自己否定が激しい私がたどりついた自己流「セルフ・コンパッション」
母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきた私。
自己否定が激しく、どうしても自分に優しくできません。
そんな私でも、「セルフ・コンパッション」を実践できるようになりました!
私なりのヒケツと、その効果について、お伝えします。
「セルフ・コンパッション」に取り組めない
自己探究を重ねながらも、自己否定の激しさに苦しんでいたころ。
「セルフ・コンパッション」というものを知りました。
「セルフ・コンパッション」とは、直訳すれば、「自分自身に対する慈しみ」。
分かりやすく言えば、「自分自身に対して思いやりの気持ちをもって接すること」です(ネフ、2014、2021)。
「セルフ・コンパッション」が高まると、
心身が健やかな状態になる。
やる気や自己成長、人間関係の改善にもつながる。
生きることに深い喜びを感じることができる。
「良いことづくめ」と感激し、自分に対して、思いやりのある優しい言葉をかけてみたところ。
ダメ人間が、誰からも優しくしてもらえないから、自分で自分を慰めてるに過ぎない。
みじめったらしい。
そもそも、自分のことを、優しい言葉に値すると思っているなんて。
思い上がるにも、ほどがある。
私の内側から、私をボロクソにたたきのめす声が、噴き出してきました。
ネフ博士の著書には、「自己憐憫の一種ではない」「身勝手さを美化した言葉ではない」と書かれているにも関わらず。
思えば、幼いころから、やることなすこと、母から罵倒されてきた私。
母の言動を自分自身の中に取り込んでしまい、自責の念、つまり、自分を責める内なる声が強いのです。
「セルフ・コンパッショ」は、私みたいに自己否定が強い人間には、手が届かないもの。
恵まれた人だけが、「セルフ・コンパッション」を堪能すればいい。
「セルフ・コンパッション」なんて、くそくらえ。
そんな風に毒づきながら、「セルフ・コンパッション」に取り組むことはやめてしまいました。
そして、素晴らしいと言われるものに、どうしても取り組めない自分に、嫌気がさしていくばかりでした。
私がたどりついた「セルフ・コンパッション」
「セルフ・コンパッション」に、どうしても取り組めなかった私。
そんな私が、悪戦苦闘、試行錯誤の末、自己流の「セルフ・コンパッション」を編み出しました。
私がたどりついた「セルフ・コンパッション」のやり方と効果について、お伝えします。
「セルフ・コンパッション」のやり方
私がたどりついた「セルフ・コンパッション」のやり方は、とってもシンプル。
すべてイメージの中で行います。
①心の中にいる7人のキャラクター、自分だと意識できている部分(主人格、セルフと呼ばれる)、身体をイメージの中に配置する。
私は、各々を配置する場所を決めています。
心の中にいる7人のキャラクター、自分だと意識できている部分(主人格)は、円陣を組むような形で配置。
身体は、その円陣を下から支えるような位置に配置。
この配置は、自己探究の過程で見い出されました。
②各々のキャラクターの名前を呼び、各々の働きに、感謝を伝え、ねぎらう。
私は、心の中にいる7人のキャラクター、身体を取り仕切るキャラクターに名前をつけています。
声をかける順番も決めているんですよ。
③落ち込んでいるキャラクター、怒っているキャラクターがいれば、言い分を聞き、共感して、慰める。
たいていの場合、私が「自責の念シスターズ」と呼んでいる、女の子キャラクターに対応しています。
ほんのわずかな時間でも、感情的になっているキャラクターに関わると、穏やかになるんです。
たった、これだけ。
数分で終わってしまいます。
「セルフ・コンパッション」に取り組むヒケツ
私が「セルフ・コンパッション」に取り組めるようになったヒケツは。
「心は集合体」という認識。
つまり、「心の中にはいくつもの存在がある」ということ。
たとえば、「自分はダメな人間だ~」と落ち込んでいるとき。
私の心の中で、タイプの異なる複数のキャラクター(存在)が動いています。
- 自分はゴキブリみたいに、人から毛嫌いされると落ち込んでいるキャラクター。
- 自分がゴキブリであることを、決して受け入れたくないと思っているキャラクター。
- ゴキブリである自分が気に入って、ゴキブリ・ライフを楽しめるキャラクター。
主張が強いキャラクターには気づきやすいのですが、そうではないキャラクターには気づきづらいものです。
私自身、自分の心の中に、他者や世間からの評価が気にならないキャラクターがいることに気づき、驚きました。
「心の中にいくつものキャラクターがいる」と認識するようになると。
そうしたキャラクターたちを、自分とは違った存在として、観察できるようになる。
他人を見るように、客観的に観察し、距離を取って関わることができるようになる。
私は、自分のことは責めぬいてしまうのですが、身近な人には、優しい言葉をかけることができます。
それと同じ感覚で、自分の心の中にいるキャラクターたちに、他人に声をかけるように、優しい言葉をかけることができるようになりました。
他人のように感じられるキャラクターたちも、しょせんは、私という存在のひとつ。
他人に声をかけるような感覚でいても、自分自身に優しい言葉をかけることができているのです。
※「心は集合体」について、詳しくは、こちら。
※私が自分の心の中の存在をキャラクター化して考えていることについては、こちら。
自己流「セルフ・コンパッション」の効果
私は、2024年12月下旬から、毎日2回、起床後と就寝前に、自己流の「セルフ・コンパッション」に取り組んでいます。
このブログを書いている時点で、半年が過ぎました。
この半年で感じた効果は、以下の通りです。
前向きな気持ちが持続する。
やる気に満ちあふれる。
気持ちの切り替えができる。
嫌なことがあっても、復活までの時間がかなり短くなる。
落ち込むことが減る。
仕事には、以前より取り組みやすくなりました。
大変な状況に陥っても、「人事を尽くして天命を待つ」みたいな心境になれています。
以前は、失敗を恐れ、自分の能力のなさを嘆いてばかりだったんですけどね。
それに、家族との関係も良好なものになりました。
顔を見るだけで悪寒が走り、関わることを避けていた夫と、なんと、一緒のお出かけを楽しめるようになったんですから、驚きです。
家族以外の人との関わりも、広がってきました。
対人緊張がなくなったからです。
今では、お知り合いからお誘いを受けると、いそいそと出かけるようになっています。
そして、何より、実感するようになったのが。
困ったときに、自発的に解決策が見出せる。
落ち込むこと、不安になることがあっても。
うじうじ悩むより、解決策を探したほうがよいと判断し、自己探究に向かうようになりました。
そして、自己探究を行うと、自分の中から自発的に解決策が出てくるのです。
おそらく、自己流の「セルフ・コンパッション」によって、自分を形作るものたちのチームワークが良くなったに違いありません。
心の中にいる7人のキャラクター、自分だと意識できている部分(主人格)、身体。
互いに対する理解が深まり、各々がもつ力を、最大限に発揮しあっている状態になっています。
「セルフ・コンパッション」は内側からわき出てきた
実は、自己流の「セルフ・コンパッション」は、私自身の内側からわき出てきたものです。
頭で考えたというより、自己探究の中で、少しずつ形が見えてきて、最終形態にいたったという感じ。
自己流の「セルフ・コンパッション」につながっている体験は、た~くさんあるんですよ。
- 自分の心の中に「7人のキャラクター」がいると気づき、対話を重ねてきたこと。
- 「ずぼらマインドフルネス」で、毎日ちょっとずつ、自分を感じる取り組みをしてきたこと。
- 「自責の念」について、とことん深掘りしたこと。
- 「自責の念」に振り回されない部分があると気づいたこと。
- 心の中にある7人のキャラクターが「チヤホヤして」と、お願いしてきたこと。
- 身体に感謝する儀式を始めたこと。
- 心の中にある7人のキャラクターと身体がつながっていると実感したこと。
- 身体をキャラクター化して対話するようになったこと。
そして、自己探究の支柱となったのが、「ハコミセラピー」。
「ハコミセラピー」とは、「マインドフルネス(瞑想状態)」を取り入れ、心と身体の両方に働きかけるセラピーです。
ゆっくりと深呼吸をして、目をつぶり、「今、この瞬間」に起きていることに意識を向けていく、「マインドフルネス」の状態になると。
考えが行きかっている頭の中が静かになり、無意識(潜在意識)にあるものが立ち現れてきます。
そのため、言葉を交わす心理療法より、無意識の深いところに手が届き、問題解決の糸口が見えてきたり、自分が本当に求めているものが何であるかが分かってきたりします。
「ハコミセラピー」は、トラウマを始めとする、心に傷をもつ人にも効果があり、実際、私も救われました。
そんな訳なので、私がたどりついた「セルフ・コンパッション」は、私にフィットした方法です。
残念ながら、万人向けではありません。
私のように、自己否定が激しい人、イメージするのが好きな人には、向いているかもしれませんけどね。
「セルフ・コンパッション」には取り組めなかったというあなた。
そんなあなたでも、本当は、「自分を大切にしたい」という切なる願いがあるはずです。
「ハコミセラピー」を通して自己探究を進めていくと、自分が本当に求めているものが見えてきますよ。
あなたにフィットした、あなた流の「セルフ・コンパッション」を探してみませんか。
※「ハコミセラピー」について、詳しくは、こちら。
今回は、私がたどりついた「セルフ・コンパッション」について、お伝えしました。
私は、私を形作るキャラクターたちを「チームなお」と呼んでいるので、自己流の「セルフ・コンパッション」の時間を、「チームなおの集い」と名づけ、楽しんでいます。
あなたも、あなた流の「セルフ・コンパッション」を見つけてくださいね。
※参考文献
クリスティン・ネフ (著) 石村郁夫ほか(訳) (2021) セルフ・コンパッション[新訳版] 金剛出版
クリスティーン・ネス(著) 石村郁夫ほか(訳) (2014) セルフ・コンパッション-あるがままの自分を受け入れる- 金剛出版