セルフ・コンパッションを1年続けて分かった現実と効果
自分に優しくしようとすると、
なぜか、かえって苦しくなる。
セルフ・コンパッションについて調べる中で、
「良さそうだとは思うけれど、自分には難しいかも」
そんな風に感じたことはありませんか。
実は、かつての私も、まったく同じでした。
セルフ・コンパッションに取り組もうとするたびに、自分を責める気持ちが強まり、何度も挫折してきたのです。
それでも、試行錯誤を重ねながら、「ある工夫を取り入れたセルフ・コンパッション」を1年間続けた結果、少しずつ、確かな手ごたえを感じるようになりました。
この記事では、
心理カウンセラーでもある私が、セルフ・コンパッションを1年続けて実感した効果と、つまずいた点を率直に、そして「一人でやらなくていい理由」について、私自身の体験をもとにお伝えします。
セルフ・コンパッションがつらかった理由

このところ、本や講座などで、セルフ・コンパッションの効果がたくさん紹介されています。
- 心身が安定する
- 自己肯定感が高まる
- 人間関係が改善する
- 生きる喜びを感じやすくなる
「これは素晴らしい!」と思い、私も取り組んでみました。
ですが、自分に優しい言葉をかけると、心の奥から強い抵抗が湧き上がってくるのです。
その背景には、幼少期の体験がありました。
出来の良い弟と比べられ、「ダメな子」と叱られ続けた経験から、
いつの間にか
「自分を甘やかしてはいけない」
「厳しくしないとダメな人間になる」
という思いが、心の中に根づいていたのです。
こうした状態では、セルフ・コンパッションは、むしろ、苦しさを強めることがあります。
同じように感じる方も、少なくないのではないでしょうか。
自己流セルフ・コンパッションで変わったこと

自己探究を重ねる中で、私は、「生身の自分には、直接、優しい言葉をかけない」という方法に、たどり着きました。
心の中の働きをいくつかの役割に分け、キャラクター化する。
まるで、他人に声をかけるように、自分の各部分(キャラクター)に語りかける。
そんなやり方です。※1
※1:「自己流セルフ・コンパッション」について、詳しくはこちら。
この方法に変えてから、セルフ・コンパッションへの抵抗が、少しずつ和らいでいきました。
朝晩、短い時間でもいいから、続けてみよう。
続けた結果、どうなるか、見極めていこう。
そう決めて、1年間取り組んだ結果、次のような変化を感じるようになりました。
自然な自己肯定感が育ってきた
以前の私は、自分のことを「何も成し遂げていない、価値のない人間」だと思っていました。
ところが、「これまでに小さな夢をいくつも叶えてきた自分」に気づくようになったのです。
とはいえ、決して華々しい成功ではありません。
大学に進学したこと、仕事を続けてきたこと、資格を取ったこと。
ですが、強い自己否定を抱えながらも、ここまで歩いてきた自分を、少し認められるようになってきたのです。
これは、「無理に自分を好きになる」という感覚とは違います。
静かで、地に足のついた自己肯定感です。
自己理解が進み、人間関係が穏やかになった
毎日、自分の心と向き合う時間を持つことで、
「なぜ、今イライラしているのか」
「本当は、何がつらいのか」
が、以前より分かりやすくなりました。
その結果、夫との関係が、大きく変わってきています。
感情をぶつけ合うのではなく、
「今、私の中で、こういうことが起きている」
と、理路整然と説明できるようになったのです。
すると、夫の理解が得られやすくなり、夫がヒートアップすることも激減しています。
感情に振り回されることが少なくなると、身近な人との関係に、想像以上の安定がもたらされるのです。
自分で自分を落ち着かせられるようになった
モヤモヤやイライラが湧いてきたとき、
それに飲み込まれることが減りました。
多くの場合、心の奥で「私はダメな子だから」と嘆く、幼い自分がいます。
そんなとき、大人の自分がそっと寄り添い、慰める。
それが難しい日は、
「今日は疲れているから、早く寝よう」
「誰かの助けが必要かもしれない」
と判断できるようになりました。
感情がなくなるわけではありません。
けれど、大惨事になる前に、立て直せるようになったのです。
心のバランスが整ってきた
これらの変化を振り返ると、総じて、
- 冷静で客観的な部分(大人の部分)が強くなっている
- 理不尽で感情的な部分(子どもの部分)が大騒ぎをしなくなっている
- 互いの疎通が良くなっている
つまり、心の内側のバランスが整ってきたのです。
ただし、この1年間、セルフ・コンパッションだけに取り組んできた訳ではありません。
それ以外の自己探究にも励んできました。
そのため、これまでにあげた効果は、セルフ・コンパッションだけで成り立っているとは言い難い面もあります。
ですが、1年間続けたことが、私の糧になっていることは確かです。
セルフ・コンパッションの難しさも感じた

一方で、セルフ・コンパッションを続ける中で、難しさもハッキリと感じました。
- 毎日続けるのが難しい
- 一人で頑張っている感覚がつらくなる
- 心の傷が刺激され、感情があふれる
特に、幼少期に「一人で耐えてきた経験」がある人ほど、
セルフ・コンパッションが「孤独な作業」に感じられることがあります。
また、私の場合、心の中に、
「もう過去に執着するのはやめよう」
と、現実的に自分を守ろうとする部分が登場し、幼い私の部分が嘆き悲しむという状況も起こりました。※2
あなたの中にも、良かれという思いから、自分をやんわりと否定する部分があるのではないでしょうか。
それらを悪者にせず、丁寧に調整していくことは、正直、簡単ではありません。
しかし、難しさを感じるということは、「自分の中にある未解決な課題に気づく」ということでもあります。
気づいたら、その課題に1つ1つ、丁寧に向き合っていけば良いだけ。
私も、そう思い、ここまで取り組んできました。
※2:セルフ・コンパッションの難しさを感じたことについて、詳しくはこちら。
一人でやらなくていい、という選択
こうした経験を通して、私が強く感じたことがあります。
それは、
心に傷がある人ほど、セルフケアと専門家のケアを併用した方がいい ※3
ということです。
セルフ・コンパッションは大切な営みですが、
つらい思いを一人で抱え続けるためのものではありません。
「うまくできない自分」を責めるのではなく、
「ここは誰かと一緒に取り組んだ方がいい」
そう判断できること自体が、セルフ・コンパッションなのだと思います。
※3:セルフケアと専門家のケアを併用することの大切さについて、詳しくはこちら。

今回は、セルフ・コンパッションを1年続けて実感した効果と、つまずいた点についてお伝えしました。
セルフ・コンパッションを生活に取り入れたい方の参考になることを願っています。
そして、ここまで読まれたあなたは、すでにご自身の心を大切にし始めています。
今の状態や気持ちについて、もう少し落ち着いて知りたい方は、こちらをご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
【参考文献】
今回ご紹介した、セルフ・コンパッションの背景を理解したい方におすすめです。
- クリスティン・ネフ (著) 石村郁夫ほか(訳) (2021) セルフ・コンパッション[新訳版] 金剛出版
- クリスティーン・ネス(著) 石村郁夫ほか(訳) (2014) セルフ・コンパッション-あるがままの自分を受け入れる- 金剛出版





















