愛着障害の苦しみをやわらげてくれるセルフケアとは

2025年11月25日

愛着障害の苦しみは、抱えている人にしか分からないつらさがあります。

人間関係がうまく築けず、感情が揺さぶられ、「生きること」そのものがしんどくなるのです。

私自身も長い間、その苦しさに耐えながら生きてきました。

この記事では、私が実際に体験し、「心が少し楽になる」と感じたセルフケアの方法――特に、精神科医・神田橋條治先生の「母におんぶ」という独自のアプローチ――について、分かりやすく紹介します。

深い悩みを抱えているあなたが、少しでも安らぎを取り戻せますように。

生きづらさの根底にある「愛着障害」

あなたに、次のような悩みはありませんか?

  • 人と関わることが怖い、いつも不安
  • 相手との距離が極端に近くなったり、遠くなったりする
  • 自分には価値がないと感じてしまう
  • 感情が不安定で、コントロールが難しい

かつての私も、まさに、こうした生きづらさを抱えていました。

これは「性格の問題」ではなく、「愛着障害」によって起きることがあります。

「愛着障害」とは何か

「愛着障害」とは、「乳幼児期に育まれるはずの『安心感にもとづくきずな』が十分に形成されず、人との関わりの中で安らぎを感じにくくなる状態」です。

特に、早期の母子関係の不安定さや、養育者の変化、トラウマ体験が影響すると言われています。

「愛着障害」が起きやすい環境

たとえば、次のような環境で育つと、愛着障害が起きやすくなります。

  • 養育者の言動に一貫性がない
  • 放置・拒絶・無関心
  • 精神的・身体的な暴力
  • 養育者自身が不安定で、子どもに寄り添う余力がない
  • 転居などで養育環境が何度も変わる

私の場合、母の態度が気分次第で激しく変わり、否定の言葉を受け続けたことが、心に深い影響を残しました。

しかも、父は仕事で忙しく、家にいる時間が限られていたため、幼い私は「一人で耐える」しかありませんでした。

この 「一人で耐え続ける」 という経験こそ、愛着障害につながりやすい土壌になります。

愛情を“素直に受け取れない”という障害

私は、愛着障害を抱えているんだろうなあ。

そんな風に感じていた私は、精神科医・神田橋條治先生の言葉に、胸を突かれました。

いかなる形で提供される愛情も、素直に受け取れなくなる状態が、愛着の障害

かつての私は、こんな風に思い込んでいたからです。

  • 「母と父は、“責任感が強い”から私を見捨てなかっただけ」
  • 「友だちが優しいのは、人格者だから」
  • 「私のような人を好きになるなんて、頭がおかしい」
  • 「夫は、私を金づるや家政婦として見ている」

どんなに愛情を向けてもらっても、素直に受け取れない。

信頼しようとしても、心のどこかで疑い続けてしまう。

愛着障害とは、まさにこうした「愛情を受け取る器」が傷ついた状態だといえます。

「愛着障害」を癒すヒント ― 神田橋先生のアプローチ

私も長年、生きづらさをやわらげたいという願いのもと、さまざまな心理療法やセルフケアを試してきました。

そんな中で出会ったのが、神田橋先生の「母におんぶ」という意外なアプローチです。

先生は、鍼灸・気功・整体など、身体の自然治癒力に注目しながら、独自の心身養生法を考案してきました。

先生が着目したのは…

愛着障害を抱えた女性が、子どもを育てる過程で、愛着障害が軽くなる場合がある。

赤ちゃんには、愛着障害がないので、とても素直に甘える。

その甘えに一生懸命応えていくうちに、母親自身の愛着障害が癒えていく。

神田橋先生が着目した事象から導かれたのが、“二人の間に生まれる雰囲気が愛着障害を癒す” という発想です。

この考えにもとづいて、「母におんぶ」という方法が生まれました。

「母におんぶ」とは

「母におんぶ」のやり方

やり方は、とてもシンプルです。

母役の人がソファに座り、子ども役が背中におんぶをするように、ぴったりとくっつく。

② 接触しているお腹と背中の間に、温かい体温を感じながら、「溶け合い」の気分を味わう。

③ 二人で合唱のように声を合わせ、「マイナス1歳、0歳、1歳、2歳…」と、年齢を数える。

④ 基本的に、子ども役の実年齢まで数えるが、母役にも「愛着障害」がある場合は、母役の実年齢まで合唱する。母役・子ども役のどちらに愛着障害があっても、一緒に癒されていく。

実践のポイント

「母におんぶ」を実践する場合のポイントは、こちら。

  • 実母とおこなうと、最も効果が高い
  • パートナー・父親・心理カウンセラーでも代用できる
  • 毎日おこなうのがおすすめ
  • トラウマを思い出し、フラッシュバックがある場合は、まず安心・安全を味わうセルフケアから始める

何よりも、「無理にやらない・一人で抱えない」ことが大切です。

※フラッシュバックがある場合のセルフケアについては、こちら。

私が実践して感じたこと

私が、この方法を知ったのは、心が非常に不安定だった時期。

「ナオミは、バカで、のろまで、肝心なときに役に立たない」という母の最期の言葉に、深く傷ついていたときでした。

そのとき、母は亡くなっていたため、夫に “母役” をお願いして、実践してみたのです。

メリット

私が感じたメリットは、以下の通り。

  • たしかに心がふっとゆるむ
  • 「誰かに受けとめられている」という感覚を実感できる
  • しんどさのピークを乗り越える支えになる

私は月に数回、1年ほど続けました。

他のセルフケアや心理療法と合わせて進める中で、少しずつ「愛情を受け取る」感覚が戻ってきたような気がしています。

デメリット

私が感じたデメリットは、以下の通り。

  • 相手が必要なため、頼れる人がいないと難しい
  • 愛着障害の特性上、誰かに「お願いする」ことが、とてもハードルが高い
  • 実母との関係で傷つきがある場合、実母には頼みにくい

私も、夫には頼みづらく、本当に苦しいときにしか、お願いできませんでした。

毎日は取り組めなかったので、どこまで効果があったのか、何とも言えないところがあります。

「愛着障害」の回復で大切なのは“誰かと一緒に”という感覚

愛着障害を抱えている人ほど、「自分一人で頑張らなければ」と思い込みがち。

幼いころ、ひとりで耐えなければいけなかった体験が、心の底にしみつき、そこから抜け出せないのです。

けれども、心の回復に必要なのは、むしろ “安全な他者との共存”

ひとりでは届かなかった心の奥に、他の人と一緒だからこそ、届く瞬間があります。

もし、あなたが一人で苦しんでいるのであれば、必要なときに、安心して寄りかかれる場所を、見つけてみませんか。

個別セッションのご案内

愛着障害の悩みは、一人で取り組むほど、つらく感じやすいものです。

よろしければ、一緒に心を整える時間を作りませんか。

愛着障害による生きづらさ、愛情の受け取りにくさ、人間関係の苦しさなど、ひとつひとつ丁寧に扱いながら、あなたのペースで心をほぐしていきましょう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

【引用・参考文献】

今回ご紹介したセルフケアの背景を理解したい方におすすめです。

  • 神田橋條治・白柳直子(2018)神田橋條治の精神科診察室 IAP出版
  • 神田橋條治(2019)心身養生のコツ 岩崎学術出版社

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