不安をやわらげるポリヴェーガル式セルフケア
なんとなく不安で、気が休まらない。
そんな状態が続くと、「このままで、大丈夫なのかな」と、心がざわついていきますよね。
今回は、そんな不安を「神経レベルからやわらげていくセルフケアの方法」と、その背景にある「ポリヴェーガル理論」について、分かりやすくお伝えします。
難解なポリヴェーガル理論の概要を知っていただくと同時に、日ごろのセルフケアとして役立てていただけたら、嬉しいです。
不安を読み解く「ポリヴェーガル理論」

不安なときに、深呼吸をしても、なかなか落ち着かない。
頭では分かっているのに、心がついてこない。
そんな経験は、ありませんか?
実は、不安の背景には「心の問題」だけではなく、「身体の神経システムの働き」が深く関わっています。
その考え方を整理してくれるのが、ストレス・トラウマ研究の最新知見である「ポリヴェーガル理論」です。
難しい専門用語を抜きにして、かなりシンプルに言うと、この理論は、
「人の心と身体は、自律神経の3つの働きを行き来しながら、安心・緊張・シャットダウンを調整している」
というもの。
自律神経は、「交感神経」と「副交感神経」からなっており、
ストレスや環境の変化などに応じて、臓器を含めた身体全体を微調整しながら、全身を最適な状態に保っている神経のこと。
ポリヴェーガル理論は、副交感神経をさらに2つに分類しているところに、特徴があります。
交感神経(アクセル)
やる気が出るとき
⇒「ワクワクモード」
過剰に高まると
⇒「闘争モード(怒り)」や「逃走モード(不安)」
副交感神経①:背側迷走神経(バックスイッチ)
一人でほっと休むとき
⇒「休息・消化モード」
強く働きすぎると
⇒「凍りつきモード(動けない、ふさぎこむ)」
副交感神経②:腹側迷走神経(フロントスイッチ)
誰かと安心して過ごしているとき
⇒「つながりモード(穏やか、満たされる)」
精神的に安定している人は、この3つが過剰に働くことなく、やわらかく行き来しながら、心身を整えています。
逆に、幼少期から厳しい環境にいた人や、ストレスが続いている人は、アクセルべた踏み(交感神経)と急ブレーキ(バックスイッチ)を行き来しやすく、心が消耗してしまいます。
私自身も、幼いころから、母に厳しい言葉をかけられて育ち、自分を「ダメな人間」だと信じ込んで生きてきました。
気持ちのアップダウンが激しく、「なんで、私はこんなに気持ちが不安定なんだろう」と思い悩むばかり。
この理論を知ったとき、「こういうメカニズムなのか」と、深く納得してしまいました。
副交感神経を「育てる」と心が穏やかになる

神経が未発達なら、もう治らないの?
そんな心配は、必要ありません。
大人になってからでも、
2つの副交感神経、バックスイッチとフロントスイッチは、育て直すことができます。
まずは、「バックスイッチのケア」から取り組んでいきましょう。
私が気に入っているワークをご紹介しますね。
バックスイッチを整えるワーク
急ブレーキしか知らない神経に、「ゆっくりブレーキ」を教えていく感覚です。
腎臓に手を当てる
腰の上あたりにある腎臓の位置に手を当て、じんわり温かさを感じる。
お腹を温める
おへその周りに手を当てて、ゆっくり呼吸する。
脳幹にタッチする
首の後ろと後頭部の境に軽く手を当て、呼吸を合わせる。
私は、モヤモヤして落ち着かないときの「対処療法」として使っています。
寝る前に行うと、寝つきがよくなる感じです。
フロントスイッチを育むワーク
バックスイッチが整ってきたら、次は、フロントスイッチ(つながりモード)に取り組みましょう。
ここが育つと、「不安に対する自然なブレーキ」が働くようになります。
ただし、フロントスイッチは、「人との安心したつながり」で鍛えられていく神経。
過去の経験から、人が怖い・苦手だと感じている人は、いきなり対人関係から始めるのは、ハードルが高いんです。
そこで、まずは、一人でできるワークから始めるのが大切。
こちらも、私が気に入っているワークをご紹介しますね。
バランスボールに座る
姿勢を保とうとすると、身体の前側の神経が自然に働く。
バランスボールがなければ、イスで軽く身体を揺らすだけでもOK。
「ぼぉー」「ぶぅー」と声を出す
汽笛のような低い声を出してみる。
唇まわりの振動が神経を刺激し、落ち着きと集中の両方が得られる。
「ふー」と長く息を吐く
口から長く息を吐き、鼻から吸う。
下唇に空気を当てるイメージで吐くと、効果がアップ。
心臓に手を置く
胸にそっと手を当て、温かさを感じる。
どのワークも、「思い出したときに、ちょいとやってみる」くらいがちょうどいいです。
「やらねば」と気合いが入ると、それ自体がストレスになってしまいますからね。
ワークをしても心が落ち着かないとき

セルフケアは、とても役立ちます。
ですが、「心の奥深くにある幼少期の傷」が反応しているときには、どうしても効果を感じづらいことがあります。
かつての私自身も、セルフケアを実践しても、過去の傷がうずくと、「凍りつきモード」になって、部屋の隅で固まっていることがありましたからね。
そんなときは、自分を責めるのではなく、
「これは、心の中の幼い自分が、SOSを出しているんだ」
と受けとめることが大切です。
そして、手が届きにくい、心の深い部分にあるものは、
一人で抱え込まずに、専門家と一緒に扱っていくほうが、スムーズな場合があります。
※鍼灸の知識を用いて心と身体を整えるセルフケアもあります。お試しください。

もし今、
不安が続いて苦しい
気持ちが落ち着く時間がない
自分を責めてしまう
人との関わりがしんどい
セルフケアをしても効果が続かない
そんな状態で、つらさを一人で抱えているなら、
誰かに寄り添ってもらい、安心感を一緒に育てていくサポートを検討するのはいかがでしょうか。
私の提供する個別セッションでは、
ポリヴェーガル理論の視点を取り入れながら、
「凍りつき」「不安」「緊張」から、ゆるやかに抜けていくお手伝いをしています。
どうか、一人で頑張りすぎないでくださいね。
お話しできるのを、心からお待ちしています。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【引用・参考文献】
浅井咲子(2021)不安・イライラがスッと消え去る「安心のタネ」の育て方―ポリヴェーガル理論の第一人者が教える47のコツー 大和出版
浅井咲子(2025)今度こそ「不安ぐせ」をゆるめるポリヴェーガル理論 日本文芸社





















