおすすめしています。
①モノに対して
ペット、植物、好きな雑貨、食べ物……。
あなたが「好き」「いい感じ」と感じられる対象から始めましょう。
②知らない人に対して
初対面の人、街で見かけた人など。
日常の文脈がない相手は、取り組みやすいです。
③身近な人に対して
家族、同僚などへ。
感情的な葛藤が出てきても、そこから学びがあります。
④自分自身に対して
鏡や写真を使うと取り組みやすくなります。
段階を踏んで「心の栄養を受け取る経験」を積むことで、あなたの心の器は、確実にレベルアップしていきます。
※ラビング・プレゼンスについて、詳しくは、こちら。
心の栄養を自給自足して、生き延びる力に変えていく

私は、職場の厳しい状況のなかで、
この「自分自身へのラビング・プレゼンス」に助けられています。
心が緊急事態のときほど、外からの言葉は届きにくくなる。
そんなときでも、
自分の内側から湧き出る“いい感じ”を受け取ることはできる。
それは確かに、心の栄養の“自給自足”でした。
あなたも、ぜひ一度試してみてください。
ほんの数分でも、心の質が変わってくるのを感じられるはずです。

今回は、自分自身を対象にしたラビング・プレゼンスによって、大変な時期をどう乗り越えたかについて、ご紹介しました。
心のケアは、少しの習慣で大きな変化が生まれます。
ただし、ひとりで続けるのは難しいと感じることも多いものです。
もし、
- 自己否定が強い
- ひとりでは心が整わない
- もっと深く自分に向き合いたい
- 安心できる場で練習したい
そんな思いがある方は、専門家と一緒に取り組むことで回復がぐっと早まります。
必要な方は、私の個別セッションもお気軽にご利用くださいね。
あなたの心の栄養づくりを、安心とともにサポートします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。























