頭で考えても苦しさが続くときは「内なる子ども」に寄り添ってみる
頭では分かっているのに、どうしても腑に落ちない何かがある。
考え方を変えようとしても、なかなか変わらない。
そんなもどかしさを感じたことはありませんか。
そういう状態になっているのは、あなたの理解力が足りないからではありません。
理屈だけでは届かない部分が、心にはあるのです。
認知療法や認知行動療法の手法をもとに「考え方の修正」を試みた際、頭では納得したにも関わらず、苦しい思いが続くことがあります。
私もその一人でした。
しかし、自分の心の中にいる「内なる子ども」に働きかけたところ、全く違った体験をしたのです。
今回は、頭で考えても苦しい思いが続くときにどうすればいいか、私の体験から気づいたことについてお伝えします。
「考え方の修正」がうまくできない
私の苦しさと「考え方のクセ」
だれも、私の話を聞いてくれない。
私は価値のない人間だから、だれも私の話を聞いてくれないんだ。
誰かと話をしているとき、ほんの小さな行き違いがあっただけで――、
私の中にそんな考えが連鎖的に生まれ、苦しい思いにさいまなれるのです。
しかも、苦しさがなかなか抜けません。
何とかして、気持ちが楽になれないか。
そう思った私は、認知行動療法に関する研修会に参加してみることにしました。
認知行動療法の枠組み
とてもざっくりな説明ですが、
認知療法や認知行動療法では、
「出来事」をどのように「考える(認識する)」かによって、
「感情」「行動」などが決まっていく、と考えられています。

そこで、ネガティブな「感情」を変えるために、
自分を苦しめる「考え方のクセ」を見い出し、それを変える、
あるいは、「行動」を変えるという方法を取るのです。
ただし、私が今回紹介した、認知療法・認知行動療法は、やや古い手法です。
最近は、「マインドフルネス」を取り入れた認知行動療法や、幼少期に生まれた考えに焦点を当てる「スキーマ療法」などもあるので、異なる枠組みがあるかもしれません。
「考え方」を修正しようと試みたけれど
研修会に参加した私は、自分の「考え方」を修正することにトライしました。
これがうまくいけば、苦しさから抜け出すことができるはずなので、真剣そのものです。
●自分を苦しめる「考え方のクセ」
だれも、私の話を聞いてくれない。
↓
〇合理的な考え方に修正してみる
私の話を熱心に聞いてくれる人もいる。
世の中の人全てが、私の話を聞かないという事態は起こりえない。
合理的な考え方を紙に書き出すと、頭では「たしかに」と納得します。
ですが、腹の底のほうから「そうは言っても……」と、反論する言葉が浮かんでくるのです。
私の話を熱心に聞いてくれるのは、人徳者、特別な人だけ。
私が価値のない人間であることに、変わりはない。
どんなに工夫を重ねても、私の一部がどうしても納得してくれません。
「考え方のクセ」が修正することができず、「感情」が変わることもありませんでした。
「小さな私」の願いに寄り添ってみる

「ハコミセラピー」という心理療法
苦しい思いを消し去り、心軽やかな日々を送ってみたい。
執念にも似た思いを胸に、自己探究を続けた私は、「ハコミセラピー」に出合いました。
「ハコミセラピー」は、「マインドフルネス」を用いて、心と身体の両方に働きかけていく心理療法。
ちなみに、「マインドフルネス」とは、「今、この瞬間」に起きていることに意識を向けていくことです。
「マインドフルネス」の状態になると、意識の覚醒状態が低下していき、無意識の中にあるものが現れやすくなります。
私は、ゆっくりと深呼吸をして、目をつぶり、「マインドフルネス」の状態になってから――、
「だれも、私の話を聞いてくれない」と感じて、つらくなった場面を思い出すところから始めました。
すると、「胸が詰まって息苦しい感じ」が込み上げてきます。
「マインドフルネス」の状態のまま、息苦しさ(身体の感覚)をじっと感じていくと――、
思いがけず、小学生のころの思い出がよみがえってきました。
怖くて眠れない小学生の私
二段ベッドの上の段で横になっている小学校低学年の私。
1歳下の弟は、下の段ですやすや寝息を立てている。
私はテレビで見た「ゲゲゲの鬼太郎」を思い出し、怖くて眠れない。
ベッドに入る前に、寝るのが怖いと、母に話したら――。
「そんな怖いアニメを見るのが悪い」
「○○(弟の名前)は、一人でもちゃんと寝れるよ」
「ナオミはお姉ちゃんのくせに、情けないことばかり言う」
母が言うのは、もっともなことばかり。
小さいころから弟と比較され、ダメ扱いされていた私は、ガマンするしかありません。
でも、どうしても怖くて眠れなかったのです。
すると、セラピスト役の人が、イメージの中にいる小学生の私に声をかけました。
なおちゃんは、何があると、大丈夫になるかな。
小学生の私、なおちゃんは、パッと目を輝かせ――、
一緒に寝てくれる人がいるといい。
なおちゃんの姿を見ている大人の私は、母が添い寝をしてくれないことを知っています。
母には、心理的にも、物理的にも、そんな余裕がないのです。
じゃあ、大人の私が、なおちゃんに添い寝をしてあげよう。
そう思った現在の私が、イメージの中に入り込み、なおちゃんに添い寝をすることにしました。
小学生の私に寄り添う
私がなおちゃんの横に寝て、「怖くて眠れないみたいだけど、どうしたの?」と声をかけると――。
なおちゃんは、「ゲゲゲの鬼太郎」が怖かったことを、熱く語り始めます。
特に、タタリにあった人の身体が溶けていく描写を、事細かに。
「そうか、それは怖かったね」と声をかけると、「そうでしょう!」となおちゃん。
安心して眠るかと思いきや、なおちゃんは、あれこれ語り続けます。
ダンゴムシを菓子箱いっぱいに集めて、フタをして揺すってみたの。
みんな丸まると思ってたら、フナムシが丸まらないの。
全部、ダンゴムシに見えるけど、違うんだよ。
むしろをめくったら、太くて大きなミミズがたくさんいたから、割りばしでつまんで、ビンに入れたの。
ミミズをたくさんビンに入れてフタをしたら、うねうね動いて、すっごくキレイ。
でも、ビンをそのまま地面に置いといたら、いつの間にか、腐ってて、ビックリしちゃった。
だから、腐ったミミズを辺りにまいて、鳥のエサにしてみたんだよ。
大人の私は、全て小さいころに経験したことばかりなので、心の底から共感できます。
それは、面白いね。
ワクワクするね。
そんな言葉をかけ、おしゃべりを楽しむうちに、なおちゃんは安心して寝てしまいました。
すると、私の身体の中に、「話を聞いてくれる人もいる」という感覚が広がっていきます。
「話を聞いてほしい」という小さな私の願いに寄り添ってみたら――、
「だれも、私の話を聞いてくれない」という頑なな考えが、少しずつ緩んでいったのです。
※「ハコミセラピー」について、もっと詳しく知りたい方は、こちらもどうぞ。
「内なる子ども」が満足すると「考え方」が緩む

「内なる子ども」の願いをかなえる
「ハコミセラピー」のセッションを通して見えてきたことがあります。
小学生の私は、だれかに話を聞いてもらい、共感してほしかった。
それだけに、一番分かってほしい相手、つまり、母に分かってもらえない体験が重なったことで――。
だれも、私の話を聞いてくれない。
私が、ダメな人間だから。
という、極端に偏った考えが生まれてしまったのです。
これは、共感してもらえない状況を合理化し、母を悪者にしないために、生まれた考え。
小さなころには、生き延びるために大切な考えでしたが、大人になると、合わない状況が増えていきます。
だって、周囲の人にちょっと話を聞いてもらえなかっただけで、「私がダメな人間だから」と解釈する大人は、冷静に考えると変です。
それに、小さな子どもが編み出した考えは、認知療法・認知行動療法のような論理的な方法では、太刀打ちできないことがあります。
小さな子に理屈を並べても、ピンと来ないのは、仕方がないことかもしれません。
そんなときは、
偏った考えを作り出した「内なる子ども」の願いをかなえてあげる
という方法が役に立ちます。
「内なる子ども」の「考え方」が緩む
私の場合、母に話を聞いてもらえなかった幼い私が、大人の私とおしゃべりできたことで――、
「私には人に話を聞いてもらう価値がある」と考えるようになりました。
つまり、「内なる子ども」に、過去には得られなかった新しい体験をさせると、その子から見える世界が変わっていくのです。
たとえ、イメージの中で体験したことではあっても、脳の中で起きていることは同じ。
私たちは、五感で感じたものを電気信号に置き換えて脳に伝え、脳が「体験したこと」として再現しています。
そのため、イメージで体験したことも、現実で起きたことと同じような影響を与えることがあるのです。
頭で考えてもどうにもならないときは、自分の「内なる子ども」の願いに寄り添う。
「内なる子ども」に、幼いときには得られなかった体験を与え、満足してもらう。
「内なる子ども」が満足すると、頑なに握りしめていた考えが緩んでいき、別の考えが生まれる。
つまり、過去を変えることはできなくても、過去の「見え方」を変えることはできる。
ただし、自分の「内なる子ども」の願いに気づき、必要な体験を届けていくプロセスは、一人でおこなうのが難しいこともあります。
特に、深く傷ついた体験を重ねた「内なる子ども」の場合、自分一人でその子の願いを見つけ出すのは、簡単ではありません。
専門家と一緒に取り組むことで、初めて見えてくるものもあります。
一人で頑張らなくても大丈夫
頭では分かっているのに、変われない。
そんなもどかしさを感じることもあるはずです。
「内なる子ども」の願いに気づき、寄り添っていくプロセスは、一人でおこなうには難しいところがあります。
そもそも、「内なる子ども」を見つけ出すことに苦戦するとしても、決しておかしなことではありません。
まずは、話してみるだけで構いません。
長い間、一人で抱えてきた。
それだけで、十分すぎるくらい頑張ってきたということです。
「もう少し、楽になってもいいかもしれない」と感じたなら、その気持ちを最初の一歩にしてください。
私が提供している「ストレングス×パーツ統合アプローチ」では、あなたの中にいる「内なる子ども」にそっと触れ、その子の願いに、一緒に耳を傾けていきます。
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「もう少し読んでから考えたい」という方は、こちらもご覧ください。
※何かあるたびに自分を責めてしまう根本原因について、もっと知りたい方へ。
※チヤホヤすることで、「内なる子ども」の願いをかなえた体験について、もっと知りたい方へ。
























