セルフ・コンパッションの効果を感じられない理由

2026年8月18日

セルフ・コンパッションを続けているのに、なぜかスッキリしない。

優しい言葉をかけているはずなのに、心が整うという効果が持続しない。

そんな経験はありませんか。

そう感じてしまうのは、あなたのやり方が間違っているからではありません。

心が整うことをひそかに止めている「何か」があるのです。

私自身、毎日セルフ・コンパッションを実践しているにもかかわらず、モヤモヤした気持ちが抜けないことに気づくようになりました。

丁寧に向き合っているはずなのに、心の深いところで、何かが引っかかる。

その原因は、思いがけないところにありました。

「自分自身に対する、小さなウンザリ感」

この「ほんの少しの不満」が、セルフ・コンパッションの効果を削っていたのです。

今回は、心理カウンセラーでもある私が体験した気づきと、セルフ・コンパッションの効果を感じられない理由、そして、心を整えるヒントについて、お伝えします。

セルフ・コンパッションの効果が感じられない

心のクセが発動し、スッキリしない日々

ここ数ヶ月、私は、何となくスッキリしない日々を過ごしていました。

日常生活で支障が出るほどではないので、流していたんですけどね。

スッキリしない気分の根底にあるのは――、

人と比べて劣っている自分に対する、ガッカリ感。

劣等感を刺激するような場面に遭遇するたび、心の奥底で、ザワザワとした感覚がわき上がります。

実は、このガッカリ感は、私の幼いころの体験と深く結びついているのです。

私は、幼いころから、「出来の良い弟」と比べられ、しょっちゅう母に怒られていました。

「ダメな私」と「褒められる弟」という関係性が、知らず知らずのうちに「心のクセ」として刻まれていたのです。

そのため、大人になった今でも、他人と比較されるような状況に出合うと――、

心の中の幼い私(インナーチャイルド)が反応してしまう。

そして、不安、怒り、悲しみ、劣等感が、一気に押し寄せ、私の心はかき乱されるのです。

セルフ・コンパッションは対処療法になっていた

そんな自分のクセを知っていたので、私は、自己流の「セルフ・コンパッション ※1 」を続けてきました。

  • 朝晩、自分に優しい言葉をかける
  • インナーチャイルドに寄り添い、抱きしめるイメージを浮かべる
  • 「つらかったね」「あなたの気持ちは分かるよ」と共感する

すると、感情の大波は、スーッとおさまります。

これまで、感情に飲み込まれがちだった私にとっては、それだけでも大きな救いでした。

しかし──、

劣等感を感じる状況に再び遭遇すると、また、津波のように感情が押し寄せる。

「感情の津波 → セルフ・コンパッション → 一時的に落ち着く → でもまた津波」

セルフ・コンパッションを始めて10ヶ月が過ぎたころ、このループがくり返されることに気づきました。

対処療法としては役立っているものの、根本的な安らぎにはたどりつけていない。

そう感じた私は、専門家の助けを借りることにしました。

※1:私が実践している「自己流セルフ・コンパッション」について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

自分の心を探究して気づいたこと

ハコミセラピーの個人セッションで見えてきたもの

お世話になったのは、私が「ハコミセラピー ※2 」を学んでいる団体(日本ハコミ・エデュケーション・ネットワーク)に所属する、ハコミ公認トレーナーの阿部優美さん

個人セッションでは、ハコミセラピーの特徴である「マインドフルネスの状態」をつくり、その状態のまま、心の奥にあるものを丁寧に見ていきます。

静かに自分の内側に意識を向けると、

母に選ばれず、泣いている幼い私

の姿が浮かび上がってきました。

私の大人の部分が、幼い子をケアするような感じで、「つらかったね」「大丈夫だよ」と、抱きしめるイメージが浮かんできます。

けれど、心のどこかで、もう一人の大人の小さな声が響いていたのです。

また泣いてるの?

もういい加減、あきらめたらいいのに。

この小さなウンザリ感こそが、セルフ・コンパッションの効果を削っていたものでした。

心の中の大人と幼い私が和解する

幼い私が、何度も何度も泣くのを見て、陰に潜む大人の私は、どこかでため息をついていたのです。

前面に出ている大人の部分は、優しく接しているのに、別の大人の部分は「やれやれ……」と思っていた。

このほんのちょっとした違和感が、幼い私をかえって傷つけていたのです。

優美さんは、言いました。

「どの子も、親に大切にされたい、愛されたいと願うのは、当然のこと」
「あきらめられなくて泣くのは、自然な反応だよ」

その言葉を聞いて、私は目からウロコが落ちます。

私が心のどこかでウンザリしていたことこそ、幼い私にとっては、「再び否定される体験」だったのです。

私は、心の中で、幼い私に謝りました。

ごめんね、あなたの気持ちを軽んじていたね。

ちゃんと受けとめるよ。

その瞬間、幼い私は、安心した表情になり、子どもと大人の間に小さな和解が生まれました。

※2:「ハコミセラピー」について、詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。

「ウンザリする私」も、私を守ろうとしていた

振り返ってみると、私のウンザリ感にも理由がありました。

  • 「ないものねだりをしても、仕方ない」
  • 「もう、いい年をした大人なんだから、あきらめたほうが身のため」

こうした「現実的な考え方」で、悩みを解決し、心に平穏をもたらそうと頑張っていたのです。

つまり、ウンザリしていた私もまた、「私を守ろうとしていた存在」でした。

ただし、この現実的なやり方は、インナーチャイルド(内なる子ども)には通用しません。

幼い子は、正しい理屈がほしいのではなく、「気持ち」を聴いてほしいだけ。

ただ一緒に寄り添い、分かってもらいたいのです。

このことに気づいてから、心のモヤモヤは消え、セルフ・コンパッションの効果がぐっと深まるようになりました。

セルフ・コンパッションの本当の難しさ

「自分に優しい言葉をかける」と聞くと、簡単そうに思えるかもしれません。

しかし、本当に効果を発揮させるには――、

「心の底から」優しい言葉をかける必要がある。

ここが、何より難しいポイントです。

表面的には優しくしていても、心の底で「まだ、ぐずってるの!?」と思っていれば、インナーチャイルドには、そのニュアンスが伝わってしまいます。

あなたの中にも、「良かれという思いから、どこかで自分をいさめてしまう自分」がいませんか?

もし、心あたりがあれば、それはセルフ・コンパッションが効かない原因のひとつかもしれません。

心を整えるためのヒント

私の体験から得た、セルフ・コンパッションの効果を高めるためのポイントをまとめてみました。

① 自分の「微細な感情」に気づく

ウンザリ、ため息、わずかな苛立ち。

こうした小さな感情ほど、見逃しやすく、心を乱す原因になります。

② 優しさは「本気度」が大事

形だけでなく、本気で寄り添うこと。

インナーチャイルドは、その違いを敏感に感じ取ります。

③ 不満を抱いている部分も、あなたを守ろうとしている

「ウンザリする自分」も、あなたを守るために頑張ってきた存在です。

無理に押し込めたり、なくしたりする必要はありません。

良かれと思って出てくる不満にも共感し、優しく接することが大切です。

一人で頑張らなくても大丈夫

セルフ・コンパッションは素晴らしい方法です。

けれども、その効果を感じられないときに、一人で原因を究明し、改善していくことは、正直、難しい面があります。

もしあなたに、

  • 自分に優しく接しているのに効果を感じにくい
  • 感情の波に何度も飲み込まれてしまう
  • どう向き合っていいか分からない

という経験があるなら、あなたの中の何かが「助けを求めている」サインかもしれません。

私自身も、専門家のサポートがあったことで、ようやく気づけた領域がありました。

まずは、話してみるだけで構いません。

長い間、一人で抱えてきた。

それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。

「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。

私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、心と身体に起きていることを丁寧に見ていきながら、あなたが自分らしく生きられるようサポートしています。

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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。

※自己流セルフ・コンパッションを1年続けて分かったことについて、もっと詳しく知りたい方へ。

※「癒しは自分で自分に与えるもの」という考え方について、もっと知りたいと思った方へ。

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