心理療法を受けたら「性格が悪くなった」と言われたとき|ひるまなくていい理由と、振り返りたいこと
心理療法を受けたら、今の自分とは違ってしまうかもしれない。
自分は楽になるかもしれないけど、周りの人は変に思うのではないか。
そんな風に思うことはありませんか。
あなたがそう思うのは、自然なことです。
変化が生じると、これまでとは違ったことが起きてくるので、誰でも不安を覚えると思います。
私自身、「心理療法を受けたら、性格が悪くなった」と言われたことがあります。
そして、自分としては生きるのが楽になってきたのに、なぜ、「性格が悪くなった」と思われるのか、疑問を覚えたのです。
今回は、私自身の体験をもとに、心理療法を受けたら性格が悪くなったと言われたことについて、考えてみます。
心理療法を受けてから性格が悪くなった?
生きやすさを感じていたのに
心理療法を受けてから、お姉ちゃんの性格が悪くなった。
お姉ちゃんは、生きるのが楽になってきたって言うけど、どんどんヒドイ人間になってる。
そんな風に妹から言われ、私はショックを受けました。
私は、幼いころから、母から否定的な言葉を浴びて育ち、苦しい思いを抱えて生きてきました。
そんな中で、自己探究にいそしんできたのです。
心理学科のある大学に学士入学したことを皮切りに、心理学の研修会やワークショップに参加しまくる。
様々な心理療法(心理カウンセリング)を体験する。
試行錯誤、悪戦苦闘のくり返し。
大学に学士入学してから、25年が経ち、「ずいぶんと生きやすくなってきたなあ」と感じてきたころ。
母が亡くなりました。
妹は「性格が悪くなった」と言う
母の葬儀を済ませた翌月から、毎月4~5日程度、実家に滞在し、兄弟三人でさまざまな作業や手続きをおこなうことになりました。
それぞれが別の世帯で暮らしていたため、兄弟三人でこれだけ長い時間を一緒に過ごすのは、三十年ぶりだったかもしれません。
弟と私が、比較的順調に作業をこなしていく一方、妹は経験のないことばかりなので、うまくこなせないことがありました。
弟から注意をされることも、しばしば。
ですが、妹は、弟に厳しく言われても、グッとガマンをして、作業に取り組んでいたのです。
ところが、母の死から半年が経ったころ。
私が、不満ばかり言う妹にイライラして、「そんなで大丈夫なの」と声を荒げたら――。
妹が、泣きながら訴えてきたのが、冒頭の言葉でした。
しかも、
一緒に暮らしてるダンナさんや息子くんが、かわいそうでならない。
前の優しいお姉ちゃんに戻ってほしい。
と、まるで、私がひどい人間であるかのような言い方をするのです。
自分らしくいられると思えるようになってきたのに、「性格が悪くなった」って――。
私の自分らしさとは、「性根が曲がっている」ということか。
当時の私は、生きるのが楽になってきたとはいえ、自分をできの良い人間だとは思っていませんでした。
そのため、改めて「ダメ人間」の烙印を押されたような心もちになったのです。
※母の死後、ゴミ屋敷と化した実家を片づけて、母の切なる願いに気づいたことに関心のある方は、こちらもどうぞ。
心理療法を受けてからのほうがいい感じ?
夫と息子は「今のほうがいい」と言う
自宅がある東京に戻った私。
夫と息子に、妹から言われたことを伝え、「私と一緒に暮らすことで、嫌な思いをさせていたら、ごめんね」と謝りました。
ムダに熱血漢な夫は、怒り出します。
心理療法を受けてから、ナオミはいい感じになってきたよ!
そりゃ、怒ると怖いけど、今のほうが楽しそうだし、俺は今のナオミのほうがいい!
妹さんの言うことなんか、気にするんじゃない!
冷静で優しい息子(当時中1)も、同じようなことを言います。
お母さんは、前は精神的に不安定だったけど、最近は落ち着いてきたと思う。
オレは、お母さんと一緒にいて、嫌な思いなんてしてない。
今のほうが、ずっといいと思うから、気にしなくていいよ。
私は、救われた思いがして、ありがたくて涙がこぼれました。
両極端な反応に疑問を感じる
ただ、妹から言われたことに、思い当たることがあったのは事実です。
心理療法を受ける以前、私は自分の意見を言うことが苦手でした。
特に、相手に「No」を言うこと、反論すること、怒りを表すことは、飲み込みがちだったのです。
ですが、心理療法を受け、自己探究を重ねるにつれ、自分の意見が言えるようになってきました。
とはいえ、自分の意見を言う経験が少なかった分、加減が分からず、言い過ぎてしまったり。
抑え込まれていた感情、特に、怒りが解き放たれて、コントロールできなくなったり。
そのせいで、私の妹に嫌な思いをさせてしまったのかもしれません。
ですが、私の夫や息子も、同じ目に、いえいえ、妹以上の被害をこうむっているはず――。
だって、妹とは年に数えるほどしか会わないけれど、夫や息子とはずっと一緒に暮らしていますから。
あれ?
夫や息子から見れば、「以前より、自分らしく生き生きと過ごし、落ち着いてきた」という私。
そんな私を見て、「性格が悪くなった。ヒドイ人間になった」と言う妹。
いったい何が違うのか。
疑問を覚えた私は、自分なりに、考えてみることにしました。
※心理療法で深い体験をした後、感情のコントロールが難しくなったことについて、知りたい方は、こちらもどうぞ。
違うのは「相手の在り方」
演じていた理想の姿を評価する人がいる
心理療法を受けた後、私に対する見え方が異なるのは、「相手の在り方が違う」から。
それが、私の出した答えでした。
ありふれていて、ごめんなさい。
妹は、私に「理想の姉」であってほしいと望んでいたのではないかと感じています。
母が、私たち兄弟に感じていた印象や、母の願いが、妹に影響しているのかもしれません。
母は、子どもたちに、母にとっての「理想の子ども」であることを切望しました。
そのため、母の思い通りの行動を取らない私を強く叱り、否定的な言葉を浴びせることが多かったのです。
母には母の事情があったのだと、今なら分かります。
ですが、幼い私には、自分ばかりが怒られる理由が分からず、「私が悪い」と思っていました。
しかも、我が家には、母が作った兄弟の構図がありました。
- 「理想の子ども」として、立派に育った弟。
- 弟ほど「理想の子ども」ではないにしても、頭の良い妹。
- 何をやってもグズな私。
私は、兄弟の構図の底辺に位置していたと感じています。
そんな私は、母の願う「理想の子ども」に近づき、母に認められたいという一心で、「良い子」を演じていたのです。
ありのままの姿を受け入れてくれる人もいる
ところが、心理療法の体験を重ね、心が自由になると、私の振る舞いは、母が願う「理想の子ども」「理想のお姉ちゃん」から外れてしまいます。
それが、妹には不快に感じられ、「性格が悪くなった」「ヒドイ人間になった」と受けとめたのかもしれません。
ところが、十数年にわたり、一緒に暮らしている夫や息子は、私に「理想の姿」を押しつけません。
まあ、夫の場合、結婚当初は、私に「理想の姿」を期待していたかもしれません。
ですが、心理療法を受けて意見が言えるようになった私が、夫が押しつける「理想の姿」を全力で拒否するので、あきらめたようです。
私も、夫や息子に安心し、心を開いているせいか、本音をぶちまけ、ある意味、本性をむき出しにして、暮らしています。
夫や息子は、嫌な思いをすることもあるでしょうが、「まあ、そんなもんだろう」と、大目に見てくれているみたいです。
だからこそ、心理療法を受けてからの私の変化も、そのままに受けとめてくれているのでしょう。
心理療法を受けて、気持ちが軽やかになったのに、「性格が悪くなった」と言ってくる人。
それは、あなたに「理想の姿」を期待していた人かもしれません。
そうだとしたら、その言葉に、ひるむことはないのです。
ありのままの姿を見てくれる人は、あなたの変化を、受けとめてくれることが多いのではないでしょうか。
とはいえ、私の場合も、言い過ぎたり、感情をコントロールできなかったりして、妹に嫌な思いをさせたのかもしれません。
相手の言葉を受けとめて、自分の言動を振り返ることも、大切にしたいと思っています。
心理療法を受けたあとの変化を心配しているあなたへ
今の自分は、苦しい思いをすることはあるけれど、それなりに生活している。
心理療法を受けて、自分らしくいられるようになったら、周りに迷惑をかけるのではないか。
そんな風に心配するのは、優しいあなたが、周りを気遣って暮らしているからかもしれません。
まずは、話してみるだけで構いません。
自分の思いをおさえて、ずっと周りを気遣ってきた。
それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。
「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。
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