怒りに振り回されないための「ストレスマネジメント」|アンガーマネジメント①

2026年9月26日

イラッとした瞬間に感情を抑えられず、後になって「また怒ってしまった」と自分を責めてしまう。

そんな経験はありませんか。

 

怒りっぽい自分を「ダメな人間だ」と感じてしまうかもしれません。

ですが、怒りは本来、あなたを守るために生まれた大切な感情です。

ただ、うまく付き合う方法を知らないだけ。

 

私自身、夫に対してイラッとすると、その場面をくり返し思い出してしまいます。

そして、気づけば、過去の嫌なことまで、芋づる式によみがえって、怒りがどんどんふくらんでいく――。

そんな経験を重ねてきました。

 

そんな怒りをなんとかおさめたいと思い、私が活用しているのが、「アンガーマネジメント」。

「アンガーマネジメント(anger management)」は、文字通り、怒りをマネジメント(コントロール)する方法のこと。

「アンガーマネジメント」に含まれているのは、以下の3つの要素です。

 

①ストレスマネジメント(今回の記事)

②考え方の修正

③アサーション

 

  今回は、「アンガーマネジメント」のうち、まず身につけたい「ストレスマネジメント」について、具体的な方法とともにお伝えします。  

 

「怒り」は大切な感情だけれど

 

 

生きものは、危機的な状況にぶちあたったとき、3つの反応をすると言われています。

 

①闘争(fight):闘う

②逃走(flight):逃げる

③凍結(freeze):固まる  

 

「相手と闘えば、命を守ることができる」と感じたとき。

「恐怖」などといったネガティブな感情が、「怒り」に変わり、「闘う(fight)」といった行動があらわれます。

つまり、生きのびるために、「怒り」が重要な役割を果たしているのです。  

 

たとえば、卵を温めている親鳥が、卵をヘビにねらわれたとき。

  • 親鳥は、「ヘビに卵を食べられてしまったら、大変!」と、恐怖を感じる。
  • 「恐怖」⇒「怒り」⇒「パワー」に変えて、ヘビと闘う。
  • ヘビを追いはらい、卵を守る。

 

「怒り」がなければ、大切な卵をヘビに食べられて、おしまいです。  

 

ところが、現代の人間社会では、「怒り」が活躍する場が限られています。

平和で安心できる社会であるほど、闘って命を守らなくちゃいけない場面って、ほとんどない。  

 

逆に、「怒り」に振り回されてしまうと、損をすることのほうが多い――。

それで、「怒り」を、コントロールすることが、重視されるようになったきたのです。  

 

ただし、「怒りを感じる自分」を否定する必要はありません。

大切なのは、怒りをなくすことではなく、「怒りとの付き合い方を身につけること」です。

 

「ストレスマネジメント」の効果

 

 

「ストレスマネジメント」とは、イラッとしたときに、6秒間、怒りをしのぐための方法です。  

 

この「6秒間」とは――。

「感じる脳(大脳辺縁系)」が活性化して、「怒り」が生まれたあと、

「考える脳(大脳新皮質)」が働くまでの時間。  

 

「考える脳(大脳新皮質)」が働き出すと、「今、怒ると損をする」など、合理的な考えが生まれます。

そして、「感じる脳(大脳辺縁系)」の働きを弱め、「怒り」をおさえるのです。  

 

そのため、イラッとしてからの「6秒間」を持ちこたえることができれば、「怒り」は、それほど大きくなりません。

 

「ストレスマネジメント」の具体的な方法

 

 

「ストレスマネジメント」では、基本的に、「考える脳(大脳新皮質)」を活性化させます。

それに加えて、イラッとした場面をくり返し思い出すことを防ぎ、「感じる脳(大脳辺縁系)」を鎮めます。  

 

教科書的な方法の中には、「使い勝手が悪いなあ」と感じられるものも挙げられているので――。

私が使って、効果を感じた方法をピックアップしてみました。

 

深呼吸

単に、深呼吸をするだけでも、良いのですが、ちょっと工夫を加えると、効果が高まります。  

 

「怒り」を身体の外に吐き出すようなイメージで、ゆっくりと口から息を吐く。

そして、新鮮な空気が身体の隅々に行き渡るようなイメージで、ゆっくりと鼻から息を吸う。

息を吐き、息を吸うといった行為にだけ、意識を向ける。  

 

その場から離れる

イラッとしたときに、その場から離れ、一人で静かに過ごします。

「怒り」を増幅させるような刺激を減らすことで、気持ちがおさまっていきます。

 

一人で過ごすときに、嫌な場面をくり返し思い出すことは、「怒り」が高まってしまうので、NG。

深呼吸をするなど、別のことをして過ごします。  

 

ただ、職場など、オフィシャルな場所で急に立ち去ると、変な感じになるので――。

「ちょっとお手洗いに」「用事があるので」などと伝え、トイレの個室で気持ちを鎮めるというのはいかがでしょう。

 

別なことをして気をそらす

別なことを考えたり、おこなったりすることで、イラッとした状況から気をそらします。

時と場合が許すのであれば、集中できる活動、没頭できる活動をすることが、おススメです。  

 

たとえば、

  • 仕事、勉強、趣味など、目の前の作業に集中する
  • 好きな音楽を聴く
  • 掃除をする
  • 目の前にある物(ペンなど)をじっと観察して、心の中で描写する
  • 指をすり合わせて、その感触を味わう
  • 楽しい出来事を思い出す

 

イラッとしたときに備えて、事前に、どんなことをするか、決めておくと安心です。

 

自分に言葉をかける

心の中で、元気が出るような言葉、気持ちがやわらぐような言葉を、自分にかけていきます。  

 

たとえば、

  • 大丈夫
  • きっとうまくいく
  • 図太くいこう
  • 何とかなる
  • 私はよくやっている
  • 私は頑張っている

 

いきなりだと言葉が思いつかないので、事前に「イラッとしたら、この言葉をかけよう」と決めておくといいですね。

 

身体の緊張をほぐす

イラッとしたときに、その場を離れることができる状況だったら、身体の緊張をほぐす方法が、おススメです。  

 

たとえば、

  • 冷たい水で顔を洗う
  • 冷たい水を飲む
  • 笑顔を作る
  • ソファや床の上などに大の字になって寝転ぶ
  • ストレッチなど、軽い運動をする

 

私は、夜にイライラすることが多いので、さっさとお風呂に入ります。  

 

「ストレスマネジメント」の限界

   

 

「怒り」をおさめるために、効果がある「ストレスマネジメント」にも、限界があります。

 

ぐるぐる思考

ストレスマネジメントの限界を作り出してしまう原因の1つは、「ぐるぐる思考(反すう思考)」。

 

「ぐるぐる思考」とは、嫌な場面や気になることを、くり返しくり返し思い出すことです。

思い出すほどに、「怒り」がどんどんふくれ上がっていき、収拾がつかなくなります。  

 

私も、ひどく傷つくことがあると、その場面を何度も思い出し、余計に気持ちが沈んでいく――。

そうなると、「ぐるぐる思考」の圧倒的なパワーの前に、ストレスマネジメントは手も足も出ない。

頭の中から「ぐるぐる思考」を追い出して、空っぽにすることの難しさが、身にしみます。

 

「ぐるぐる思考」をおさめるために

「ぐるぐる思考」をおさめるためには――。

その代わりに、別なことをするのが一番。

 

「ぐるぐる思考」をやめようと思うほど、はまってしまう矛盾が生じます。

まずは、「ぐるぐる思考になっている」と気づき、先ほど書いた「ストレスマネジメントの具体的な方法」を実践するのです。

特に、「別なことをして気をそらす」方法のうち、かなり熱中できるもの、思いっきり没頭できるものが、おススメ。  

 

そして、徹底的に実践し、頭の中から「ぐるぐる思考」がなくなった身体の感覚を味わいます。

身体に覚えさせる感じです。  

 

私自身、ありとあらゆる方法を試すうちに――。

「慈悲の瞑想」のフレーズをひたすらに唱えると、「ぐるぐる思考」が消えることを発見!

1年間、「慈悲の瞑想」を唱え続けていたら、絶望的な体験で傷ついた心でさえ、少しずつ整っていきました。  

 

※慈悲の瞑想について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

 

心の傷

ストレスマネジメントの限界を作り出してしまう原因の2つめは、「心の傷」。

 

何を試しても、「怒り」がおさまらず、何度もくり返し湧き上がってくる場合。

その根っこには、ストレスマネジメントだけでは扱いきれない、「心の傷」が隠れていることがあるのです。

 

特に、幼少期につらい体験をすると、心が深く傷つきます。

しかし、幼い子どもは、周囲の状況を客観的に把握する能力が育っていません。

そのため、「つらい思いをするのは、自分が悪いからだ」と思い込んでしまうのです。

 

成長し、大人になってからも、心の中には、幼い子どもが存在し続けています。

そして、かつての「心の傷」が刺激されるような出来事があると――。

「心の傷」がうずき出し、悲しみなど、自分の身を守るために、強い「怒り」が生じる。

 

幼い子どもには、理屈が通用しません。

怒って大泣きしている子どもを、何とかしてなだめようとしても、怒りがおさまらないことがありますよね。

あれと同じ感じで、ストレスマネジメントを実践しても、なかなか効果が得られないのです。

 

「心の傷」をおさめるために

「心の傷」から生じる「怒り」をおさめるためには――。

自分の心の中にいる「内なる子ども(インナーチャイルド)」に寄り添う。

 

「内なる子ども」の怒りに寄り添い、その根底にある傷つき、悲しみに共感していくことが必要です。

そして、「内なる子ども」の気持ちが落ち着いてきたら、幼少期に得られなかった体験を与えていきます。

 

とは言うものの、「内なる子ども」は、自分一人だと扱うことが難しいというのが、正直なところ。

はじめは、専門家と一緒に取り組み、慣れてきたら、自分で「内なる子ども」をケアすると良いかもしれません。

 

私も、心理療法をともに学ぶ仲間や専門家の助けを借りながら、「内なる子ども」に関わってきました。

ストレスマネジメントに取り組みながら、「内なる子ども」に関わる時間をもつと、気持ちが穏やかになっていきます。

 

※「内なる子ども」に寄り添う方法について、もっと知りたい方は、こちらもどうぞ。

 

怒りを放っておく

ストレスマネジメントの限界を作り出してしまう最大の原因は、「怒りを放っておくこと」。  

 

当たり前のことですが、ストレスマネジメントに取り組まず、怒りを放っておいたら、何の結果も生まれません。

年齢とともに、人柄がまるくなり、怒りが生じなくなるということもあるでしょう。

ですが、年齢とともに、だんだん制御がきかなくなり、ますます怒りっぽくなるということもあるかもしれません。  

 

「怒り」は、周囲の人との関係を悪くするだけでなく、実は、心身の健康にも害を及ぼします。

私は医者ではないので、軽々しいことは言えませんが――。

怒りの強い人が、何らかの心身の疾患に苦しんでいる様子を目の当たりにしてきました。  

 

ご自身の健康を守るためにも、怒りに振り回されず、上手に付き合う方法を見つけていただきたいです。

 

一人で頑張らなくても大丈夫

怒りに振り回されず、心を落ち着けたい。

そう思っているのに、なかなかうまくいかない。

そんなもどかしさを感じることもあるはずです。

 

「ストレスマネジメント」を実践しても、おさまらない怒りの根底には、心の傷つきやビリーフが潜んでいるかもしれません。

そうしたものに一人で向き合うことは、なかなかに骨が折れることです。

私自身も、心理療法の専門家や仲間たちと一緒に、心の傷に取り組んできたからこそ、気持ちがやわらいでいったところがあります。

 

まずは、話してみるだけで構いません。

長い間、一人で抱えてきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

 

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、ストレスマネジメントのようなセルフケアだけでは届かない、心の傷やビリーフにも、一緒に向き合っていきます。

 

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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。

 

※親との関係で傷つき、「愛着障害」があると感じている方へ。

 

※怒りを感じることもあるけれど、自分を責めてつらくなるという方へ。

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