親の悪口を聞かされて育った人へ。その影響で生じた「極端な価値観」から自由になる方法

「親がいつも誰かの悪口を言っていた」

そんな家庭で育った人は、少なくありません。  

子どものころは、親の言葉を素直に受けとめるしかありませんでした。

けれど、大人になってもなお、心が生きづらいと感じることはありませんか?  

 

実は、親の悪口を聞かされ続けた経験は、私たちの価値観や人間関係のパターンに深く影響しています。

今回は、私自身の体験をもとに、その影響と、そこから自由になるためのヒントについて、お伝えします。

 

母の悪口を浴びて育った日々

 

 

私の母は、口を開けば、誰かの悪口を言う人でした。  

父と父方の親族を中心に、近所の人、私が通う学校の先生、職場の人……と、日常のほとんどが、愚痴や不満。  

 

幼いころの私は、母の話を信じ込み、「母がかわいそう。母を助けたい」と思っていました。

しかし、高校2年のとき、母方祖母の葬儀で、朝から晩まで誰かの悪口を言い続ける母の姿を見て、ハッとしたのです。  

 

母の悪口は、尋常じゃない。  

 

それに、母が不満を改善するための働きかけをしないことにも、私は気づくようになりました。

陰で愚痴や悪口を言いながら、現実場面では「良い人」を演じる。

状況が変わらないため、母の怒りが高まり、さらに悪口を言いたくなる。  

 

母は誰かに相談することができず、孤独を抱えていたのだと思います。

不安が強く、人を信頼できず、「自分は正しい」と信じ込むしかなかったのでしょう。  

 

今なら、母の弱さを理解できます。

けれど、幼い私には、そんなことが分かるはずもなく、母の悪口は、私の中に静かに染み込んでいきました。  

 

親の悪口を聞いて育つと、どんな影響があるのか

 

 

母の悪口をシャワーのように浴びて育った私は、大きく分けて、「2つの価値観」を身につけました。

「自分は正しい。相手が悪い」という認識

母がいつも、「自分は被害者」「相手が加害者」という構図で話すため。

私も同じように、「相手が悪い」と感じる思考が身につきました。  

 

同級生とトラブルになっても、「自分が悪い」とは思えません。

しかも、母が最も嫌っていた父方の祖父母を見下し、敵視するようになったのです。

加えて、他者に対して自らは行動しない母の代わりを果たすように、相手を制裁するという行動に出ることすらありました。  

 

「正しい自分」と「間違っている相手」という、極端な構図を信じ込み。

相手に怒りをぶつけることで、正義感を保とうとしていました。  

 

「自分が悪い。相手は正しい」という認識

高校生以降は、逆に「自分が悪い」と感じるようになりました。

母が父方の親族を激しく否定していたため、その血を半分受け継ぐ自分まで、どこか「汚れている」ような感覚をもつようになったのです。  

 

周囲の人から嫌なことを言われても、「どうせ私は、その程度の人間」と思うばかり。

悲しみを飲み込み、心を閉じ込めて、日々を過ごしました。  

 

「母は正しく、父の一族が悪い」という考えを、無意識に引き受けたのでしょう。

次第に、自己否定が強まっていったのです。  

 

 “全か無か”という極端な価値観が心を苦しめる

 

 

親の悪口を日常的に聞かされて育つと。

「一方が正しく、もう一方が悪い」という、白黒思考が根づくのです。  

 

この思考は、怒りや落ち込みを極端に強め、気持ちの安定を妨げるようになります。  

 

「自分は正しい。相手が悪い」という認識をもっていると。

自分は正しいと思っているので、一見、気が楽であるように思われます。

ですが、本当は苦しいのです。  

 

相手に怒りをぶつけても、相手が自分の思い通りにならないと、怒りが増幅するだけ。

最終的に、自分の中にわき起こる怒りで、はちきれそうになるのです。

 

そこに、「自分が悪い。相手は正しい」という認識が加わると、また、やっかいなことに。

  • 相手を責めて苦しくなり、責めた自分を、また責める。
  • 自分を責めた苦しみで、やりきれなくなり、思わず、相手を責めてしまう。

そんな心のループが、無間地獄のように続くのです。  

 

また、「自分は良い人でいたい」と思う人ほど。

相手に直接苦情を言えず、内側に怒りをため込んでしまいます。

やがて、心身の不調として表れることも、少なくありません。  

 

自分らしく生きるために

 

 

けれど、安心してください。  

私たちはみな、家庭という環境の中で生き延びるために。

親の価値観を、身につけざるを得なかった、だけなのです。  

 

第一歩は「気づくこと」

親から受け継いだ思考は、気づきさえすれば、やわらげていくことができます。  

 

たとえば、誰かに腹が立ったとき。

その怒りを「悪い感情」として、押し込めるのではなく。

「自分はどんなところで傷ついたのだろう」と、優しく探ってみてください。  

 

怒りの奥には、悲しみや怖れ、不安など、「繊細な気持ち」が隠れています。

その気持ちに、「悲しいんだね」「怖かったね」と共感してあげることで、心の中の怒りが少しずつやわらいでいくのです。

次第に、“全か無か”という極端な価値観も、ゆるんでいきます。  

 

一人で抱えきれないときは、助けを借りていい

極端な価値観の影響が強いと。

「自分の気持ちが分からない」「どう扱えばいいか分からない」と感じることもあります。  

 

そんなときは、専門家のサポートを受けてみるのも、一つの方法です。  

 

客観的な視点を得ることで、自分では気づけなかった「心のクセ」や「親からの影響」を、整理できるようになります。

 

   

 

親の悪口を聞かされて育ったとしても、あなたの心は、少しずつ癒され、自由になっていけます。

自分の中にある価値観や感情を丁寧に見つめ、「自分を理解する」という営みを重ねることで、怒りや自己否定はゆるやかにほどけていきます。  

 

もし、一人では難しいと感じるときは、私が提供している「個別セッション」を活用してみませんか。

親子関係の苦しみを知る私が、あなたの心に寄り添いながら、自分らしく生きるためのサポートをいたします。

 

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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