メンタルケアの極意がデンタルケアにあると気づく
母から否定的な言葉をかけられて育ち、「自分は要らない人間だ」と信じ込んで生きてきた私。
自分を生きるために、悪戦苦闘、試行錯誤を重ねてきました。
今回は、地獄のような苦しみから抜け出した私が、メンタルケアの極意がデンタルケアにあると気づいたことについて、お伝えします。
地獄のような苦しみにさいなまれる
生きることが苦しい。
そう思いながら、生きてきました。
私の生きづらさの根本には、出来の良い弟と比較され、ダメな人間だと、母から罵倒されて育った体験があります。
とはいえ、本当にそれだけが原因であるなら、母から距離を取り、母と関わらずに生活できるようになれば、解決するはずです。
親との関係でツライ体験を重ねていても、大人になってから親を切り捨て、自分の人生を歩んでいる人はたくさんいます。
残念ながら、私は違いました。
幼い私は、母のことが好きだったのです。
「いつか、母のお気に入りになりたい」なんて幼稚な考えを、ずっと引きずってきました。
そのため、母が怒るのは私の出来が悪いからだと考え、ダメな自分を責めるようになっていきます。
母から離れて一人暮らしを始めても、自分をとことん責める自分からは、逃れることができません。
常に内側から攻撃され、地獄の業火で焼かれるような苦しみにさいなまれる。
あまりにも苦しいので、大学と大学院で心理学を学び、いくつもの心理療法を体験しながら、必死に自己探究に励んできました。
それに加え、日常生活でいろいろな方法を実践して、苦しみに対処していったのです。
そんな、あるとき。
歯科衛生士さんの話を聞き、目からウロコが落ちました。
私が、地獄のような苦しみから抜け出せたのは。
デンタルケアのように、メンタルケアに携わってきたからだ。
メンタルケアの極意はデンタルケアにある
私に大きな気づきを与えた、歯科衛生士さんの話。
息子が通っていた保育園でおこなわれた、保護者向けの講演会で伺ったものでした。
歯の健康を保つためには、毎日の歯磨きが大切です。
毎食後、10分は歯磨きに時間をかけましょう。
ですが、忙しいママさんたちは、毎日の歯磨きが十分に行き届きません。
そんなときは、週1回、歯科医院に来てください。
歯科医院で、こまめに歯の状態をチェックし、歯のクリーニングをすれば、毎日のデンタルケアがおろそかになっても、歯の健康が保たれます。
よくある話かもしれません。
ですが、この講演を聞き、私の頭の中で、何かがつながりました。
メンタルケアの極意は、デンタルケアにある。
歯磨きのような毎日のセルフケアだけでも、専門家による定期的な治療だけでも、健康な状態を維持できる。
けれども、健康を損なった状態を改善するためには、専門家による治療とセルフケアを両立させることが必要だ。
そのことに、気づいてから、改めて自分自身を振り返ってみました。
私が、苦しい思いから、なかなか抜け出せなかったとき。
心理療法を受ける日に、専門家にメンタルケアをお任せし、自分では何もしていなかった。
言うなれば、歯科医院に通って治療は受けるものの、毎日の歯磨きをしていなかったような状態。
私が、少しずつ苦しい思いから抜け出すことができるようになってきたとき。
心理療法で自分を深掘りしながら、日々、メンタルケア(セルフケア)に取り組むようになっていった。
言うなれば、歯科医院に通って治療を受けながら、毎日の歯磨きをするようになった状態。
私のように、心の健康を損なっている状態では、改善するために、専門家による治療とセルフケアの両方が必要なんだ。
専門家による治療とセルフケアを両立させてきたから、地獄のような苦しみから抜け出せてこれたんだ。
自分の状態に応じてメンタルケアを実践する
心の健康が、それほど損なわれているとは思えないんだよね。
そんな風に思うあなた。
毎日のメンタルケアに力を入れていきましょう。
毎日の歯磨きをしっかり実践していれば、歯科医院に通わなくても、歯の健康が保たれるように。
毎日のメンタルケアをしっかり実践していれば、心理療法を受けなくても、心の健康が保たれるはずです。
自分を責める思いが強くて苦しいけれど、毎日メンタルケアに励むのはハードルが高すぎる。
自分だけの努力では、まかないきれないというあなた。
自分にフィットした心理療法、そして、信頼できる心理カウンセラー(心理セラピスト)を見つけて、自分を整えていきましょう。
毎日の歯磨きに時間をかける気力と体力がないときに、歯科医院で診てもらうのと同じです。
それに、心理療法を受けることで、刺激される部分もあります。
思い返せば、私自身、心理療法を活用する中で、信頼できる専門家や仲間に出会ってから、毎日のメンタルケアに励むようになってきました。
信頼できる歯科医師や歯科衛生士に出会うと、毎日の歯磨きもスキルアップし、継続できるのと同じですね。
心理療法を受けても、なかなか効果が感じられない。
そんな風に思うあなた。
あきらめないでください。
あなたの心は、あなたが思っている以上に、健康を損なっているだけなのかもしれません。
心理療法に加え、毎日メンタルケアを実践していくと、心軽やかな日々が手に入ります。
歯科医院で治療を受けながら、毎日歯磨きをおこなっていくのと、同じです。
私自身、毎日、自分を見つめ、自分の心を整えるといった実践を重ねていくと。
自分の心が整っていき、自己探究が進み、心理療法の効果をいっそう感じられるようになっていきました。
ちなみに、私が実践してきたメンタルケアは、以下の通り。
- 日常内観:信州内観研修所で集中内観を受けた後、9年間、毎日、自分を振り返り、信州内観研修所の所長にメールで報告する。
- 慈悲の瞑想:母の最期の言葉にショックを受けて、メンタルがズタボロになり、自分の心を守るために、1年間、毎晩、「慈悲の瞑想」の言葉を唱え続ける。
- TSプロトコールの手動処理:自分を責める言葉が、母からかけられてきた言葉のフラッシュバックだと気づき、数ヶ月の間、毎日、フラッシュバックを取り除く手動処理を行う。
- 自分の心の内側にある存在をチヤホヤする:「心は集合体」の認識のもと、数カ月の間、毎晩、自分の心の内側にある存在を褒めちぎる。
- 身体に対するセルフ・コンパッション:数カ月の間、毎晩、身体に感謝する儀式を行う。
- 自己流セルフ・コンパッション:ここ半年ほど、毎日2回(朝と晩)、自分に感謝とねぎらいの言葉をかける。
メンタルケアの極意は、デンタルケアにある。
デンタルケアのように、メンタルケアを行っていくと、心の健康を維持するだけでなく、心の健康状態も改善する。
デンタルケアを行うように、自分の状態に応じてメンタルケアを実践して、心の健康を手にしてくださいね。
今回は、メンタルケアの極意がデンタルケアにあると気づいたことについて、お伝えしました。
心理療法と毎日のメンタルケア(セルフケア)は、歯科治療と歯磨きと同じように、両輪で使っていくと、苦しみからの脱却が早まりますよ。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。