悪者探しの悪循環を抜け出す心の整え方
思い通りにいかないとき、つい、「誰が悪いんだろう」と考えてしまう――。
多くの人が、心のどこかで経験していることではないでしょうか。
悪者を決めることで、一瞬だけ、心が軽くなることもあります。
ですが、それを続けていると、生きづらさや自己否定につながり、気持ちがどんどん重くなっていくのです。
長年、自己探究を続けてきた私は、この “悪者探しの悪循環” を抜け出す鍵が、
「自分の心の仕組みを知ること」 にあると気づきました。
ここでは、私自身の体験と心理学の視点を交えて、悪循環から抜け出す方法についてお伝えします。
自分の中に「悪者」を探してしまう理由

私には、自分の中に「悪者」を探すクセがあります。
- 性格が悪いから、嫌われる
- 頭が悪いから、仕事で失敗する
- 自分を責める自分のせいで、物事がうまくいかない
そんな風に、自分を責める理由を、延々と探し続けてしまうのです。
これは、幼いころから出来の良い弟と比較され、母に否定的な言葉を浴びせられ続けた経験によるもの。
「母に愛されたい」と思っていた幼い私は、理不尽な状況を理解するために、「自分を悪者にする」という形で、心のバランスを取っていました。
大人になっても、そのクセは消えません。
困難に直面すると、条件反射のように、 “自分の中に悪者” を探してしまうのです。
自分の中に悪者を探すメリット
- 「自分に原因がある」と考えることで、周囲との摩擦を避けられる
- 自分を改善しようとするモチベーションが生まれる
そして、深刻なデメリット
- 自信が持てない
- 自分を肯定できない
- 怒りを内側に向けてしまい、苦しみが増す
“自分の中に悪者探しをする”ということを続けていると、心がすり減り、日常が重く感じられてしまいます。
自分以外のところに「悪者」を探すパターン

一方で、私の母は、真逆のタイプでした。
自分以外のところに “悪者” を探し続けていたのです。
- 家がうまくいかないのは、姑のせい
- 仕事が大変なのは、取引先がバカだから
- 社会が悪いから、暮らしがよくならない
ただし、母は、「悪い」と決めつけた相手に、改善に向けた働きかけをすることはありません。
怒りをためまくり、陰で悪口を言うだけ。
怒りの持っていき場がないと、身近な私に向けることもよくありました。
自分以外に悪者を探すメリット
- 「自分は悪くない」と思えて、気が楽になる
- 良くない状況を改善しようという意欲が生まれることもある
しかし、デメリットは深刻
- 他人や過去は変えられないため、怒りが増幅する
- 善人でいたい人ほど、怒りを身近な人にぶつけてしまう
母は、末期ガンで亡くなる直前まで、周囲を恨み続けていました。
「悪者探し」をやめられなかったことで、心が軽くなる瞬間をほとんど持てなかったのだと思います。
もちろん、多くの人は、ここまで極端ではありません。
自分を責めるモードと、他人を責めるモードを、行ったり来たりしている ものです。
けれど、どちらに偏っても、心の負担は大きくなっていきます。
悪者探しから抜け出す鍵は「心の仕組みを知ること」

私が自己探究を重ねるなかで、たどり着いた結論は、
心は一つのまとまりではなく、複数の “部分(パーツ)” の集合体でできている
という考え方でした。
これは専門的には、“マルチプルマインド(心は集合体)”という概念に近いものです。
心の中には、役割の異なる複数の部分が存在し、それぞれが
「あなたを守るために」
反応しているのです。
※「心は集合体」について、詳しくはこちら。
例:仲間に厳しいダメ出しをされたとき
私の心の中では、いくつかの部分が同時に動き出します。
- 繊細な部分
「私には能力がない…」と悲しむ - ちゃんとした人でいたい部分
「私の努力不足が悪い!」と自分を責める
→ 自分の中に“悪者探し” - 負けん気の強い部分
「ダメ出ししてること、あなたはできてるの?」と怒りを向ける
→ 相手の中に“悪者探し”
表面では「悪者探し」に見えても、
その奥には、 “悲しみを感じさせまい” とする、必死の防御があるのです。
悪者探しをやめるステップ
大切なのは、悪者探しをしている部分を責めることではなく、
むしろ、 その部分に優しく気づいてあげること です。
- 「悲しまないように、守ってくれているんだね」
- 「今まで頑張ってくれて、ありがとう」
そう声をかけると、その部分は安心して静かになります。
感情的な嵐がしずまると、今度は 冷静に状況を判断する部分 が前に出てきます。
- 相手の言葉は、真に受けるべきか
- どの部分が、改善につながるのか
- そもそも、相手の事情はどうだったのか
こうして、心の内側でできる対応を続けていくと、
“悪者探し” は、ほんの一瞬で終わり、
次の行動を選べるようになります。
心の内側を知れば、悪循環から抜け出せる

戦争や災害など、外側の要因が大きすぎる場合は、
自分だけで気持ちを処理することは、難しいでしょう。
それでも、日常の多くの場面では、
自分の心の中で何が起きているのかに気づくこと
で、悪者探しの連鎖を止めることができます。
悪者探しを手放すと、心の重荷が消え、
次に進むためのエネルギーが戻ってきます。
あなたの日常も、もっと軽やかに、もっと自分らしく動き出せるはずです。
自分を責めなくていい世界へ
今回は、悪者探しをやめるための鍵として
「自分の心の仕組みを知ること」 をお伝えしました。
一見ネガティブに見える反応も、すべては“自分を守るための働き”です。
その視点を持てると、心は驚くほど穏やかになります。
どうか、今日から少しずつ、内側で起きている声に耳を傾けてみてください。
あなたの人生が、もっと自由で優しい方向へ進んでいきますように。

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最後までお読みいただき、ありがとうございます。























