悪者探しの悪循環を抜け出す心の整え方

2025年11月28日

思い通りにいかないとき、つい、「誰が悪いんだろう」と考えてしまう――。

多くの人が、心のどこかで経験していることではないでしょうか。

悪者を決めることで、一瞬だけ、心が軽くなることもあります。

ですが、それを続けていると、生きづらさや自己否定につながり、気持ちがどんどん重くなっていくのです。

長年、自己探究を続けてきた私は、この “悪者探しの悪循環” を抜け出す鍵が、

「自分の心の仕組みを知ること」 にあると気づきました。

ここでは、私自身の体験と心理学の視点を交えて、悪循環から抜け出す方法についてお伝えします。

自分の中に「悪者」を探してしまう理由

私には、自分の中に「悪者」を探すクセがあります。

  • 性格が悪いから、嫌われる
  • 頭が悪いから、仕事で失敗する
  • 自分を責める自分のせいで、物事がうまくいかない

そんな風に、自分を責める理由を、延々と探し続けてしまうのです。

これは、幼いころから出来の良い弟と比較され、母に否定的な言葉を浴びせられ続けた経験によるもの。

「母に愛されたい」と思っていた幼い私は、理不尽な状況を理解するために、「自分を悪者にする」という形で、心のバランスを取っていました。

大人になっても、そのクセは消えません。

困難に直面すると、条件反射のように、 “自分の中に悪者” を探してしまうのです。

自分の中に悪者を探すメリット

  • 「自分に原因がある」と考えることで、周囲との摩擦を避けられる
  • 自分を改善しようとするモチベーションが生まれる

そして、深刻なデメリット

  • 自信が持てない
  • 自分を肯定できない
  • 怒りを内側に向けてしまい、苦しみが増す

“自分の中に悪者探しをする”ということを続けていると、心がすり減り、日常が重く感じられてしまいます。

自分以外のところに「悪者」を探すパターン

一方で、私の母は、真逆のタイプでした。

自分以外のところに “悪者” を探し続けていたのです。

  • 家がうまくいかないのは、姑のせい
  • 仕事が大変なのは、取引先がバカだから
  • 社会が悪いから、暮らしがよくならない

ただし、母は、「悪い」と決めつけた相手に、改善に向けた働きかけをすることはありません。

怒りをためまくり、陰で悪口を言うだけ。

怒りの持っていき場がないと、身近な私に向けることもよくありました。

自分以外に悪者を探すメリット

  • 「自分は悪くない」と思えて、気が楽になる
  • 良くない状況を改善しようという意欲が生まれることもある

しかし、デメリットは深刻

  • 他人や過去は変えられないため、怒りが増幅する
  • 善人でいたい人ほど、怒りを身近な人にぶつけてしまう

母は、末期ガンで亡くなる直前まで、周囲を恨み続けていました。

「悪者探し」をやめられなかったことで、心が軽くなる瞬間をほとんど持てなかったのだと思います。

もちろん、多くの人は、ここまで極端ではありません。

自分を責めるモードと、他人を責めるモードを、行ったり来たりしている ものです。

けれど、どちらに偏っても、心の負担は大きくなっていきます。

悪者探しから抜け出す鍵は「心の仕組みを知ること」

私が自己探究を重ねるなかで、たどり着いた結論は、

心は一つのまとまりではなく、複数の “部分(パーツ)” の集合体でできている

という考え方でした。

これは専門的には、“マルチプルマインド(心は集合体)”という概念に近いものです。

心の中には、役割の異なる複数の部分が存在し、それぞれが

「あなたを守るために」

反応しているのです。

※「心は集合体」について、詳しくはこちら。

例:仲間に厳しいダメ出しをされたとき

私の心の中では、いくつかの部分が同時に動き出します。

  1. 繊細な部分
    「私には能力がない…」と悲しむ
  2. ちゃんとした人でいたい部分
    「私の努力不足が悪い!」と自分を責める
    → 自分の中に“悪者探し”
  3. 負けん気の強い部分
    「ダメ出ししてること、あなたはできてるの?」と怒りを向ける
    → 相手の中に“悪者探し”

表面では「悪者探し」に見えても、

その奥には、 “悲しみを感じさせまい” とする、必死の防御があるのです。

悪者探しをやめるステップ

大切なのは、悪者探しをしている部分を責めることではなく、

むしろ、 その部分に優しく気づいてあげること です。

  • 「悲しまないように、守ってくれているんだね」
  • 「今まで頑張ってくれて、ありがとう」

そう声をかけると、その部分は安心して静かになります。

感情的な嵐がしずまると、今度は 冷静に状況を判断する部分 が前に出てきます。

  • 相手の言葉は、真に受けるべきか
  • どの部分が、改善につながるのか
  • そもそも、相手の事情はどうだったのか

こうして、心の内側でできる対応を続けていくと、

“悪者探し” は、ほんの一瞬で終わり、

次の行動を選べるようになります。

心の内側を知れば、悪循環から抜け出せる

戦争や災害など、外側の要因が大きすぎる場合は、

自分だけで気持ちを処理することは、難しいでしょう。

それでも、日常の多くの場面では、

自分の心の中で何が起きているのかに気づくこと

で、悪者探しの連鎖を止めることができます。

悪者探しを手放すと、心の重荷が消え、

次に進むためのエネルギーが戻ってきます。

あなたの日常も、もっと軽やかに、もっと自分らしく動き出せるはずです。

自分を責めなくていい世界へ

今回は、悪者探しをやめるための鍵として

「自分の心の仕組みを知ること」 をお伝えしました。

一見ネガティブに見える反応も、すべては“自分を守るための働き”です。

その視点を持てると、心は驚くほど穏やかになります。

どうか、今日から少しずつ、内側で起きている声に耳を傾けてみてください。

あなたの人生が、もっと自由で優しい方向へ進んでいきますように。

もし、

  • 悪者探しのクセがやめられない
  • 気持ちの整理がうまくいかない
  • 自分を責めるパターンから抜け出したい

そんなお悩みがある方は、個別セッションでお手伝いできます。

あなたの内側で起きている“部分(パーツ)”を一緒に整理し、

心が落ちつき、本来の力を取り戻すためのサポートを行っています。

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あなたのタイミングで大丈夫です。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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