発達凸凹が問題なのではなく、「常識の鎖」に縛られているだけ

2026年10月16日

苦手なことがあって、周りから注意を受けることが多い。

常識から外れないように気をつけているのに、なぜかズレてしまう。

そんな経験はありませんか。

 

「発達凸凹 ※1 」があると、生きづらさを感じることがあります。

その苦しさは、本当に、もって生まれた特徴のせいだけなのでしょうか。

 

私自身、診断がつかないような軽微な発達凸凹を抱え、周りから注意されるたびに、「私はダメなんだ」と自分を責めてきました。

ですが、俯瞰的に考えてみると、発達凸凹だからダメとは思えないのです。

 

今回は、個性的なあなたが生きづらい本当の理由のひとつ、「常識の鎖」についてお伝えします。

 

※1:「発達凸凹」とは、発達障害の診断はつかないまでも、生まれつき、得意なことと苦手なことの差が大きい状態を言います。「発達凸凹」について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

 

この記事は、生きづらさの原因を3つの視点から見つめる、「発達凸凹が問題なのではなく」シリーズの1つです。


常識の鎖(今回の記事)

期待の罠

自分にくだす審判

 

生きづらいのは、常識外れだから?

 

「常識がない」とののしられる私

ナオミは本当に常識知らず!

親として恥ずかしい!

 

私が作成した結婚式の招待状を見て、母が電話口で声を荒げていました。

近しい親族だけを呼び、こじんまりとした式を挙げる予定でしたので、招待状は私が作成したのですが――。

慶事用切手を貼らなかったことに、母が激怒したのです。

 

数年前に結婚した私の弟は、ちゃんと慶事用の切手を使っていた。

弟がいかに常識人であり、私は常識がないか。

 

母の怒りはおさまらず、私をののしる言葉が止まりません。

「親戚がどう思うか」といったことを、とても気にしています。

 

当時の私は、結婚式を挙げるつもりはありませんでした。

ただ、父が「式だけは挙げておいたほうがいい」と言うため、慌てて式の準備を進めていたのです。

そのため、結婚式にまつわることを調べる時間がなく、慶事用切手を知らなかった――。

 

思い返せば、幼いころから、しょっちゅう母に怒られていました。

私自身の発達凸凹に気づいたのは、大人になってからのこと。

発達凸凹があるために、ふとしたときに、常識から外れた言動をしてしまいがちなのです。

 

母から怒られることが重なっていくと、「私がダメな人間だから、怒られるんだ」と思うようになっていきます。

慶事用切手のことで母から怒鳴られても、ただただ、母に謝り、落ち込むだけの私でした。

 

「常識」という基準で判断されると苦しくなる

改めて自分自身を振り返って、思うことがあります。

 

私は、結婚式の招待状に慶事用切手を貼らなかった。

誰かに大きな迷惑をかけた訳でも、大罪を働いた訳でもない。

ただ、社会に広まっている「常識」を外れただけ。

それなのに、これほどまでにののしられ、苦しい思いをするというのは、どうなんだろう。

 

発達凸凹のある人が、日常生活を送っていて苦しい思いをするのは、もって生まれた特徴のせいだけではありません。

その言動が「常識」にそぐわないために、たたかれるのです。

 

周りを見回すと、世の中には、さまざまな「常識」があふれています。

  • ひじをついてご飯を食べてはいけない
  • 葬式には喪服を着ないといけない
  • 学校や職場によっては、みなが同じ制服を着ないといけない

 

「場所や相手に応じて、年齢にふさわしく、~すべき」という「常識」が、暗黙のうちにしっかりと存在している。

発達凸凹のある人は、「常識」に外れた言動をとりがちであるために、非難される。

 

ダメ出しをされることが、何百回、何千回、何万回と重なると、「自分はダメなんだ」という思いが強まっていきます。

人によっては、「常識の鎖」にがんじがらめにされ、深い苦しみを負ってしまうこともあるでしょう。

これは、もはや、「社会によって作られた苦しみ」と言っても過言ではありません。

 

※発達凸凹の人が、苦しい思いを深めてしまうメカニズムについて、理解を深めたい方は、こちらもどうぞ。

 

「常識」について、知っておいてほしいこと

 

「常識」にも大切な役割がある

発達凸凹のあなたが苦しい思いをするのは、世の中にはびこる「常識」が、その一因となっています。

でも、「常識」が悪いのではありません。

「常識」には、メリットがあるのです。

 

たとえば。

  • 「常識」を守って暮らすことで、集団の秩序が保たれる。
  • 「常識」を目安にして、行動を整えていけばいいので、「こうすればいい」と先の見通しが立ち、安心できる。


メリットがあるからこそ、多くの人が「常識」を重んじているのです。

そもそも、「常識」「慣例」「ルール」というものは、「こうやったら、気持ちよく過ごせた」という小さな行動が寄せ集まったもの。

始まりは、善意なのです。

 

たとえば、結婚式だって、初めは、結婚する人を祝福したい、育ててくれた家族に感謝を伝えたいという、純粋な気持ちから生まれたものです。

ところが、形式だけが残ってしまい、「結婚式はこのようにおこなうべき」という慣例(常識)が生まれると――。

それに反したときに、「常識を知らない」と非難されてしまいます。

 

常識、慣例、ルールには、「集団の秩序を守る」「人々に先の見通しをもたせる」という大きなメリットがあります。

そのため、「~すべき」を世の中からなくすことはできないのですが――。

「常識の鎖」に縛られ、常識から外れた言動を制裁するようになると、生きづらい社会になるのです。

 

「常識を知っていて当たり前」だと思わない

発達凸凹のある人は、情報のとらえ方が独特で、基本的に「自分の興味のあること」のみ、受け取る傾向があります。

発達凸凹のない人(定型発達の人)のように、周囲の人たちの様子を見ながら、さまざまなことを学ぶことが難しい――。

つまり、興味のないことは、知らないまま、育ってしまいがちなのです。

 

時折、常識に興味がロックオンし、「常識マニア」になる発達凸凹さんもいます(私の母はそうでした)。

ですが、多くの発達凸凹さんは、常識に興味をもたないまま、成長してしまいます。

そのため、「常識を知っていて当たり前」とは、考えないでほしいのです。

 

発達凸凹のある小学生の男の子が言っていました。

「〇〇してはダメ」って怒られるけど、どうしたらいいか分からない。

「〇〇する代わりに、△△して」って、教えてほしい。

 

男の子の言葉は、発達凸凹がある人の思いを集約している気がします。

もし、「常識」から外れた言動をとる人が身近にいたら――。

非難して終わりにするのではなく、「ここでは、〇〇する代わりに、△△することになっている」と教えてあげていただきたいです。

 

ときどき、「なんで、それをしないといけないの?」と聞いてくる発達凸凹さんもいます。

そうしたら、「〇〇すると、●●なデメリットがある。△△すると、▲▲というメリットがある」と、メリット・デメリットを伝えてみてください。

 

発達凸凹がある人でも、ある程度の「常識」を身につけ、穏やかに暮らしている人は――。

幼少期から、親など身近にいる人が、怒ることなく「常識」を教え、習得することができるよう、関わってもらえていることが多いようです。

 

「常識の鎖」から心を守るための3つの工夫

 

国や時代によって、「常識」は違っていきます。

でも、この世の中から「常識」がなくなることはありません。

 

発達凸凹があるために、苦しい思いをしている人には、育ち方も影響しています。

幼いころから、常識外れの言動をすると、ひどい目にあってきたかもしれません。

 

だからこそ、発達凸凹のあるあなたには、自分の心を守ってほしいと考えています。

幼いころ、大人に守られていなかったのなら、大人になったあなたが、あなた自身を守ってあげてください。

 

私も実践している、「常識の鎖から心を守るための3つの工夫」は、こちらです。

 

工夫①:自分は悪くないと考える

常識外れの言動を指摘され、ダメな自分を責めたくなってしまったら――。

「自分は悪くない」と考え、自分に優しい言葉をかけてあげてください。

 

社会に広がる「~すべき」という常識を知らなかっただけ。

あるいは、たまたま、常識から外れた言動をしただけ。

今回は、常識を学ぶ良い機会になったと考えよう。

 

自分を必要以上に責めても、苦しさがつのるばかりです。

まずは、自分に温かく接して、心を落ち着かせましょう。

 

工夫②:自分や相手を責めるモードから離れる

うまくいかなかったときのことをくり返し思い出し、自分や相手を責めてしまうとき――。

責めるモードとは、別のモードに入りましょう。

責めるモードに入り続けると、冷静に考えることができなくなりますし、何より心が削れます。

 

別のモードとは、たとえば――。

  • 自分の好きなことに熱中する
  • 運動をする
  • お風呂に入る
  • 寝てしまう

 

うまくいかなかったことをくり返し考えても、自分がつらくなるだけです。

くり返し考えることで、状況がめざましく改善するのなら、とことん考え抜いても構わないのですが――。

状況がまったく変わらず、自分がツライだけなら、時間も労力も、もったいないです。

 

工夫③:「常識を守る」ためのサポートを得る

常識外れな言動をとってしまった場合は――。

周りの人の理解と協力を得ながら、「常識を守るためのサポート」について考えてみましょう。

 

知らなかった「常識」を教えてもらう

「常識」を知らなかったために、常識外れな行動をしてしまったときは、周りの人に教えてもらえば良いのです。

たとえば、結婚式の招待状には、慶事用切手を貼るとか。

 

そして、「常識」を1つ1つ覚えていきましょう。

次に同じような機会があったときに、実践できれば良いのです。

 

「常識を守る」ための仕組みづくり

どんなに頑張っても、うっかりすると、常識外れの行動を取ってしまう場合――。

今いる環境において、苦手なことを周りの人に伝えたうえで、負担が少なくなるような工夫を一緒に考えてもらいましょう。

 

たとえば、「報告・連絡・相談」を常識とする職場で、うっかり忘れてしまいがちである場合。

  • 苦手なことを同僚や上司に伝え、「報告・連絡・相談」をするための仕組みを作ってもらう。
  • 「報告・連絡・相談」をするための具体的なタイミングや、具体的な方法を教えてもらう。

 

周囲のサポートを得ながら、できることを少しずつ増やしていきましょう。

そのためには、周囲の理解と協力が必要です。

どうしても、周囲の理解が得られない場合は、寛容な環境を探し、そちらへ移ることを検討するという方法もあります。

 

これら3つの工夫は、「できることから少しずつ」で、大丈夫です。

とはいえ、3つの工夫を試してみても、頭では「自分は悪くない」と分かっていても――。

積み重なったダメ出しで刻まれた「自分はダメなんだ」という思いは、そう簡単には消えないことがあります。

 

「常識の鎖」に疲れてしまったあなたへ

常識から外れないように気を張りながら、人から注意されるたびに、一人で心を立て直してきた。

そんな毎日に、疲れてしまうこともあるのではないでしょうか。

 

まずは、話してみるだけで構いません。

常識の鎖に縛られながら、それでも、自分なりに頑張ってきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

 

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、発達凸凹の知見も取り入れながら、「やっぱり自分はダメなんだ」という思いを握りしめている心の部分にも、一緒に向き合っていきます。

 

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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。

 

※「常識」との付き合い方を考えるだけでなく、自分の強みを活かしていきたいへ。

 

※自分の生きづらさを根本的に解消したいと考えている方へ。

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