合理的に考えても苦しいときに必要な「心育て」

2026年1月15日

合理的に考えれば、冷静でいられるはずなのに、なぜか、悲しみやイライラがおさまらない。

頭では分かっているのに、気持ちがついてこない。

そんな状態に、戸惑ったことはありませんか。

実はそれ、あなたの考え方が間違っているからでも、努力が足りないからでもありません。

「合理的に考える」ことがうまく働かない状態に、心がなっているだけなのです。

私はかつて、「自己否定が強すぎる」と気づき、自分の考えを修正しようと懸命に取り組んでいました。

ところが、どれだけ理屈を整えても、上すべりするばかり。

かえって、「できない自分」を責め、落ち込むことをくり返していたのです。

しかし、自己理解を深め、自分の心を育てる視点を取り入れたことで、変化が起こりました。

合理的な考えを浮かべると、感情がすっと落ち着くようになったのです。

この記事では、心理カウンセラーでもある私自身の体験を交えながら、合理的に考えても苦しいときに必要な「心育て」という視点についてお伝えします。

合理的な考えが効かなかった理由

私の頭の中には、いつもこんな考えが浮かんでいました。

「私には能力がない」

気づけば、自分を責め、苦しい思いを抱える日々。

何とか変わりたい一心で、アンガーマネジメントやアサーショントレーニングの講座を受講しました。

これらに共通していたのは、

「非合理的な考えを、合理的な考えに修正する」というアプローチです。

頭に浮かぶ自動思考を書き出し、それを別の見方に置き換える。

これは、「認知療法」や「論理療法」※1 として知られる方法で、多くの人に効果があります。

私たちは、出来事そのものではなく、それをどう解釈したかによって、感情が生まれます。

だから、合理的な考えをくり返し思い浮かべれば、ネガティブな感情は弱まる——。

理屈は理解できました。

けれど、私の場合は、うまくいかなかったのです。

「私には能力がない」と思ったとき、

「私に発揮できる能力もある」と、自分に言い聞かせても、

「あったとしても、何の役にも立たない」

「やっぱり、使えない人間だ」

そんな声が、さらに勢いを増して返ってくるばかりでした。

※1:考え方を修正する方法(認知療法)について、詳しくはこちら。

非合理的な考えが強かった背景にあるもの

なぜ、これほどまでに、非合理的な考えが強力だったのか。

振り返ると、その背景には、幼少期の体験がありました。

私は小さいころから、母の思い通りにならないことがあると、母に責められ続けてきたのです。

出来の良い弟と比べられ、「本当にダメな子」と言われる経験を重ねるばかりでした。

母なりに、私を立派に育てたいという願いがあったのだと思います。

誰かを悪者にしたいわけではありません。

ただ、その言葉は、幼い私の心に、深くしみ込み、「私には能力がない」という考えとして根づいてしまったのです。

この考えは、当時の私にとって、心を守るための大切な意味を持っていました。

「自分がダメだから怒られる」と思えば、大好きな母を責めずに済んだからです。

こうして作られた非合理的な考えは、命を守るのと同じくらい重要な役割を果たしていました。

簡単に手放せるはずがありません。

「子どもの部分」と「大人の部分」

ところが、自己探究を重ね、心穏やかに過ごせる時間が増えてきたころ。

モヤモヤした気持ちが湧いてきた自分に、合理的な言葉をかけてみたところ、心がスッと整う体験をしました。

正直なところ、自分でもビックリ!

その変化をきっかけに、私は一つの結論にたどり着きます。

心の中で、「子どもの部分」が強く活性化しているとき、

冷静な「大人の部分」は、ほとんど力を発揮できない。

「子どもの部分」が育っていけば、「大人の部分」の道理が通じるようになる。

理屈が通じないのは、自然なこと

私たちの心の中には、年齢に関係なく、感情的な「子どもの部分」が存在します。

頭では分かっていても、感情が抑えられないのは、この部分が前面に出ている状態だからです。

大泣きしている子どもに、理屈を並べても届かないのと同じように。

心の中にある子どもの部分が苦しんでいるとき、合理的な説明は、逆効果になることがあります。

特に、過去に心が傷つく体験をしている場合。

その年齢のまま、成長が止まった子どもの部分が残りやすくなります。

その子どもは、つらい気持ちを抱えながらも、誰にも助けてもらえず、一人で耐えてきました。

だからこそ、自分を守るために非合理的な考えを握りしめているのです。

そんな子どもを相手にするときに、大切なことがあります。

「子どもの部分」を育てる「心育て」

「子どもの部分」に対応する際に、まず必要なのは、

「つらかったね」「嫌な思いをしたね」と、気持ちに寄り添うこと。

イメージの中で、子どもの部分を抱きしめたり、

背中をなでたりするだけでも、構いません。

大人の部分が、日頃から、子どもの様子を理解し、安心を届けられるようになると。

はじめて合理的な考えが、心に届くようになります。

幼いころには役立った考えも、大人になった今の現実では、足かせになることがあります。

それが頭で分かってはいても、どうしても苦しいとき、必要なのは、

考えを無理に変えることではありません。

自分の心を、子育てをするように、育て直していくこと。

それが、「心育て」です。

合理的に考えられないからといって、自分を責めることはありません。

自分の心の一部が、ある時点で、成長を止めているだけかもしれません。

過去につらい体験があったとしても、心は、今からでも育てていくことができますよ。

そして、ここまで読まれたあなたは、すでにご自身の心を大切にし始めています。

今の状態や気持ちについて、もう少し落ち着いて知りたい方は、こちらをご覧ください。

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